表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
最終章 神殺し編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

320/325

76話 永遠の地獄

≪ベアトリーチェ視点≫


 レティシアは本気を出すと言って、魔力を放出し始めた。【鬼神】の力を持っているからか強力な神気すら感じた。

 そして、レティシアの力が具現化された。


 その姿は……!?


 わ、私は何を見せつけられているんだ……。

 私は忌み嫌われている魔霊族とはいえ、神族だ。

 もちろん神格についても当然知っている。知っているからこそ、目の前に立っているレティシアの姿が信じられない。

 当のレティシアは自分の背中に生えた羽を見て嬉しそうにしている。


「あははー。背中に羽が生えたから空を飛べますよー」


 レティシアはそんな事を言っているが、神族の羽は神気の結晶のようなモノであり、空を飛べるというモノではない。そもそも、レティシアの様な力を持っている者は、魔法で空くらい飛べるはずだ。

 ……いや、その考えは間違っているかもしれない。レティシアは空を飛ぶ事は出来ないはずだ。


「飛べましたよー」


 レティシアが背中の羽を羽ばたかせて少し浮いている。いや、羽を動かさなくても飛べるだろう……。

 しかし、今のレティシアの羽は……。


 テリオスに何かをした瞬間、漆黒のドラゴンの羽と尻尾が生えている様に見えた。おそらくはテリオスを倒した力と関係があるのだろう……。


 しかし、今の羽は……。

 四対八枚羽。そして、色はすべて漆黒。


 神族の羽は、神格により数が変わる。色についても同じ意味がある。

 神王サクラの羽の数が四対八枚羽で色が虹色。これが今神界で確認されている最高の神格だ。

 噂ではサクラと同じ羽を持つ者が数名いると聞いているが、真偽は確かではない。

 そんな事よりもだ……。なぜ、この小娘の羽の数が最高の数なんだ? 色も、虹色には及ばないが、漆黒と言えば、上から三番目の色だ……。


 な、なぜだ……。なぜ、こんな人間の小娘がこれほどの力を……!?


 私は目の前の絶望を受け入れられなかった……。



≪レティシア視点≫


 突然ベアトリーチェの目から光が無くなってしまいましたよ。何か困った事でもあったのでしょうか?


