終編
ヒグラシの鳴く音と闇を掻き分け、木々に囲まれ落ち葉を敷き詰めた幅の広い階段を、二人の少年少女が駆け足で登っていく。茶色のパーカーに茶色のキャスケットを被った少年は、紫色の花が咲き乱れる黒い浴衣姿の少女の手を引いて、裏山の山頂への道を言葉もなく突き進む。少女はよろけながらもされるがままに少年の背中を見つめ、繋がれる手の温もりを感じる。
木々の隙間から漏れる提灯の明かりを頼りに山頂へとたどり着くと、真っさらな草原広場が目の前に広がった。
少年はそのまま暗い風景の中を、校庭を一望できる丸太で作られたベンチの所まで進み、そこへ腰掛けるよう少女に促した。
終
「……希望くん……?」
どうしてここへと言わんばかりに、三葉は掛かった前髪の奥で眼を丸くする。
希望は微笑を向けると、すぐに上へと視線を逸らした。空には星が瞬き、三日月が鈍く輝いている。
「少し僕の話をしてもいい?」
空を見上げたまま希望が問い掛けた。
突然の申し出に三葉は困惑しながらもこくりと頷いたが、希望は見ていない。
しかし返事が来ないのを肯定としたのか、希望はゆっくりと口を開いた。
「――僕にも大事な人、いたって言ったじゃない?」
「……うん」
「僕も三葉ちゃんとおんなじで、その人に大好きって想いを伝えることができなかった。そばにいないと寂しくて、でも近くにいると恥ずかしくて、意地を張って、思ってもないこと言っちゃって……自分のキモチをごまかしてた。それでも、その人はいつでも笑って傍にいてくれてたから、それでもいいやって一人で勝手に満足して……、」
希望の視線が落ちる。そんな希望の言葉に三葉はじっと耳を傾けている。
「……そしたら、その人はある日突然、僕の前からいなくなっちゃった。僕を置いて、遠い遠い、手の届かないところに行っちゃった。きっと愛想の悪かった僕に神様が天罰を与えたのかもね。……そうして僕は一人になった。だから、僕は追い掛けたんだ。こんな別れはいやだ。せめて、一言でもいいからホントのキモチを伝えたいって。……でもやっぱり、そこに向かう途中で、会いに行くのが怖くなっちゃった。もう僕のことなんか、忘れちゃってるんじゃないかって……、僕になんか会いたくないんじゃなかって。だからその人は姿を消したんじゃないかって……」
「……じゃあ、その人には……」
「言えなかった。今も言えないまま。僕はもうずっと、同じところで立ち止まってる。……えへへ、だから三葉ちゃんとおんなじ。伝えたいことを素直に伝えることができない、引っ込み思案なところなんかさ。……でもね、僕と三葉ちゃんでは一つ違うところがあるんだよ」
ゆっくりと紡がれる言葉に、三葉は首を傾げる。
「三葉ちゃんはまだ、間に合う」
希望は三葉の華奢な肩を掴み、言い聞かせるようにそう言葉を発した。
その言葉と同時に、三葉は矢を射抜かれたように眼を見開いた。
「今なら、僕みたいに突然のお別れなんてことはゼッタイになくなるんだよ」
「……でも……、」
三葉は真摯な眼差しから眼を逸らし、自分の手の平を見つめる。
先程まで繋がれていた温もりは、今はもうない。
別れは突然やってくる。
その言葉が頭を駆け巡り、希望と今の自分とを重ね合わせると、胸がぎゅっと締め付けられた。
希望は深刻な表情の三葉の肩から手を離すと、一つ息をついた。
「……僕ね、今更だけど、その人のところに行こうと思うんだ」
「……え?」
「今からでも遅くないって思ったんだ。三葉ちゃんから春樹さんやお姉さんたちのお話聞いてたら、僕も羨ましくなっちゃったのかもしれないね」
「……じゃあ、希望くん……転校、しちゃうの……?」
「うん……そんな感じに、なるかな」
「……そんな……」
あっけらかんと話す希望の言葉に、三葉の声のトーンは下がる一方だ。
希望までも自分の前からいなくなってしまう。それを想像すると、あまりの喪失感に底のない落とし穴に突き落とされてしまったようだった。
