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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
七部・三章 幻獣保護区でのひと騒動

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異変

 先ほどの〝攻撃魔法を極め隊〟は宿泊施設を急いで目指し、途中で生徒を発見したら、ナイフを所持した男について教えて回ってくれるらしい。

 宿泊施設まで転移できる魔法札を使える人がいたら、先生達に報告してくれるようお願いもしてくれるという。

 湿地帯を抜けたら、魔法札が使える人がいるかもしれない。

 どうか一刻も早く、先生達にナイフを所持した男についての情報が知れ渡りますように、と願うしかなかった。


「私達も急ごう」

「ええ」


 再度、キティの先導で出発地点を目指す。


「ホイップ先生が出発地点にいなかったら……」


 アリーセはそう言いかけるも、首をぶんぶんと横に振って打ち消していた。

 ホイップ先生はまだ出発地点にいるはず。

 今はそう信じて進むしかなかった。

 隣を歩いていたエアが立ち止まって、最後尾を歩くリザードを振り返る。


「ん、リザード、どうした?」


 リザードが歩みを止め、ソワソワと落ち着かない様子を見せていた。


「キティ?」


 先頭を進んでいたキティも、立ち止まって姿勢を低くし、警戒しているように見えた。

 まさか近くにナイフを所持した男がいるというのか?

 もしかしたらジェムが何か感じ取ってくれるかもしれない。

 鞄の中で小さくなって眠っていたジェムを外に出す。

 それを見たエアが「ジェムなら何かわかるかもしれないな」なんて期待を込めて言ってくれたのだが――。

 ジェムは地面で薄く伸びるばかりだった。

 スライムみたいな見た目なのに、湿地帯の気温がお気に召さないようだ。


「キティやリザードは、慣れない湿地帯で少し疲れたのだろうか?」

「うーん、どうだろう?」

「わかりません」


 少し休憩を入れたほうがいいのだろうか。

 なんて考えた瞬間、ガサガサと草木をかき分けるような音が聞こえてきた。

 ぬっ、と私達の前に現れたのは、額から角が突き出た四足歩行のトカゲみたいな生き物が出てくる。

 緑色の鱗に首元や尾に花を咲かせる、美しい幻獣である。

 瞬時に、竜だと思った。

 こんなに近くに接近するまで、まったく気配を感じなかった。皆、言葉を失っていた。

 キティやリザードの様子がおかしかったのも、この竜が原因だったのだろう。

 竜は見上げるほどに大きいが、不思議と魔物を前にしたような恐怖はなかった。


「緑竜だ……!」


 エアがぽつりと零す。

 あの子は草花を司る、緑竜と呼ばれる存在らしい。

 先頭に立つレナ殿下が背中に手を回し、動くなとジェスチャーで伝えてくる。

 緑竜が危害を与えてくることはないだろうが、刺激しないようにしなければならないのだろう。

 ごくん、と息を呑む音が大きく感じた。

 早くどこかに移動してほしいのだが、緑竜は私達に興味津々なのか、ジッと見つめていた。

 どうしたものか、と思っていたら、最後尾にいたリザードがのっしのっしと歩いてきて、前に出てくる。


『ぎゃっ、ぎゃあ』


 体はすっかり大きくなったリザードだったが、鳴き声はまだまだかわいい。

 そんなことはいいとして。

 リザードが話しかけた声に竜が反応する。


『グルルル』


 緑竜の返答は地響きが起きたのかと思うくらい、低く唸るような鳴き声だった。

 それを聞いたリザードが振り返り、何か訴えている。


『ぎゃあ! ぎゃぎゃぎゃあ!!』


 何か一生懸命訴えている。

 エアになんて言っているのか聞いてみた。


「いや、わかんないかも」


 ずっこけそうになったが、そんなリアクションをしている場合ではなかった。


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