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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
七部・一章 新学期を迎える前に

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黒い宝石について

 楽しいホリデー期間はあっという間に過ぎていく。

 レナ殿下はさすがにパジャマパーティーのあとすぐに帰ったけれど、エアとアリーセは期間中ずっと一緒だった。

 ノアともこれまで以上に仲よくなった気がする。

 特にエアとノアは男同士だとわかった上に、魔導カード好きという共通点もあるからか意気投合。

 アリーセが嫉妬するくらい、打ち解けていたようだ。

 リンデンブルク大公家の別邸で過ごすこと十五日ほどで、魔法学校から敷地内及び校舎の修繕完了の知らせが届く。

 最初に聞いていたとおり、元通りになるのにきっちり一ヶ月はかかったようだ。

 明後日が始業式となるようで、エアとアリーセは帰宅していった。

 残った私はノアと過ごしていたが、ほとんど別邸にいなかったヴィルから話があると呼びだされた。

 ノアと別れ、ヴィルの私室へと向かう。

 数日ぶりに会ったヴィルは少し疲れているように見える。

 ルドルフやその母キャロラインの捜索に加えて、邪竜復活のきっかけとなった黒い宝石についての解析班にも参加していたらしい。


「黒い宝石の解析についてはお手上げだった」


 強い封印がかけられており、外部からの干渉を弾いているという。

 ハイエルフである魔法学校の教師、ホイップ先生も呼ばれたようだが、彼女すらもお手上げだったという。

 魔法石について研究する国内の権威すら、あまりにも邪悪で関わりたくないと口にするほどだった。


「それをなぜ、ルドルフが扱えたのかも疑問ですね」

「ああ」


 邪竜は人々の負の感情を糧とする。そのため、職を奪われたルドルフの不安な気持ちなどが封印を解く引き金になったのかもしれない。


「宝石魔法の使い手も呼んで調べさせたが、精神に悪影響を及ぼしたようで、まったく使い物にならなかった」


 ヴィルも挑んだものの、宝石魔法の使い手同様に、気分が悪くなっただけだったという。


「そういうわけだったのですね」


 ホリデー中、作り置きしていた魔法薬を使うよう、ヴィルに差しだす。


「いいのか?」

「はい、そのために作った物ですので」

「助かる」


 魔法薬を飲むと、ヴィルの顔色がみるみるよくなった。


「それにしても、黒い宝石の解析に苦戦していたとは」

「古代の遺物だろうからな、そもそも常人の手に負える物ではないのかもしれない」


 ヴィルを常人の括りに入れるのはどうかと思う。

 研究者レベルでも解決できない問題なので、気に病む必要はないのだが。


「国内には宝石魔法の使い手が少なすぎる」

「もともと発祥は他国ですからねえ」


 宝石を消費しながら使う魔法など、考えただけで卒倒しかねない。

 お金が有り余っている魔法使いしか、学ぼうとも考えないだろう。


「事情が事情なだけに、国外に黒い宝石を持ち出す許可も出ず……」


 八方塞がりの状態だという。

 どうしたものか、なんて考えていたら、ふとある人物の顔が思い浮かぶ。


「――あ!!」


 サーベルト大公のご子息であるジルヴィード。

 彼は宝石魔法の使い手だった。


「どうした?」

「いえ、サーベルト大公家のジルヴィードが、宝石魔法を使えたな、と思い出しまして」

「ああ、彼か」


 国内に滞在する、隣国ルームーンの大貴族。

 サーベルト大公の姪キャロラインの子ルドルフを探して我が国へやってきた。

 彼について思い出したあと、ふと気付く。


「もしかしたらルドルフはジルヴィードの傍にいるかもしれません」

「国内にいないのであれば、その可能性もある」

「そうでした」


 もしもルドルフを探し出していたら、とっくの昔に帰国しているはずである。

 現状、彼が国内にいるかどうかも把握していない。

 まずはジルヴィードの消息について調べる必要がありそうだ。

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