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10話 しずくと合流作戦

 高級料亭、「唐傘(からかさ)

 この国の政治家さん達も通うらしい、高級店。

 そんなところに私とお父様、お母様の3人で来店した。


 なんたらの間というお部屋は3人で食べるにしては広すぎる。けどまぁこれも慣れたこと。


 次々に提供される高級料理の数々。鯛のお刺身は脂が乗りつつさっぱりとしている。小さなサラダも野菜のフレッシュな香りが鼻を抜ける。

 すべてレベルの高いご飯だけど、やっぱり1番初めに「美味しい」という言葉は出てこない。昨日食べたしずくの肉じゃがはすぐに「美味しい」と言えたのに。


「あ、あやか様……本日のお料理はいかがでしたか?」


 料理長と思われる人がなんたらの間にやってきて両膝をついた。そこまでやらなくていいのに。


「ん……計算され尽くした、料理の境地にたどり着こうとしている。素晴らしい料理だった」

「それはそれは! なんとも光栄です」


 私は「美味しい」と一言も発しなかった。それでも料理長は最高評価をもらったとばかりに喜んでいる。

 あぁなんて、可哀想な人だろう。

 私はそう思った。




 料亭を出て、上機嫌なお父様とお母様はこう言った。


「よし、お買い物でもしようか」

「いいわね〜」


 こうなればいつものパターンだ。私はいいと言って、近くのSPに預けられる。

 お父様とお母様を見送って、私はSPの元へ……行くと見せかけて、ダッシュした。


「なっ!? お嬢様!?」


 SPと言えども、ここの地理は知らないはず。私は料亭のある街の地理なら基本的に頭にインプットされているから、どこへ行けばどこへ出るかわかる。

 だから……


「しずく、作戦成功」

「流石です、お嬢様」


 作戦通り、しずくと合流することができた。

 しずくとの合流スポットは、「麺屋爆味」。黒い看板にはダイナミックなフォントで「横浜家系」と書かれている。


「それではお嬢様をご案内いたします。横浜家系ラーメンの世界へ!」

「うん。私をその世界へ連れて行って」

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