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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
2章 レティシア、ファビエ王都で暴れる。

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3話 交渉材料

誤字報告いつもありがとうございます。


 偉そうな人は、自分に何が起こっているのか理解できていないようで、呆けていました。腕からは血が今も流れ続けています。

 殺さないようにと言われているのですが、このまま血を流していてはいつか死んでしまうかもしれませんねぇ。まぁ、汚い手でエレンに触れるから悪いんですけど。


「え? え? お、俺の腕は?」


 はぁ……。

 いつまで呆けているのでしょうかねぇ。そろそろ止血をしないと死んでしまうので意識だけでもしっかりさせてあげましょう。意識さえしっかりすれば自分で止血をするでしょう。


 私は偉そうな人の頬を思いっきり平手打ちします。

 すると偉そうな人は壁に向かって勢いよく飛んでいきました。冒険者達は慌てて偉そうな人を避けます。その結果、偉そうな人は壁に激突してしまいました。


 はて?

 そこまで強く叩いたつもりは無いのですが、飛んで行ってしまいました。

 変に力でも付きましたかねぇ……。私は自分の腕を見ますが、細いままです。

 おかしいですねぇ……魔力は込めていないのですが……。

 まぁいいでしょう。


 壁にぶつかった事で正気を取り戻した偉そうな人は、腕から流れる血を必死に押さえています。

 しかし、手で押さえたくらいでは出血は止まりません。

 偉そうな人は顔一面に脂汗を流しながら、私を睨みつけます。


「こ、この腕をやったのはお前か!? 私を誰だと思っている!?」

「はぁ? 知りませんよ。貴方とは初めて会ったのですよ。もう少し考えてから発言してください」


 こういう偉そうな人は、なぜか自分の事を全ての人間が知っていると勘違いしている節があります。

 例えこの偉そうな人がこの国の王だったとしても、初めて会った人は気付きません。


 ん?

 偉そうという事は、コレが国王なのですか?

 いえ、それはありませんね。もし、この偉そうな人が国王であるのなら、テレーズさんや冒険者達が驚いているはずです。

 テレーズさんもこの偉そうな人が誰だかが分かっていないようです。

 という事はたいした人ではないのでしょうか。

 そんな事を考えていると、偉そうな人は自分から自己紹介してくれます。


「お、俺はソナリズ家の三男ヘグド様だぞ!!」


 ソナリズ家?

 何ですかそれは?

 しかも三男という事は……どうなんですかね? 有名なのでしょうか?


 冒険者達はソナリズ家と聞いてざわめきだします。

 よほど偉い家なのでしょうかねぇ?

 私はテレーズさんにソナリズ家の事を聞きます。


「ソナリズ家は国民に恐れられている侯爵だよ。気に入らない者をすぐに処刑する事で有名で、さっき話した宿屋の主人を殺したのもソナリズ侯爵なんだよ」


 こうしゃく?

 ふむ。

 貴族の事は良く分かりませんが、エレンも貴族でしたのでどっちが偉いのでしょう?

 しかし、クズ貴族ですねぇ……。

 貴族という事はどう処分したらいいのでしょうか……。


「ギルガさん、どうします?」


 ギルガさんは黙って頷きます。


 そうですか。

「厄介だから殺せ」と言っているのですね。


 私は笑顔でサムズアップしておきます。

 しかし、私の行動を見てギルガさんが駆け寄ってきました。


「お前、俺が頷いた意味を理解してないだろう」

「失礼ですねぇ。理解していますよ。「こいつは三男だから利用価値が無いので殺せ」という意味でしょう?」


 私が思うに、こんな貴族は必要ありませんよね。

 いらないモノはこの世から消しておきましょう。


「お前はアホか!? 殺してどうする!? 痛めつけるのは構わんが、このままでは出血死してしまう。血を止めてやれって意味だったんだよ」

「そんなの分かるわけないじゃないですか。ちゃんと言葉にしてください。アホですか」

「うっ……。す、すまん。どちらにしても、とりあえず止血をしてやれ。それと話が聞きたいから、話ができるようにして欲しい」

「分かりました。とりあえず善処します」


 私はヘグドに近付きます。

 どうやら出血のし過ぎで軽くボーっとしているみたいですね。

 これは早く止血した方が良いでしょう。


 私はヘグドの顎を蹴り上げ、傷口を焼いておきます。これで血は止まると聞いた事があります。

 しかし、ヘグドは焼ける熱さに泣き叫んでいます。


 うるさいですねぇ……。せっかく血を止めてあげたのですから、叫ぶくらいなら感謝の言葉を述べてください。。

 はぁ……、耳障りです。喉を斬りましょうか?

