3話 三人で仕事がしたいですねぇ。
ちょっと二日ほど投稿が開いてしまいました。申し訳ないです。
朝食後、いつもであればカチュアさんかエレンが依頼を取ってきてくれるのですが、今日は私から話があるという事で、お二人は神妙な顔つきで椅子に座っています。
「さて、お二人に聞きたい事があります」
「なに?」「なんでしょう?」
お二人は私の問いに真剣な顔で答えようとしてくれます。
では……。
「冒険者とは一体何なのでしょうか?」
私はお二人に疑問をぶつけます。
しかし、お二人の表情が驚愕に染まっています。
まさか、それ程の答えなのですか?
「いや、レティ。私達がエラールセで冒険者を始めてもう一月だよ? ずっと、冒険者としての仕事をしていたじゃない」
あれ?
呆れられていますか?
「確かに冒険者の依頼は受けていましたが……」
「何か不満があるのですね」
「はい。私がやってきた事と言えば、最初は盗賊退治で次は魔物退治。こんな事、普段からやっている事なんです。それに、ギルガさん達とは独立しているから仕方ありませんが、エレンとカチュアさんとは今もパーティです。それなのに、三人での依頼が全然ありません」
しかも、盗賊退治といっても殺してはいません。
そこが不満なのです。
盗賊殺しはどうでも良いとしても、私としては三人でできる仕事がしたいのです。
「うーん。それぞれが得意な依頼をこなしているからねぇ……」
それは否定できません。
エレンは治療魔法が得意なので、治療院の仕事。
カチュアさんは給仕の仕事が得意なので教会関係のお仕事。
私は魔物退治のお仕事です。
それは分かっているのですがね……。
私が不満に思っていると、カチュアさんが口を開きます。
「確かにその通りです。私達は三人で一つ。三人で仕事をするのが当たり前なのです」
「ははは。カチュアさんの言う通り三人でお仕事ができないのは残念だよね」
「そうなのです」
私達三人の意見が一致しました。
本当はギルドマスターであるラーマさんに物申しに行きたいのですが、私はギルドに一人では来るなと言われています。
その事を考えていると、カチュアさんが解決方法を出してくれました。
「レティ様一人がダメならば、三人で行けば問題ありません」
「そうだね。三人で来るなとは言われていないからね。ラーマさんに一度相談してみようか」
私達は冒険者ギルドへと足を運びます。
私達三人がギルドに入ると受付内が騒めきます。
どうやら、私の知らないうちに二人はギルドの人気者になっていたようです。
……しかし。
冒険者達の目が気になりますねぇ……。
エレンとカチュアさんを下卑た目で見ないでください。抉りますよ。
私が周りの冒険者を威嚇していると、奥からラーマさんが慌てて駆け寄って来ました。
「お、お前等。どうして三人で来ているんだ!?」
「お仕事が欲しいので」
「な、なら。こっちへ来い!」
私達三人は、奥にあるギルドマスター専用の部屋に連れていかれます。
部屋には立派なソファーがあり、そこに座らされます。
ここに座るときは私を挟むように二人が座ります。
「お茶も出ないんですか?」
「そうだな。好きでお前達を招いたわけじゃないからな」
「本当に失礼な人ですね。私達はお客ですよ!」
「これもすべてお前がやった事の結果だ」
やった事?
別に普通に盗賊退治をしたくらいですよ?
あとは魔物退治は喜ばれていますし……。
「レティシア。お前に話しておく事がある」
「何をですか?」
「お前が初めてこのギルドに来た時にボコボコにした冒険者についてだ」
「はて?」
誰でしたっけ?
「お前……あれだけの事をしておいて忘れたのか?」
「いえ、あまりにもどうでも良い事なので、記憶にとどめるつもりがないだけです」
「そうか。まぁいい。アイツ等は……死んだ」
「そうですか。良かったですねぇ……」
ところで、アイツ等って誰ですかね?
盗賊は全部処刑されたと聞きましたけど……。
「エレンは知っていると思うが、四肢全部の骨を折られ、腱を潰され、喉を潰された三人がいただろう?」
「え? あぁ、あの冒険者達だね。態度が凄く悪かったよ。あの人達が死んだの?」
「あぁ。ゴブリンに殺された」
はぁ?
