表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘れられ姫は精霊の愛し子でした~鏡屋さん始めます~  作者: はにか えむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/69

19.そのころの城2

「さて帝王代理。リリーシュ様とマヤ様に会わせていただけませんかな?」

 うまい言い訳も思いつかないまま、フランクは再び使者と話をすることになった。

「二人は城から姿を消した。……時間をくれればすぐに探し出そう。そして今回の騒動の主犯である使用人頭の身柄をそちらに引き渡す。煮るなり焼くなり好きにしてくれ」

 縄で縛られ、口をふさがれたカティアが絶望的な表情でフランクを見る。フランクにとってカティアは自分に都合のいい駒でしかなかった。複数いる愛人の一人というだけだ。ミラメアに売り渡すことにためらいなどない。

「……こちらが何も知らないとお思いか? ミラメアとの契約を無視し、リリーシュ様を蔑ろにした罪。その対価を支払っていただこう。ミラメアはフランク・レイ・トツカが帝王代理である限り、トツカとの国交を断つ。周辺諸国にもそう通達するであろう」

 フランクは今になってミラメアから使者として来たのが老人一人である意味を理解した。神聖ミラメアはトツカ帝国をすでに敵国と認識していたのだ。使者は最悪殺されるかもしれないと想定していたのだろう。

「待ってくれ。リリーシュを虐げたのはこの使用人頭の独断だ。すぐに探し出すから猶予をくれ」

 焦るフランクを、使者は相変わらず凪いだ目で見つめている。

「御託は姫を探し出せてから聞きましょう。では失礼いたします」

 立ち去る使者を止めることはできなかった。フランクにできることは、一刻も早くリリーシュとマヤを探し出し詫びをすることだけだ。

「すぐに二人を探しだせ! 国中に御触れを出すんだ! 早くしろ!」

 フランクは知らなかった。リリーシュがすでに亡くなっていることを。そしてその事実を精霊王からの託宣でミラメアがすでに知っているということを。

 もうフランクにはミラメアからの信頼を回復する術など残っていなかった。

 しかしフランクはあがき続ける。城からいなくなった二人を見つけ出せば元に戻れると信じていた。

 

「神聖ミラメアと国交断絶!?」

 カーク・スコット・トツカは突如入った報告に目を剥いた。カークはフランクとゼイビアの弟だ。しかしカークは正妻の息子ではなく愛妾の息子だった。

「今がチャンスです。カーク殿下。幸いにも使者はフランクが帝王代理である限りと言ったようです。今、使者に接触をはかっています。カーク殿下が次の帝王になるために、ミラメアが後ろ盾になってくれるかもしれません」

 カークの腹心はそう言うと、カークの指示を待った。

「少し待て、そもそもなぜ国交断絶に至った。フランクは一体何をしてミラメアを怒らせたんだ」

「リリーシュ様とマヤ様が行方不明になりました。調べてみたところ、使用人頭がお二人の世話を放棄していたようで……いついなくなったのかもわからないということです」

 カークはそれを聞いて絶句した。カークはフランクの事は大嫌いだが、ゼイビアの事は兄として尊敬している。その兄の嫁と娘がいなくなったのだ。

 カークは今まで彼女たちの事を気にかけなかったことを後悔した。さすがのフランクもこの情勢下でミラメアの姫を冷遇はしないだろうと思っていたのだ。

「秘密裏に二人の捜索を! そしてミラメアの使者と接触しよう。この機にフランクを失脚させるぞ」

 カークは邪の森にいるゼイビアの事を想った。最愛の妻と娘がいなくなったと知ったらゼイビアは何を思うだろう。一度呼び戻す必要があるだろうと、使者を送ることにした。

 

今回短めで申し訳ありません。次回からイデア視点に戻ります。


挿絵(By みてみん)

オーバーラップノベルスf様より発売中です!


挿絵(By みてみん)

アース・スターノベル様より2巻発売中です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