第15章-10 舞宇道村:再
煌めくチェーンソーの刃が、ジュリの首筋をすらりと撫でる。
ぱっくりと喉は裂け、一瞬だけ白い肉が顔を覗かせる。それもつかの間、鼓動とともに真っ赤な鮮血が辺りへと飛び散り、跳ねる。
「ひゅー……、ひゅー……」
ジュリの吐息は細く途切れ途切れになり、さらに一気に体内の血液が流出したことにより顔色は青くなる。
震える手に力を込めると、チェーンソーを吹かして脚に絡みついたツタを一気に刈り取る。
『”死ぬほど”痛いけど、毒は抜けたみたいね……』
頸部から噴き出した自身の血に塗れながら、ジュリは考える。
脚に絡みついたツタを刈り取りつつ、新たに這い寄るツタは蹴り飛ばす。さきほどまでと違い、脚の痺れは収まりつつあった。
大量の血液と引き替えに毒抜きしたことにより、ようやく脚に自由が戻りつつあった。
ツタをチェーンソーの刃で薙ぎ払い、突き立て、勢いをつけて立ち上がる。
ジュリに零れた血液が、木製の廊下を紅く彩る。そしてその紅くなった廊下を、自身の血を跳ねさせながら大量の”顔”が咲いた遊戯室へと飛び込んだ。
ジュリが目指したのは、部屋の中央に置かれた祭壇。
それは哀れにも首だけになったリオが供えられていた祭壇。大量の”顔”に囲まれた祭壇に向かって、チェーンソーを振り抜きながら迫るジュリ。
”顔たち”を踏みつけ、切り裂き、脚に這おうとする無数のツタを抉る。
「きゃはは、「きゃはは、アハハ!「あはは、きゃはは、」アハハ!「あはは、きゃはは、」」
踏みつけられた”顔”たちは狂ったかのように笑い続ける。
踏みつけられ、目から血の涙を流し、口端からは血混じりの泡を吹きながら不快な嬌声を上げ続ける。それらに構わず
『……持ってあと数分ね』
自身の首元を擦るように触るジュリ。
先ほどまで吹き出ていた血の勢いが、今ではすっかりと失せていた。つまりこれは、体内の血液がかなり少なくなってきていることを示していた。
祭壇の前に辿り着いたジュリはイラついたかのような表情を浮かべる。裂いた首からの出血は段々と少なくなっており、ジュリは今にも意識を手放しそうになりながらも、手に力を込める。
そのままチェーンソーを構えて、エンジンを思いっきり吹かす。
そしてチェーンソーを大きく振りかぶると、そのまま両断にしたのであった。




