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ex3-11

ブルーベリーをそのまま人型にはめ込んだかのような、小さなツブツブが集まった人型の何か。

”それ”は何度も、何度も強く窓ガラスに手の平を打付ける。衝撃で車は横に大きく揺れ、”それ”が窓に手を打ち付ける度に、タールのように黒く粘り気のある液体が跳ねて窓ガラスやドアを黒く汚す。



「はっ、早くぅ!! 車だしてよぉ!!」



「やってるよ! くそっ!!」



 車内は泣き叫ぶ女と怒号をあげる男、そして車が揺れる度にミシミシと車内のどこからか不協和音が響く。

普段ならば1回だけボタンを押せばエンジンは掛かるはず。だが、なぜか何回もボタンを押してもエンジンが掛かることはない。時間にしたら1分もないはずだが、永遠とも思える阿鼻叫喚と化した車内。



「あっ!??」



 

 何度もチャレンジした末、ようやくエンジンが低い鳴動とともに動き出す。だが男が思いきりアクセルを踏み込むと同時にガラスが割れる音が車内に響く。

車のエンジンが掛かると同時に、とうとう後部座席の窓ガラスが大きな音を立てて粉々になったのだ。そして隔てるものが無くなったために、”ツブツブ”が車内に上半身を割れた窓から潜り込ませる。



「このっ、クソ化け物が!」



 一気に車のスピードは上がり、”ツブツブ”を車から振り払おうと右へ左へと蛇行運転させる。

しかし、電灯すらまともに整備されていない山道。細く曲がりくねっているせいでまともに速度など出るわけもない。速度計はようやく70を越した程度で、それ以上は道のせいで速度を出すことが出来ない。ちらりとサイドミラーを見る男。そこにはあの”つぶつぶ”の姿はなかった。




(た、助かった)



 一瞬、。男は助かったことに安堵しため息を吐く。

だがその安堵のため息に被さるように後部座席から女の声が響いたのであった。

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