第二百話 フルバースト
「――瞬く星のごとく輝き、そして散れ……刃の花よ!」
◆現在の状況◆
・『アリヒト』が『支援攻撃1』を発動
・『エリーティア』が『アルティメイタム』を発動 → 『エリーティア』の攻撃力、速度が上昇 『残紅』付与
・『エリーティア』が『スターパレード』『ルミナスフラウ』を発動
・『スターパレード』の効果により『エリーティア』の攻撃回数が上昇
・『ルミナスフラウ』が『?意志を持つ鎧』に42段命中 『残紅』を40回付与
・『?意志を持つ鎧』が『ゼロアヴォイド』を42回発動 ダメージ0
・『エリーティア』の追加攻撃が発動 28段命中 支援ダメージ368
エリーティアの目にも留まらぬ連撃を、『鎧』は恐るべきことに途中まで無効化し続けた――だが。
――星の……光を、捉える……刃……赤き剣……『アンタレス』……――
「エリーティアさんの攻撃が、通った……っ!」
攻撃を無効化する技能も魔力を消費している――あるいは、限度を超えては連続使用ができない。そしてダメージの通りにくい金属質の相手でも『支援攻撃1』であれば関係がない。
「アリヒト、みんなっ!」
「――行くぞっ!」
『はいっ!』
五十嵐さん、メリッサ、セラフィナさんがアルフェッカから降りる。全員で仕掛ける――可能な限りの攻撃を。
「――『支援連携』『一斉攻撃』!」
◆現在の状況◆
・『アリヒト』が『支援連携1』『支援攻撃1』を発動
・『ミサキ』が『ジョーカーオブサンダー』を発動 →『?意志を持つ鎧』に命中 怒り無効 雷属性弱点に変化
・『アリヒト』が『ダークネスバレット』を発動 →『?意志を持つ鎧』に命中 弱点攻撃 感電付与 連携技一段目
・『キョウカ』が『ライトニングレイジ』を発動 →『?意志を持つ鎧』に命中 弱点攻撃 感電付与 連携技二段目 支援ダメージ13
・『ライトニングレイジ』の追加攻撃 →『?意志を持つ鎧』に三段命中 弱点攻撃 支援ダメージ39
ミサキの『道化師の鬼札』が、『鎧』が耐性を持っていた雷属性を弱点に変える。そうなると確信があったわけじゃない、しかしミサキなら――五十嵐さんも、きっとそう思ったのだろう。
「――はぁぁぁっ!」
◆現在の状況◆
・『セラフィナ』が『シールドスラム』を発動 →『?意志を持つ鎧』に命中 スタン連携技三段目 支援ダメージ13
・『メリッサ』が『切り落とし』を発動 →『?意志を持つ鎧』に命中 連携技四段目 支援ダメージ13
・『闘鬼の小手』の効果が発動 →『駄目押し』の追加打撃 支援ダメージ13
・『スズナ』が『フォビドゥンアロー』を発動 →『?意志を持つ鎧』に命中 連携技五段目 支援ダメージ13
・連携技『鬼札闇雷衝・断蝕』 →クリティカル 感電継続 部位破壊 連携加算ダメージ130
連撃を浴びた『鎧』から火花が散る――そしてメリッサの攻撃を受けた部位、肩の装甲が吹き飛ぶ。
――しかし、外れたはずの装甲が浮き上がり、鎧の形状が変化していく。まるで、人が纏っているような形へと。
◆現在の状況◆
・『?意志を持つ鎧』が『アーマーメイデン』を発動
『鎧』の持つ最後の力――それは、鎧に宿る意志を具現化し、人型となって戦うことなのだろう。
しかし『鎧』には、無数の赤い跡が刻まれている。エリーティアの斬撃で付与された『残紅』。それはまるで、鎧につけられた紋様のようだった。
『スターゲイザー』や『ゼロアヴォイド』を発動する魔力もまた、残ってはいない。それを示すように『鎧』――いや、今は女騎士の亡霊が鎧を着たような姿になっているが、彼女は全く動かなかった。
「……その力を、俺たちの……アリアドネのために、使ってくれるか?」
「…………」
俺と一緒にアルフェッカから降りたテレジアが、剣を構えている。エリーティアも――『鎧』は何も言わないままで、沈黙の対峙が続く。
――だが『鎧』はやがて、その場に膝を突く。まるで、本物の騎士のように。
『ようやく、敗北することができた。仕える主を見つけることができた……礼を言う』
◆現在の状況◆
・『?意志を持つ鎧』を1体討伐
『鎧』の戦意が完全に消え、同時に『残紅』の効果が解除される。
テレジアとエリーティアが剣を納める。それでも『鎧』は頭を下げたままだった。
「……顔を上げてくれ。これから力を貸してくれるのなら、俺たちは仲間だ」
『鎧』は俺の言葉に従い、顔を上げてくれる。そして、自らの胸のあたりに触れた――そこには、『神器操晶』をはめ込むくぼみがある。
俺は皆の了承を得て、『巨門晶』を『鎧』につける。すると『鎧』に刻まれているラインが淡く輝きを放ち始めた。
◆現在の状況◆
・『?意志を持つ鎧』の所有者を『アリヒト』に変更
・『?意志を持つ鎧』の第一銘が『フォギア』と判明
『私の名はフォギア。秘神を鎧い、契約者を守る者』
『……私とフォギアのどちらが上か、確認してみたかったが。秘神の武器と鎧が争うなど、無為なことか』
いつの間にか実体化していたムラクモがぼやくように言う――おそらくムラクモも攻撃に加わっていたら、フォギアの受けるダメージはより大きくなり、すぐに戦闘に参加するのは難しかっただろう。
『猿侯』と戦う上で、さらに心強い戦力が増えた。テレジアの負傷が心配だが、彼女は俺の方に近づいてくると、何か言いたげにしている。
「よくやったな、テレジア」
「…………」
それが正解なのか分からないが、テレジアの頭を撫でる――蜥蜴のマスク越しなので、手触りがなんとも言えず滑らかだ。
「お兄ちゃん、テレジアさんだけ……っていうのは、言わないお約束ですね。ムラクモさんたちにもたまにはしてあげないと駄目ですよ?」
『私は人間の姿を模してはいるが、現在の姿は魔力で構成されているので、あのような行為に意味などはない』
『契約者の行為であれば、それは無為ではないと考える』
『我は契約者が自らに搭乗する行為そのもので、対価を得ている。人型で触れられても、それは触れられたという情報に過ぎない』
ムラクモ、フォギア、アルフェッカが話している様子を見て、仲間たちの緊張も解ける――アリアドネも、新たな仲間が増えたことを喜んでくれているだろうか。
今は胸中で問いかけても、答えはない。それでもアリアドネが見てくれていることだけは、確かな事実として感じられた。
※お読みいただきありがとうございます!
ブックマーク、評価、ご感想などありがとうございます、大変励みになっております。
皆様のご支援が更新の原動力となっておりますので、何卒よろしくお願いいたします!
次回の更新は来週金曜日となります。