それは、いつの間にか三葉の中で、希望が心のよりどころになっていたからに外ならない。自分の気持ちをわかってくれて、心を痛めている時は親身になって話を聞いてくれ、寂しい時は一緒にいてくれた。
しかし自分の良き理解者が、今自分の前からいなくなると口にしている。
本当に、別れは突然だ。
そう思うと、三葉の小さな口から自然と言葉が零れ落ちた。
「………………やだ……行かないで、希望くん」
潤んで揺れる瞳が希望の眼を貫いた。
それは三葉が、初めて希望に自分から向けた紛れも無いキモチ。
その汚れのない透明な一言は、希望の背中を押すためには十分だった。
だから希望は笑った。
最初は優しく。そして寂しそうに。
「それは…………言う相手を間違えてるよ」
三葉は眉を下げ、不安げに首を傾げた。
「勝負、しよっか」
「……また?」
「うん、内容は同じだよ。五分以内に春樹さんがここに来るか来ないか。さぁ、どっち?」
「………………来ないよ」
様々な想いの錯綜と共に、三葉の出した答えはやはりノーだった。
「本当に……それでいいの?」
「……こんなとこ、見つけられるはず、ないもん」
「春樹さんに、来てほしくないの?」
「……」
その問い掛けに、三葉は答えなかった。
来てほしくないなんて、あるわけがない。それでも本当の想いはしまい込んでしまう。願望を口にすると、叶わなかった時に立ち直れなくなるから。
「そう。じゃあ僕は来るに一票」
そう言うと、希望は立ち上がり柵の方へと進んで寄り掛かった。
希望が月と重なり、身体の周りに鈍い光が包み込んでいるように見える。
「もし三葉ちゃんの言う通り、春樹さんが来なかったら、僕はどこにもいかない。ずっと三葉ちゃんの側にいるよ。でも、もし来たら……、」
「……来たら?」
希望はゆっくり眼を閉じた。三秒ほどそのままで、ゆっくりと眼を開けると、ふわりと微笑んで、茶色のキャスケットを深く被った。
「僕は、三葉ちゃんの前から消えるよ」
その言葉は、闇夜に包まれる広場に、やけに強く響いた。
三葉にとってはどちらに転んでも傷付く結果が待っている。
友達か、家族かの天秤に架けられた三葉には、どちらも救い出す術はない。
「……そんなの、やだよぉ」
「だからもう、行くね。僕は消える運命だから」
「……どうして! ……ハルキもまだ来てないのに……寂しくなったら、来ていいって言ったのは希望くんだよ……!」
「三葉ちゃんはもう、寂しくなんてならないから」
希望が優しく微笑みながら近づいて、三葉の頭を撫でる。三葉の表情はもうくしゃくしゃだった。暗闇でもわかるほど頬を真っ赤に染め上げ、鼻を啜り、眼からはぽろぽろと真珠のような涙がとめどなく溢れてくる。そんな三葉を、希望は愛娘を愛でるような表情で見つめる。
「ありがとう、三葉ちゃん。僕を見つけてくれて」
「……やだもん」
「すごく、楽しかった」
「……やだ」
「もう僕がいなくても大丈夫、三葉ちゃんの想いは伝わるから」
「……いやだぁ」
「だからどうか、僕に勇気を――」
刹那、地を這うような突風が吹き荒れた。
三葉は小さな悲鳴と共に固く眼を閉じ、可愛く上げた髪と赤い花の髪飾りを押さえた。
芝生の下の砂までもが浮き上がる。
暫く十秒ほど吹き荒れた後、風はあっという間に止み、三葉はゆっくりと眼を開けた。
「…………希望……くん?」
そこに微笑みを携えていた希望はいなかった。
まるで今の風に連れていかれてしまったかのように。
浮き上がった草葉がひたひらと舞い落ちる。それらが希望のいた場所に着地すると、三葉の中で消失感が駆け巡った。
「――――……っ! 希望くぅぅぅんっ!」
三葉は今まで出したこともないような大声で叫んだ。
「……っ希望くん…………どうすればいいの……! ……もう一人にはなりたくないっ…………! ……寂しい想いはもうしたくないよぉ……っ!」
