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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
六部・四章 叔父を捕まえろ!

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バーチへ

 ヴィルはセイグリッドの背中で御者役を務めるので、車内には私とミュラー男爵、それから部下の女性の三人が乗り込んだ。

 部下は以前屋敷にお邪魔したさい、私に魔法を仕掛けてきた魔法使いだった。

 申し訳なかった、と謝罪してくれた。

 実を言えば彼女もわけありだと、ミュラー男爵が教えてくれる。

 なんでも彼女は元国家魔法使いで、王妃殿下の侍女の不興を買って解雇されたらしい。


「私は血で魔法を使う闇魔法の研究をしておりまして、王妃殿下が興味がおありになっているということで、研究資料の一部を提供することになったのです」


 しかしながらそのさい、昔王妃殿下が血を提供していることが明らかとなり、それを渡すようにと侍女がやってきたという。


「それは王妃殿下が出産のさい、へその緒から採取した血液でした」


 なんでもそれは、体の再生治療に利用できるようで、国王陛下の希望で保管していたものらしい。


「いくら王妃殿下の希望とはいえ、国王陛下の許しなしに渡すわけにはいかず……」


 拒否したところ、その翌日に解雇くびが言い渡されたという。

 王妃殿下の侍女があることないこと報告して、退職に追いやったようだ。


「酷い……」

「本当に」


 他にも、ミュラー男爵には正当でない理由で職場を追われた者が大勢いるようで、その大半が王妃殿下絡みだという。


「あの女は王妃様のすべてを奪っただけでなく、好き放題しているようで」


 自分の言いなりになる、都合のいい人達で周囲を固めているという。

 ミュラー男爵はそんな王妃殿下に牙を剥くため仲間を集め、きたるべき瞬間に備えていたようだ。


「来るべき瞬間というのはまさか、エアが玉座を望んだときですか?」

「それはもちろんのこと、望まなくても、いつか取り返さなくてはと考えていました」


 そのために徒党を組んで戦力を高めていたという。


「国王陛下についても、王妃が入れ替わっていることに気付かず、のほほんと暮らしていることについて腹を立てていましたが……」


 国王陛下も命を狙われていて、臥せった状態だったというのは把握できていなかったという。


「あの女、まさか自らが玉座を狙っているつもりでは? と考えるようにもなり……」


 それもおおいにありうるだろう。

 この国の歴史に女王はいなかったが、君主たる国王がいなければ話は別である。


「これ以上、野放しにするつもりはありません」


 そのために、ミュラー男爵は舞台裏で虎視眈々と復讐の機会を窺っていたのだ。


「まずは私の行動を邪魔するガイ・フォン・リチュオルを拘束し、それからミシャ・フォン・リチュオル、あなたの元婚約者であるルドルフと、その母親キャロラインを探さなければなりません」


 叔父のことはツィルド伯爵の周囲をウロチョロしていたため、顔を把握していたという。

 ルドルフは会ったことはなく、キャロラインについては顔立ちが変わっているだろうから、本人確認は私頼りになるという。


 捜索が必要な叔父、ルドルフ、キャロラインの三名の顔を把握しているのが私だけという状況に、どうしてこうなってしまったのか、と頭を抱えてしまった。

 ひとまず特徴を伝えたので、そこから画師に依頼して似顔絵を描いてもらうという。

 それをもとに調査してくれるようだ。


「彼らも一応、すでに探すように命じていますが、やはり似顔絵があるのとないのでは、発見のしやすさが違いますからね」


 そんな話をしているうちに、バーチに到着したようだ。

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