ゴブリンと言えば、一番弱い魔物じゃないですか。
そんなのに殺されるって新人かなにかなんですか?
「俺はグローリア陛下からお前の神の加護の事を聞いている。アイツ等に何を作った?」
「はぁ?」
なぜ、そんな新人に特殊能力を作らなきゃいけないんですか。
何を勘違いしているのでしょうか?
「言いがかりは止めて頂きたいのですが……」
「言いがかりって、お前なぁ……」
ラーマさんは額に手を当てため息を吐きます。
まぁ、そんな事は良いんですよ。
私はギルドに来た理由を話します。
「おい。話はまだ……。いや、別にいいか。三人でできるお依頼が欲しい。それで、俺のところに来たんだな?」
「はい」
下らない話を強制的に終わらせられた事に呆れている様です。
まぁ、どうでも良いです。
「お前等の要望は分かった。だがなぁ、お前等は一人一人の能力が高いから別々に依頼を受けさせた方が効率が良いと思っているんだが?」
ラーマさんがそう言うと、カチュアさんから冷たい殺気を感じます。
当然、ラーマさんもそれに気づきます。
「レティ様が三人で仕事をしたいと言っているんです。これは命令です。何か探しなさい」
「いや、冒険者に命令されても困るんだが……俺はギルマスなんだぞ……」
「だから何ですか? 私が探せと言っているのですから、探せばいいのです」
カチュアさんはさらに殺気を強めます。
ラーマさんもこれには逆らえないのか青い顔になっています。最初からそうすればよかったのですね。
「……はい」
ラーマさんはそう言って、一度部屋を出て受付へと戻ります。
そしてすぐに一枚の依頼書を持って帰ってきました。
「これなんかどうだ?。難度が高すぎて誰も受けたがらない依頼があるんだ」
「どんな依頼なのですか?」
「ここから馬車で北に一週間ほど行くと大きな山がある。その山には凶暴なドラゴンがいて、そいつの心臓が七色に光る宝石のような鉱石だそうだ。コレを欲しがっている御方がいてな。それを取って来る依頼だ」
「ドラゴンですか?」
「あぁ。ドラゴンと言えば危険極まりない魔物だ」
ドラゴンって凶暴でしたかね?
「ドラゴンとは何度も戦っていますが、凶暴ですか?」
「なに?」
「だから、何度も戦った事がありますと言ったんですよ」
「どこでだ?」
「もともと住んでいた町の近くの山に住んでいたので、たまに尻尾を貰いに行っていました」
懐かしいですねぇ……。
「何のために?」
「食べる為ですよ?」
ドラゴンのお肉は美味しいんです。
最初は必死に抵抗してきましたが、何度も斬っているうちに自分から尻尾を差し出すようになっていましたからね。
そういえば、何度も斬っていたのに無くなる事はありませんでしたねぇ……。
再生していたんでしょうか?
ラーマさんが今の話を聞いて軽く青褪めています。
なぜでしょうか?
「わかった。ドラゴンを簡単に倒せるならば、この依頼はお前達に相応しい」
そういって、ラーマさんは依頼書を渡してくれます。
「そうだ。依頼主のところには行っておけ。この依頼はだいぶ前に出されていて、誰も受けずに半年以上たっているからな」
「はい。わかりました」
さて……依頼主は……。
「で? 俺のところに来たと?」
「はい。ラーマさんが言うには一度依頼主に話を聞きに行けと言われましたので」
私達の目の前には野性的な顔をした赤髪の王、グローリアさんがいます。
「まぁ、依頼主は俺だが……。誰も受けてくれなくて困っていたんだが、まさか、お前達が受けてくれるとはな」
グローリアさんは少し困った顔をしています。なぜでしょうか?
「まぁ、良いです。それでドラゴンの心臓が欲しい理由は?」
「それは……」
誤字報告いつもありがとうございます。
感想などもありがとうございます。
最近、復讐編を他の小説投稿サイトに載せ始めました。これを期に少し書き直しています。また、よかったら見てやってください。感想もお待ちしています。
ラーマの話に出てくる死んだ冒険者はレティシアに絡んだ冒険者達です。レティは本気で忘れています。