やがて叫びは嗚咽に変わり、何度も何度も名前を呼ぼうとするが、上手く言葉に変えることができない。
希望が何故消えたのか、あの一瞬でどうやって姿を消したのか、そんなことは今の三葉にはどうでもいいことだった。
せっかく、友達になれたのに。
どうしてお別れしなくちゃならないのだろうか。
希望は沢山の勇気を自分にくれた。それなのに、自分はまだ何も希望に返していない。
それなのに自分は消えてしまった希望に何をしてあげられると言うのだろうか。
三葉は後悔と無力感に押し潰されそうだった。
その時、三葉の隣に誰かが腰を下ろした。
「……っ……三葉」
「――! ハ、ハルキ……どうして……?」
そこにいたのは悲痛な表情で息を切らせている春樹だった。何故ここがわかったのか。そう問いだしたいように、三葉は真っ赤に腫れ上がった眼を見開く。
「どうして、勝手にいなくなったりしたんだ? ここにだって、花火の時間になったら一緒に来ようって言ってたじゃないか」
覚えていてくれた。
それは何よりも嬉しいことのはずなのに、三葉は顔向けできないでいた。
胸の中でずっともやもやとしているものがある。
「ここ最近もよくボーッとしてることが多かったじゃんか。何かあるなら話してくれよ?」
「…………何も、ない……」
「そんなことないだろ? じゃなきゃ突然いなくなって、こんな所で一人で泣いてるのはおかしいだろ?」
三葉は春樹の言葉に眼を合わせず更に俯く。
胸の中のもやもやは更に色を濃くする。
「一葉も二葉も俺も、それにおばちゃんや花咲、雄太だって、皆心配してたんだぞ?」
「――ッ! そんなの嘘だもん!」
靄が完全に掛かりきろうという寸前、三葉は勢いよく立ち上がって、悲痛な表情で叫んだ。固く閉ざされた扉が、ようやく開いた瞬間だった。
「一葉も二葉もハルキも! みんな……! みんな私のことなんてどうでもいいんだもん!」
小さな両手は固く握られ、堰を切ったように言葉を吐く。
「な……そんなわけないだろ! どうしてそうなるんだよ!」
自分にも希望にできることがある。
「だって…………だもん」
「え?」
見てて、くれるといいな。
「怖かったんだもん!」
三葉は心の固い扉に隠された言葉を解放した。もう自分を偽り続けるのはやめた。
今この時、自分ができることは、沢山の勇気をくれた希望に、その総てを見せてあげることだ。
三葉は健気にそう思い、ぶつけるような声を放った。慣れない大声に思わず鼻を啜った。
「みんないつか離れて行っちゃうんじゃないかって……怖かったんだもん…………」
「どうしてそんな……」
「一葉とハルキは……学校も一緒だし、カホさんともすごく楽しそう……。二葉だって、最近は雄太くんばっかりで…………。……みんなその内、離れていってしまう気がして……」
「――……っ!」
三葉はすとんとまたベンチに腰を下ろして、膝元で固く拳を握る。
キモチの総てを春樹に渡してしまった。
もう後戻りはできない。
この後に返ってくるのは、春樹の本音以外にない。
例えそれが拒絶の結果だろうとも。
「……ごめん、ごめんな三葉……。独りに、しちまって……」
春樹は謝罪の言葉と共に三葉を抱き寄せた。
ああ、どうしてこんな簡単なことができなかったのだろう。
言ってしまえばなんてことないのに。
三葉は春樹の胸に寄り添いながら、今までの素直になれなかった自分を恥じた。
今、三葉は一人じゃないと感じている。
この温もりをもう絶対に手放したくない。
「でもな、三葉……」
春樹は三葉の頭を胸から離させる。三葉は名残惜しそうに見上げると、春樹は涙で張り付いた前髪を梳いてやった。
「俺達が三葉を心配してたって気持ちは断じて嘘なんかじゃないんだぞ?」
「……え?」
春樹が元来た道の方へ視線を移す。三葉も肖ってそちらへ眼を向けると、その先には、一葉と二葉が息を荒げながら、心配そうな表情を浮かべて立っていた。綺麗な栗色髪が、暗闇でもしっかりと色を主張している。
