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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
六部・四章 叔父を捕まえろ!

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叔父の行方

 ミュラー男爵は後日、と言ったものの、翌日に訪問した。

 ある情報を握って。

 ヴィルは不在だったので、レヴィアタン侯爵と一緒に応対することとなる。


「ミシャ・フォン・リチュオル、あなたの叔父ガイ・フォン・リチュオルですが、高飛びしようとしていた痕跡を発見しました」


 なんでも港から隣国ルームーンへ逃げようとしていたようだが、身分証が引っかかったらしい。


「どこかで手に入れた、偽装された身分証だったようで」


 騎士に拘束されそうになるも、またしても叔父は運よく逃げ延びたという。

 本当にどうしてそんなに騎士から逃げられるのだろうか。

 悪運の塊としか言いようがない。


「それにしても、騎士隊の情報をよく入手できましたね」

「騎士隊内に、ミュラー商店の傘下が経営している売店があるんです。比較的自由に出入りできるので、店員に騎士達の会話を盗み聞きするように命じているんですよ」


 まさかそこまで手広く商売を行い、情報収集を行っていたとは。

 古くから騎士隊で売店を営む商会だったようだが、経営不振になったさいにミュラー商店が支援し、傘下へ引き込むことに成功したようだ。

 騎士隊は知らないうちに、ミュラー商店を身内に引き込んでいたことになる。


 その後、叔父の似顔絵を作成し、ミュラー商店の店舗を中心に調査したところ、すでに王都から脱出しているとのこと。


「しかしながら、そう遠くへは行っていないことでしょう」


 所持金は騎士隊が没収していたようなので、そこまで逃走資金があるわけではないのだろう。


「いるとしたら、王都からもっとも近い〝バーチ〟でしょう」


 王都に近接した街〝バーチ〟。

 郊外では豊かな自然の中で豊富な作物が栽培され、さらにいくつもの工場もあり、魔法学校や花嫁学校なども建っていて、貴族の静養地としても名高い。

 国内の産業、文化、観光を支える機能を持った街だという。

 馬車で行けば八時間ほどかかるようだが、ヴィルの竜だと二時間ほどで到着するという。


 レヴィアタン侯爵がヴィルを呼んでくれるというので、その間、ミュラー男爵とメイドが淹れてくれた紅茶を飲みつつ話をする。


「一応、すでにミュラー商店の者にバーチ内を調査させているのですが、似顔絵だけでは限界がありまして、ミシャ・フォン・リチュオルにも協力していただけると非常に助かるのですが」


 ミュラー男爵を騙って商売していた叔父のことは、何があっても捕まえるという。


「すみません、身内なのに、このようなことを頼んでしまって」

「いいえ、お気になさらず。叔父については捕まえるべきだと思っていましたから」


 ただ、騎士隊に引き渡すわけにはいかない。きっと叔父と繋がっている者がいて、逃がしてしまいそうだから。


「ガイ・フォン・リチュオルの身柄については、ミュラー商店に任せていただけませんか?」


 魔法使い特製の、逃走不可能な部屋があるという。

 叔父への制裁の権利はミュラー男爵にもある。任せておいて問題ないだろう。


「お願いします」


 頭を下げると、ミュラー男爵は安堵の表情を見せたのだった。

 一時間後、ヴィルと合流する。

 バーチへ向かうのは、私とヴィル、それからミュラー男爵とその部下の四名。

 ヴィルの使い魔であるセイグリッドが引く竜車に乗り、レヴィアタン侯爵の見送りを受けながらバーチを目指して飛び立ったのだった。

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