アリーセがパジャマパーティーでやりたいこと
続いてアリーセがやりたいことを発表する。
「わたくしは、使い魔自慢をしたいですわ!」
「おお、いいじゃん」
「やりましょう」
まずは言い出しっぺのアリーセから。
キティも召喚した当時よりも大きくなっていて、毛並みもさらにつやつや、ぴかぴかになっていた。きっとアリーセが毎日お手入れを欠かさないのだろう。
アリーセは傍にいたキティを抱き、膝の上に載せながら語り始める。
「なんといっても、わたくしのキティは気品があって美しく、気高い性格で、とってもきれい好きなんです」
キティは起きている時間の大半を、毛繕いに使っているようだ。
毛並みのよさはアリーセの努力もあるようだが、キティ自身の美意識も関係しているらしい。
「キティは障壁魔法が得意で、わたくしの頭上に葉っぱの一枚でも落ちてくれば、守ってくれようとしてくれます」
アリーセ同様に、優秀な使い魔であることがわかる。
キティの能力について聞いたのは初めてだった。
エアとレナ殿下も感心している。
それからアリーセはキティのいいところをすらすら語っていた。
キティ本人は大人しくアリーセに抱かれているものの、喋る内容については無関心、といった感じである。この辺はさすが猫! と言えばいいのか。
「長くなってしまいましたが、キティはわたくしにとって、すばらしいパートナーですわ!」
そう締めくくると、最後にキティが『にゃあ!』と鳴く。
褒められてまんざらでもない。そんな感じだった。
「次はミシャ!」
「私の番ね」
これまで天井に張り付き、何事にも興味がないとう様子を見せていたジェムが、私のもとへとやってくる。
期待を寄せるように、ちかちか輝きを放っていた。
アリーセとキティの真似をしたいのか、私の膝の上に乗ってくる。
重さはないものの、バランスボール大なので、膝に乗るようなサイズではないのだが。
まあ、いい。
ジェムについて語ろうではないか。
「この子はとにかく気まぐれで、傍にいると思って振り返ったら、たいていいないの。でも、いざというときはとっても頼りになるし、優秀な子なのよ」
いつもありがとう、と言って撫でてあげると、喜んでいるのかほんのり温かくなる。
王都での暮らしは慣れないことの連続だったが、ジェムがいろいろと助けてくれた。
灯りを提供してくれたり、ウォーターベッドになってくれたり、温室での仕事を手伝ってくれたり、私の力になってくれたことを忘れない。
「次はエアね」
「任せてくれ!」
エアの使い魔であるリザードは、あまり感情は読み取れなかったが、瞳に期待が滲んでいるのはわかった。
「リザードはなんといってもこのかっこよさが自慢だ! あとは食欲旺盛で、日に日にでっかくなる。あとは、火力が強い」
なんでも寮でバーベキュー大会をしたさい、リザードは率先して肉を焼いてくれたらしい。
「いろんな火属性の使い魔が肉を焼いたんだが、リザードの焼いた肉が一番おいしいって評判だったんだ」
最強クラスの使い魔である、深紅眼の光炎竜をバーベキュー大会の火力に使うなんて恐れ多い……と思ってしまった。
「そんな感じだ! 最後は――」
「私だな」
レナ殿下は使い魔である一角馬シュヴァルに腕を伸ばす。
「シュヴァルはとても賢く、私が命じなくとも、やりたいことを察してくれる。頼りにできる、友人のような存在だ」
シュヴァルはレナ殿下の頬に鼻先を寄せ、幸せそうに目を細めている。
信頼関係がわかるようなふれあいだった。
皆、それぞれ使い魔を大切に想い、家族のように接しているのだろう。
こうして話を聞くことができて、なんだか嬉しかった。




