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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
幕間 楽しいホリデーを!

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まさかのゲスト

 魔法百貨店から戻ると、まさかの人物が私達の帰りを待っていた。


「レナハルト様!?」


 ノアは驚いた顔を見せつつも、嬉しそうに駆け寄る。


「いつ、いらっしゃっていたのですか?」

「今到着したばかりだ」


 なんでもリンデンブルク大公から誘いを受けたらしく、急遽きてくれたらしい。


「なんでもパーティーがあるとかで」

「そうなんです!」


 ノアは嬉しそうに言葉を返すが、パーティーはパーティーでも、私達が開催するのは仲間内で行うパジャマパーティーである。

 レナ殿下の様子からして、貴族が大勢集まるようなパーティーを想定しているのだろう。


「なんのパーティーか詳しく聞いていなくて、すまない。一応、どのようなパーティーでも対応できるよう、正装を何着か用意してきたのだが」

「レナハルト様、大丈夫です! 正装はこちらで用意しているので!」


 レナ殿下が待っていた客間に、先ほど購入した着ぐるみ風パジャマが入った箱が積み上がっていた。

 ノアはいそいそとした様子でレナ殿下のために購入した箱を手に取って、そのまま差しだす。


「はい、どうぞ!」

「わざわざ用意してくれたのか?」

「はい!」


 中身は開けてびっくり、一角馬ユニコーンの着ぐるみ風パジャマである。

 レナ殿下はノアに感謝の気持ちを伝えながら、箱のリボンを解いて蓋を開く。


「これは――!」


 驚いただろう。けれども動揺を顔に出さず、柔らかな笑みを浮かべてノアに問いかける。


「パーティーというのは、仮装を楽しむものだろうか?」

「いいえ、パジャマパーティーです」

「パジャマ、パーティー?」

「はい!」


 きっとレナ殿下はこれまでパジャマパーティーになんて誘われたことなどなかったのだろう。レナ殿下の頭上には、目には見えない疑問符はてながたくさん浮かんでいるに違いない。


「ノア、すまない。私はパジャマパーティーに参加したことがなく、どういった催しなのか教えてくれないか?」

「パジャマパーティーというのはみんなでパジャマを着て、ベッドの上でお菓子を食べたり、ゲームをしたり、お喋りしたりする、ホリデーの定番のパーティーなんです」


 ノアは物語でよく見かけるパジャマパーティーに憧れていたようで、いつかやってみたいと夢みていたようだ。


「なるほど、理解した。その、パジャマパーティーというのは、男女が同じ寝台で楽しく戯れる催し、ということで間違いないのだな」


 レナ殿下の解釈だけ聞いていたら、よろしくない遊びのように思えてならない。


「いえ、通常のパジャマパーティーは同性同士で行うものかと思うのですが、今回はメイドや従僕もいますし、屋敷の中で特に大きいベッドの上でするので、特例として父に許していただきました」

「そうか」


 規模を聞いて安心したのか、レナ殿下の表情が和らぐ。


「説明を聞く限り、パジャマパーティーというのは親しい友人同士で集まってするもののように思えるのだが、私が参加してもいいのだろうか?」

「もちろんです!」


 ノアが振り返って同意しろ! と強い眼差しを向けてくる。


「その、たくさんいるほうが楽しいし」

「そうですわ!」

「男は俺一人だったから、心強いし」


 エアはそう言ったあと、「あ!」と驚くような表情を浮かべる。

 おそらくだが、レナ殿下が実は女性であることを思い出してしまったのかもしれない。


「エア、どうかしたのか?」

「いや、なんでもない。楽しみだな~って」


 言えるわけもないだろう。

 レナ殿下が女性であることを知っているうえに、エアの双子の片割れだったなど。


「レナハルト様、パジャマパーティー、楽しみですね」

「ああ、そうだな」


 そんなわけで、パジャマパーティーにレナ殿下も参加することとなった。

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