 しかし、生まれて初めて本気で魔力を解放してみましたが、体の奥から力がみなぎってくるようです。

 背中に羽が生えているおかげで、空も飛べるようになりましたし、最初は大きく羽ばたかないと飛べないと思っていましたが、小さく羽ばたいても飛べるようです。

 しかし、魔力があふれ出てくるみたいで調子がいいです。さて、強さはどうでしょう? とりあえずどれほどか、ベアトリーチェで試してみましょう。


 私はファフニールを振り上げて、ベアトリーチェを殴りに行きます。

 魔力をそれほど込めてはいないですが、当たれば痛いのはベアトリーチェも一緒みたいで結界魔法を使い防御しようとしています。

 防御をするという事は、まだ戦うつもりですかねぇ。


 まぁ、この程度の結界なんて簡単に砕けそうですから、ベアトリーチェの頭に剣を振り下ろします。

 ベアトリーチェは結界では防ぎきれそうにないと判断したのか、大きく横に飛びのいて必死に逃げようとしました。

 まぁ、それでも遅いんですけどね。

 振り下ろしたファフニールはベアトリーチェの肩に直撃しました。


「あぁあああ!!」


 ベアトリーチェは、苦痛に歪んだ顔で肩を抑えています。何やら光っているので、どうやら治療魔法を使っているようですね。

 でも、治療しちゃダメですよっと。


 私はベアトリーチェの頭を蹴ります。


「ごぶぅ!!?」


 ベアトリーチェは無様に仰向けに倒れます。これ以上はもう楽しめそうにないですね。そろそろですかねぇ……。


 私は次元転移魔法の準備を始めます。少し前から拷問する為の世界を作っていたのですが、サクラ様から面白い話も聞けましたしね。

 ……その名も『永遠の地獄』。


 詳細までは教えてもらえませんでしたし、私の【神の眼】ではサクラ様の頭の中までは視えませんでした。だから、どういった世界かは知りません。

 だから、私は考えました。


 元々、私専用の拷問部屋を作ろうとしたのが始まりでした。そして、エルジュが閉じ込められている空間を見て、部屋ではなく、空間を作ろうとしました。それがそこそこ上手くいっていたのですが、『永遠の地獄』という世界があるのを知って、私専用の拷問世界を作ろうと考えました。そして、テリオスと戦っている最中にチャチャっと作ってしまいました。まぁ、何もない世界ですから簡単でしたけどね。 

 因みに、この世界には私が入れた者と私にしか入る事は出来ません。エレンやカチュアさんでも入る事は不可能なように設定しておきました。まぁ、サクラ様なら簡単に入って来そうですけどね。


 次に作ったのがゴーレムです。

 私が四六時中拷問するのもいいのですが、そんな事をしたら、エレンやカチュアさんと一緒に居る事が出来ません。

 それは嫌なので、私の代わりに拷問してくれるゴーレムを作りました。モチーフは赤い私です。性格も残虐に作ってあるので殺さない程度に痛めつけてくれますし、強さもドゥラークさんには届きませんが、そこそこ強いです。


 後の事は、ベアトリーチェを入れてから考えればいいです。


「さぁ、行きましょう」


 私はベアトリーチェの手を掴みます。


「え?」


 ベアトリーチェを次元転移魔法に放り込みました。断空結界があっても私が作った拷問世界に行けるみたいです。


 この世界には何もありません。でも、ベアトリーチェには何が見えているのか、怯えているみたいです。


「あぁああああああああ!!」


 はて?

 私が目を離した隙に、ベアトリーチェが逃げようとしています。しかし、赤い私二号がベアトリーチェの髪の毛を掴んで引きずって連れ戻してきました。


「は、離せぇええええ!! ごぶぅ!?」


 ベアトリーチェが騒ぎますが、赤い私二号がレティイロカネのこん棒で殴って黙らせます。

 私は赤い私二号にベアトリーチェを羽交い絞めにしてもらいます。そして、私はベアトリーチェの目の前で笑顔になります。


「ひっ!?」


 怯えていますねぇ……。

 でも、本当の地獄は今からですよ。


「貴女は『永遠の地獄』を知っていますか?」


 私がそう聞くと、ベアトリーチェが青褪めて泣き出しました。どうやら『永遠の地獄』という言葉は予想以上に怖いみたいですね。

 私もサクラ様に逆らうのは止めておきましょう。まぁ、そんなところに閉じ込められたとしても絶対出て来てやりますけど。


 私はベアトリーチェにある魔法をかけます。

 これはベアトリーチェに絶対かけようと思っていた魔法です。


「貴女の魂をこの世界に縫い付けてやりました。もし、この世界から出れば、貴女の魂は最期の苦痛と共に砕け散ります。死にたくなったら、この世界から逃げ出そうとしてくださいね」


 私がそう笑顔で言うと、ベアトリーチェは絶望の顔になり真っ白になっていました。

 あ、そうです。ちゃんと言っておかなければいけませんね。


「あぁ、ベルの魂はちゃんと貴女から切り離しておきましたよ。だから、苦しむのも死ぬのも貴女一人です」

「あぁあああああああああ!!」


 この狭い拷問世界でベアトリーチェの泣き叫ぶ絶叫だけが響くでしょう。

 あぁ、良い事した後は気分がいいです。


 私は、泣き叫ぶベアトリーチェに背を向けてアブゾールに戻りました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 悪い子はドンドン、しまっちゃおうねぇ。 ……はっ! これは、しまっちゃうおじさんならぬ、しまっちゃうレティさん!! 本当はどっかの神話生物で、アフォーゴモンとか言うのを連想していたので…
[良い点] 悪い子の所にはこわい鬼神が来て永遠の拷問部屋に連れて行かれちゃうんだよ 後のなまはげである
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