「ミツバ!」
一足先に二葉が全速力で二人のもとへ向かう。そして、ぽかんと口を開けて呆然としている三葉に、一発げんこつを放った。それはいつもの小突き合いではない、振りかぶった本気の一発だった。
「……っった……!?」
「なんで!! なんで勝手にいなくなったりしたんだっ!」
二葉は三葉の肩を掴み、三葉を真っ直ぐに見据えて叫ぶ。
「ほんとーに、しんぱいしてしんぱいしてしんぱいして……ミツバがいなくなっちゃったら、どうしようって! すごくすごくすごーく不安だったんだからなっ!」
「……ぅ…………」
今度は二葉が三葉へ向ける本音だった。初めて向けられた二葉の本当の想いに、三葉はまた抑えきれずに泣き出した。
「な、なんだよお……いつもみたいに反撃してきなよ……、じゃないと……!」
ひたすら「ごめんなさい」と謝りながら嗚咽を漏らしている三葉。殴られた頭は痛いし、掴まれた肩はひりひりする。だがそんな痛みが清々しくもあった。そこには二葉の真っ直ぐな想いが篭められているからだ。
そんな二葉も下唇を噛み、転んだ幼稚園児みたいな顔で、瞳に涙を蓄えている。
そこに遅れて一葉が後ろから歩いてくる。
「二葉だって、泣いていいんだよ? こんなときくらい……」
一葉は優しく、二葉のショートカットに手を置く。
「……うぅ………うわーん! って泣かないよ!」
「ちょ、なんでよ!? 今の流れは一緒に泣くところじゃないの!?」
「泣くのはダメダメ! だって、あたしは三葉のお姉ちゃんなんだからっ! 三葉がもうどこにもいかないように、ずっと見ててあげなきゃいけないんだからなっ!」
三葉の心の中で渦巻いていた靄が晴れていく。もう誰も、自分のことは見てくれていないと思っていた。皆それぞれに大事なものができたと思っていた。けどそれは違っていた。疑心暗鬼になってほんの些細なことも気にしていた自分が馬鹿みたいだ。
快活に笑う二葉のその言葉に、泣いていた三葉の表情は大輪の花を咲かせたように明るくなった。
「わぁ!」
その瞬間、笛のような音に続く破裂音と共に、四人の目線の先で特大の綺麗な花火が打ちあがった。後に続くように、色とりどりの花火が夜空を虹色に彩っていく。
「ミツバみろー! 変な形の花火もあるぞー!!」
「……うん……うんっ……!」
二葉が三葉の手を取り、ベンチにそのまま土足で立つ。それに連れられながら、三葉はただひたすら嬉しそうに頷いた。
希望くん、見ててくれたかな。
勇気、出せたよ。
ありったけの勇気をくれた希望くん。
きっとまたいつか、会えるよね。
そうしたら、その時必ず伝えるよ。
◇◇◇
――――……希望? 希望なの? ――――うん、久しぶり。――――ああ、どうしてこんなところに……。希望はまだこんなところにきていい歳じゃないのに……。――――ごめんなさい。けど、どうしても伝えたいことがあって、来ちゃった。――――伝えたいこと? ――――うん、僕ね……、ずっと意地張ってヤなことばっかり言ってたけど……、
――僕は、「 」のことが大好きでした。
――――そんなことを言うために……? ――――……そんなことが、僕にとっては何より大切なことだったんだよ。――――……私はずっと、嫌われてると思っていたのに……。――――僕こそ嫌われてると思ってた。――――そんなわけないじゃない。私が希望を嫌いになんてなるわけない。――――そっか。やっと……胸の痞えがとれたよ。やっぱりキモチは言わなきゃ伝わらないんだよね。僕の友達が、それを見せてくれたんだ。――――そのお友達は……? ――――お別れしたよ。――――どうして……希望はそれでよかったの? ――――いいんだ。彼女には彼女の居場所がある。だから僕も自分の居場所に来た……。――――
――これからは、ずっと一緒にいてもいい?