 あ、ダメです。喋れなくなったら困るんですよね。


 ギルガさんからは話ができるようにしろと言われました。どちらにしても耳が痛いので一度眠らせましょう。

 私はヘグドの頭を掴み激しく振って一瞬動きを止めます。

 そして……。


「眠らせるのをイメージして……。眠りなさい!」


 私が魔法をかけるとヘグドはその場に崩れ落ちました。

 上手くいったみたいですね。

 眠っている間に両足の骨を砕いておきます。これで起きても逃げられないでしょう。

 さて、ここからは楽しい拷問の時間です。


「テレーズさん。この冒険者ギルドの拷問部屋はどこですか?」

「え? い、いや。普通のギルドにはそういう部屋はないよ」


 え?

 普通はあるでしょう?

 愚かな人を捕まえたら拷問をするのですから、一家に一部屋必要でしょう?

 テ……の町の私の家にはありましたよ。今の屋敷にも作りましたし。

 あ、ギルガさんやトキエさんには内緒です。流石に勝手に地下室を作れば怒られてしまいます。許可は後でとればいいと思っていたんです。

 そうです。ついでに許可を取っておきましょう。


「ギルガさん」

「あぁ、眠らせたのか。しかし、ギルドに拷問部屋は……」

「それはテレーズさんに聞きましたよ。私が言いたいのは、セルカの町の屋敷に拷問部屋を作りましたよ(・・・・・・)

「は? どこにだ?」

「地下です。作りましたけどいいですよね」

「いいですよねって、事後報告かよ……。トキエは知っているのか?」

「いえ、私しか知りません」

「そ、そうか」


 ギルガさんは呆れた顔をしていましたが、納得してくれたようです。

 これでトキエさんにバレても、ギルガさんの許可を得て作ったと言い張ればいいです。


 ヘグドの事ですが……、両足の骨が砕けているので、目を覚ましたとしても逃げられませんから良いでしょう。

 それにどちらにしても最後は死にますから。


 ……。

 え?

 殺すなと言われている?

 交渉の道具として必要が無くなれば殺しますよ。

 エレンの腕を強く掴んだので、エレンが痛そうでした。それなのに、生かしておく必要が?

 生かしておく必要はないでしょう。その証拠に冒険者達は「殺せー!!」と無責任な事を言っていますからね。

 

「ギルガさん。さっきのテレーズさんの話を聞く限り、交渉できそうな貴族なのですか? そもそも、何を交渉するのですか?」

「うん? 侯爵ならタロウ召喚時の事も知っているかもしれないだろう?」

「確かに知っているかもしれませんが、こいつは三男ですよ。交渉の道具になるのでしょうか? 話を聞く限り切り捨てそうなんですが……」

「た、確かにな……」


 交渉の道具にならないのであれば生かしておく必要はなくなります。

 ……。


「殺して良いですか?」

「ダメだ。こいつは三男だが、もしかしたら有益な事を知っているかもしれないだろう?」

「じゃあ、一度聞いてみましょうか?」

「とは言っても寝ているからなぁ……。起こしたとしても痛みで騒ぐだろうし……。レティシア、痛みを麻痺させる事はできるか? とりあえず起こさなきゃいけないし、痛みで騒がれても鬱陶しい」


 痛みを麻痺させる?

 できますが、私には有益な魔法があります。


「痛みを麻痺させなくとも、自白させる魔法はありますよ?」


 前にエレンを襲った愚か者に使った魔法です。

 あの魔法は無理矢理自白させる魔法なので、痛みがあろうと問題ありません。


「そう言えば、あの日の夜にそんな話をしていたな。その魔法は意識がない奴にも使えるのか?」

「さぁ? 私も最近作ったばかりですからそこまで詳しくありません。一度試してみましょう」


 私は男の頭の上に手を置きます。


「相手を自白させるイメージで……」


 私が魔力を注ぐと、ヘグドは一度ビクッとなり、半目を開けます。


「あ、あ、あ、あ、あ……」


 意識はハッキリしていませんし、目も虚ろですねぇ。大丈夫ですかねぇ?


「貴方の名前は?」

「へ、ヘグド=ソナリズ……」


 ヘグドは素直に答えます。

 成功しました。

 答えるのを確認した後、ギルガさんに質問してもらいます。



 しかし、有益な情報は何も得られませんでした……。こいつはただの馬鹿だったみたいですね。


「だめだな。何も知らないみたいだ」

「じゃあ、殺して良いですか?」


 周りの冒険者さん達も「殺せー!!」と言っていますし。

 私はギルガさんを期待するような目で見ます。


「あ、あぁ……交渉道具にも使えんし、ここで止める意味もないな……」


 ギルガさんも渋々許可を出してくれたので殺そうとした瞬間、私を止める声がしました。

 誰ですか?

感想、気になる点、指摘などがありましたら是非よろしくお願いします。


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