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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
2章 レティシア、ファビエ王都で暴れる。

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19話 創造の力

誤字報告いつもありがとうございます。

暫く定期的な時間ではなく一日一本のペースで書いて行きたいと思います。


 露出狂は、一見はスタイルも良く、顔も美人さんだと思うのですが、恥という概念がない鎧(?)を着ている事ですべてが台無しになっています。

 今も全身に兵士の血を浴びて、妖艶な笑みを浮かべています。

 体から滴る血が妖美さを引き立てていますね。


 露出狂を囲む兵士は、そんな彼女の姿に怯えきっています。一応忠告してあげましょうか?


「そんなに怯えていてはじゃ……」


 私が何かを言い終わる前に兵士達は殺されてしまいました。

 まぁ、()の前で怯えて呆然としてしまえば、殺されても仕方ないですね。


 ともかく、この先には姫様とレッグさんがいますので、露出狂にはここで退場してもらいましょうか。


 しかし……。


「随分と簡単に侵入されてしまいましたね。このお城の警備はどうなっているのでしょうか?」

「ふふふ。元々ジゼルはこの国の宮廷魔術師ですわよ。城への転移など雑作もない事でしょう」

「そうですか……。露出狂なので頭がイカれていると思っていたのですが、話は通じるようです。それで、何が目的ですか?」

「さてねぇ……。ジゼルに城で暴れて来いと言われただけですから、私はその命令(・・)に従っているだけですわ」


 命令ですか……。

 前回は露出狂と言われ怒っていたのですが、今回は無視ですか。しかも、自分からタロウではなくジゼルに従っている言いましたね。操られているのでしょうか?

 それに、見た目はほとんど変わっていませんが、何やら雰囲気が違いますねぇ。


「でも、よかったわぁ」

「はい?」


 露出狂は私を見て嗤います。


「私を殺した(・・・)貴女に復讐できるのですもの」

「復讐ですか……。弱い貴女に可能ですか?」

「できるわよ~」


 露出狂から黒い何かが出て来ました。

 これは武闘家の【武神の決意】と同じです。

 毛玉の話を信じるのならば、あの力は悪魔の加護だという事ですが、露出狂が放っているモノも同じ力ですかね?


「今回は本気を出しますが、貴女を見くびりませんわ。貴女を確実に殺す為に、ジゼルから強力な武器を貰ってきましたの」


 露出狂は禍々しい剣を取り出します。

 アレは……魔剣という奴ですか?


「魔剣【シトリ】ですわ。私を露出狂と蔑んだ貴女を後悔させてあげますわ」


 無視していたと思いましたが、やはり気にはしていたんですね。

 露出狂が構えると黒い何かが魔剣にまとわりつきます。

 そして、露出狂が私めがけて駆けてきます。

 ……確かに前回よりも速いですね。

 しかし。


 私は露出狂の目を狙いナイフを投げつけます。

 しかし、簡単に避けられてしまいました。


「今回はジゼルから【絶対回避】を借りて(・・・)きましたわ。その程度の攻撃当たりませんわ」


 露出狂が剣を振るってきますが、私は簡単に避けます。

 ふむ……。

 借りるですか……。

 神の加護を借りてくる事が可能なのでしょうか?

 もしかしたら、借りたのではなく埋め込んだ?


 まさかと思いますが、ジゼルも【神殺し】なのでしょうか?

 しかし、借りるというのは【破壊】【再生】【創造】にどれに当てはまるのでしょうか?

 ……ふむ。

 聞きたい事が増えてしまいましたね。


 タロウのような雑魚(・・)相手であれば連撃で対応できたのですが、露出狂はタロウよりも強いですし、連撃では避けられそうですね。

 本当に【絶対回避】は厄介です。

 ここは【武神の決意】でも使って戦いましょう。

 あれならば、露出狂にもダメージが入りそうです。


 私は【武神の決意】を発動させます。


「ふふふ……。それがジゼルの言っていた【悪魔の力】ですわね」


【悪魔の力】? 何の事でしょう?


 更に聞きたい事が増えました。

 露出狂をここで殺すつもりでしたが、捕らえる事にしましょう。


 タロウの力が七つの大罪である【強欲】というのは、毛玉の話でほぼ確定でいいと思いますが、まだ不明な点が多すぎます。

 もしタロウに命を奪い他者に与える(・・・)力があれば露出狂もタロウと同じ死なない体という事になります。

 しかし、露出狂と武闘家の死は先日確認しましたし、姫様に後から聞いたところ、ジゼルは【蘇生魔法】を使えるみたいです。

 タロウは魂を奪い【不老不死】を得て、露出狂達は蘇生させられた?

 どちらにしても、考えているだけでは答えは出ません。


 そもそも、タロウの【不老不死】もちゃんと確認を取ったわけではないのですから。


 さっさと四肢を使えなくして捕らえるとしましょう。


「ふふふ。攻撃が当たらないのは困りましたわね。本当はコレ(・・)を使うと醜くなってしまうので嫌なのですが、仕方ありませんね」


 露出狂から黒い何かがあふれ出し、髪の毛が逆立つように靡き始めます。

 そして眼が真っ赤に染まりました。


 まるで、本物の悪魔ですね。


「【狂戦士】発動ですわ!!」


 露出狂がそう叫ぶと、彼女の体が二倍に膨れ上がります。そして黒い何かが鎧の様に纏わりついていますね。

 口は獣のように裂け、牙も見えます。


「ぎゃがぁああああああああ!!」


 咆哮ですか。

 まるで獣……いえ、獣そのものですね。


 露出狂は私に迫ります。

 先程よりもはるかに速いです。


 これはナイフでは分が悪いですね。


 私は落ちていた兵士の剣を二本拾います。

 そして露出狂に斬りかかったのですが、皮膚そのものが硬く傷が着きません。


 さて、これは困りました。

【狂戦士】化する事で、【絶対回避】は無効化されているみたいですが、攻撃が通らなければ意味がありません。

 普通に斬っても斬れない、全力で斬ればおそらくは剣が持ちません。

 どうしましょうか?


 あ……。

 そういえば……。


(お前には【創造】があるだろう? 俺に【身体超強化】を作ってくれたじゃないか)

(【破壊】【再生】【創造】の三つだ。このどれかを持っていれば【神殺し】のクラスを得る事ができる)


 私のクラスは【神殺し】

 そして、三つのうちの【創造】を持っている可能性がある……。


「私が本当に【創造】の力を持っているのなら……」


 作れますかね。

 私はイメージします。


 ……神?


 そんなモノは信じません。

 私が信じるのは……エレン。そして……自分です。


 光は……エレン。

 闇は……私。


 私は両手の剣に魔力を送り込みます。

 剣の名前ですか?


 聖剣は【ヒカリ】魔剣は【ヤミ】ですかね。


 私自身が光り、光が右手の剣に私の身体を纏っていた黒い力が左手の剣に。


【疑似・聖魔剣創造】


「できました」


 私の右手には光を凝縮した聖剣【ヒカリ】が、左手には闇を収束した魔剣【ヤミ】が握られています。


「ぎゃぎゃ!?」


 露出狂は危険を察知して一歩下がります。

 しかし……。


 露出狂の胸から血が噴き出しました。


「ぎゃぎゃあああああ!!」


 どうやら私の聖剣は上手く作り出せたようです。私の剣速に耐えました。

 魔剣はどうでしょう?


 私の全力の斬り落としで、露出狂の腕が落ちます。


「ぎゃがぁああああああああ!!」


 どうやら魔剣も強度はバッチリです。

 これは良いモノができましたね。


 さて……試し斬りの時間です。

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