――……っ! ええ……、これからはずっと……一緒ね――――
◇◇◇
気付くと四人は一つのベンチで寄り添いながら、眠りこけていた。
先ほどまでの華やかな迫力満点の花火はいつの間にか終わっている。
「なんか、知らぬ間に寝ちゃってたんだよね……」
と、一葉。
「うーなんかボーッとするー」
二葉もこめかみを押さえながら呻く。
しかし三葉は、
「……ねぇ、春樹、……何か、忘れてる気がするんだけど……」
と、どこか煮え切らない表情で、春樹の裾を掴む。
三葉は記憶の片隅が空っぽになってしまったように感じた。
かく言う春樹も頭を掻きながら眉間にしわを寄せている。
二人は何か重要なことを忘れてしまったような、ふわりと宙に浮いたような気分だった。
「……なんだろうな。まぁいっか! よし、三葉おぶってってやるから掴まれー!」
「あー! 三葉だけずるい……っ、と思ったけどそんなこともないかなぁ……!」
素直におぶさる三葉を見て、二葉は一瞬頬を膨らませたが、すぐに割って後頭部で手を組みながら、鳴ってない口笛を鳴らす。お姉ちゃん発言してしまった手前、我慢の心が働いたらしい。
「じゃ、二葉は私と手つなごっ?」
見かねた一葉が手を差し出す。
「それでなっとくしよーじゃないかっ!」
「なんか失礼ね……」
二葉は少々納得のいっていない一葉の手を取り、ぶんぶんと手を振り回しながら、意気揚々と幅の広い階段を下りていく。
三葉は胸に春樹の背中の広さを感じる。春樹の頭の横から、前で手を繋ぐ一葉と二葉を見つめる。二葉の温かな想いを思い出す。
しかし、これらを繋いでくれた何かがあった気がしてならない。
自分は何かを伝えなければならないはずだ。
「…………ありがと」
そう思うと、自然と言葉が零れた。
「どうした?」
「……うん、なんか……そう言わなきゃ、いけない気がして……」
三葉は振り返り、遠ざかる草原広場のベンチを見つめる。夏の陽炎のような既視感に眼を細める。
「うん、そうだな……。きっとそうだ」
春樹も噛み締めるように頷き、ふと木々の隙間から夜空を見上げた。
満点の星空が二人を見下ろしている。
「「……ありがと」」
重なり合った感謝のユニゾンが空に放たれた瞬間、一つ柔らかく撫でるような風が吹き抜けて、夜空に声を乗せて飛んで行った。
これは、三葉の心が少し成長した、ひと夏の不思議な出来事だ。
この夏の出来事は、三葉のこれから長い人生の大きな財産となるはずだ。
いつか、別れは必ず訪れる。
そんなとき、ふと思い出す日があるかもしれない。
この少し甘くてほろ苦い、ひと夏の風の知らせを。
『“ひと夏の風の知らせ” 〜三葉ショートストーリー〜』 了




