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顔面S級冷酷無双ヤンデレ王子と転生令嬢  作者: はるさんた


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第三十九話:孤独な檻と、冷酷な裁き

アレスの冷たい殺気が満ちる中、ルナは彼の差し伸べられた手を見つめた。それは、救いの手ではなく、再びルナを捕らえ、二度と逃がさないための独占の鎖だった。


クリスはルナの前に立ち、結界の理論を記した羊皮紙を隠すように背後に回した。


「殿下、私はイシュタール公爵家の嫡男です。ルナ様は、あくまで学術的な探求のために僕と協力しただけです。王家の機密を漏洩した事実は一切ありません」


アレスは、クリスの言葉を一顧だにしなかった。その銀色の瞳には、ルナの裏切りに対する深い傷と、それを犯した者への容赦ない怒りだけが宿っていた。


「学術的な探求だと?僕の王妃となるべき人間が、僕の知らない場所で、僕の支配を破るために異端の知識を探求していた。これは、僕への最大の裏切りだ」


アレスは静かに手を上げ、背後の騎士団員に命じた。


「クリス・ド・イシュタールを拘束しろ。王家の魔導理論を盗もうとした罪、および王族の婚約者に対する不敬罪で、直ちに辺境の領地へ送還する。今後、二度と王都への立ち入りを許すな」


騎士団員がクリスを取り囲んだ。クリスは抵抗しなかったが、ルナにだけ聞こえる声で叫んだ。


「ルナ!古代の知識を諦めないでください!それは、この世界を変える力だ!」


ルナは、クリスが排除されることに、どうすることもできない無力感を覚えた。彼を巻き込んでしまったという罪悪感が、ルナの胸を締め付けた。


アレスは、ルナが一瞬クリスに気を取られたことに気づき、怒りを募らせた。


「君が見るのは、僕だけだ、ルナ」


アレスは強引にルナの手を掴み、そのまま廃墟の外へと引きずり出した。その力は強く、ルナの手首に食い込んだ。


「アレス、待って!私たち、ただ研究を…」


「言い訳は許さない」アレスは冷たく遮った。「君は、僕という絶対的な存在の目を欺いた。僕を、この王国の王子の威厳を愚弄した。その代償は、言葉や謝罪で済むものではない」


廃墟の外には、アレス専用の馬車が待機していた。アレスはルナを荒々しく馬車に押し込み、彼自身も乗り込んだ。騎士団は距離を取り、馬車は静かに、しかし速やかに、学院の寮室ではなく、王宮の方向へと進み始めた。


馬車の中は、ルナの恐怖とは裏腹に、豪華な装飾と、アレスの纏う冷たい香りで満たされていた。


アレスはルナと向かい合って座り、その銀色の瞳でルナの全身を焼き付けるように見つめた。その視線は、ルナの心の奥底まで見透かそうとするようだった。


「僕が君に与えたものは、全てだったはずだ。貧しい平民の娘に、最高の教育、最高の地位、そして僕の愛。それなのに、君は僕の支配から逃れようと、あの異端の男と秘密を共有した」


アレスは悔しさと怒りで声を震わせた。それは、ルナの知る冷酷な王子ではなく、深く傷ついた子供のような響きを持っていた。


「ルナ。君が僕に隠し事をするのは、君がまだ僕のものになっていない証拠だ。だから、僕は君が二度と僕から離れることを考えられないように、僕の愛と支配を、君の全てに刻み込まなければならない」


アレスはルナの頬に触れた。その指先は氷のように冷たかったが、その力はルナの顔を強く固定した。


「馬車は今、王宮内の僕の私室へ向かっている。そこは、誰にも邪魔されない、僕と君だけの場所だ。そこで、君へのお仕置きと、僕の真実の愛を教えてあげよう」


ルナは、アレスの言葉と瞳に宿る狂気に、全身の血液が凍り付くのを感じた。彼女の推し活は、彼女自身が望まない、最も危険で予測不能な破滅へと導かれようとしていた。

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