表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/188

44,究極のところまで行ったので言おう、『何もかも面倒くさくなったので、引きこもろー』と。



 傀儡死パペット・モンスターに向かって、《絶命槍デス・ランス》を投擲。


 ところが接続糸でつながった村人が引っ張られてきて、代りに串刺しとなった。


〔ほう。操っている人間を身代わりにするとは。傀儡死パペット・モンスター、ゲスなところが気にいったぞ。やはりラスボスはこうじゃないとな〕


〔タケト様! あんなゲスモンスター、とっとと殺しましょ。それで村人たちに英雄あつかいされて、タダ飯にありつきましょうよ!〕


 英雄作戦か。いいだろう。

 そこで高く跳躍してからのかかと落としで、傀儡死パペット・モンスターを粉みじんにした。


 残骸とともに降下して、村中央の教会の上に着地。

 自由になった村人たちからの大歓声──からのタダ飯。


 13日ぶりの食事に舌鼓を打ちながら、現在の世界情勢について聞いてみる。

 村人たちによると、世界各国のダンジョンからモンスターがあふれ出てきているらしい。


 ぬるいビールを飲みながら、呆れた。


〔やれやれ。≪軍艦島ダンジョン≫での現象が、全ダンジョンで発生しているのか〕


〔そのようですね~〕


〔ですね~じゃないぞ、イチゴ。お前、案内係としてそれでいいのか。もっと情報通でなくてどうするんだ〕


()ですからね、元案内係です。≪樹海ダンジョン≫を出たときから、イチゴはタケト様の専属ですよ~。おかげで『姉妹』たちからは切り離されていて、情報更新もないわけですがね〕


〔『姉妹』たち?〕


〔ほかの案内係のことですよ〕


〔ああ〕


〔ただ、現状の推測はできますよ。鬼の王(オーガ・キング)のときは突然変異でしたが、全世界規模となるとそれは考えられません。とすれば、これはもう【埋もれた兵器(ロスト・ウェポン)】が使われたのでしょうねぇ〕


〔モンスターがダンジョンから出れる兵器か?〕


〔というより、ダンジョン内からの強制転送ですね。傀儡死パペット・モンスターがココにいたのが、その証拠ですよ。サハラ砂漠を共有しているとはいえ、リビアは遠いですからね。そこのラスボスが、なぜこの村にいたのか。強制転送のあおりです〕


〔ふーん〕


〔さ、どうされますかタケト様? 強制転送を行った【埋もれた兵器(ロスト・ウェポン)】を破壊すれば、モンスターたちもダンジョン内へ戻るかもしれませんよ。また世界を救っちゃいます?〕


 おれは熟慮黙考した。

 この先、おれは何になりたいのか。

 ステータス∞の冒険者として、どう生きていくのが正解なのか。


〔よし、決めた〕


〔はい、タケト様っ!〕


〔おれは世捨て人になるぞ!〕


〔……はい?〕


〔いま全てのダンジョンは空っぽなんだろ。じゃ適当なダンジョンを見つけて、そこに引きこもる〕


〔……あの、ストリアとかどうされるのです? タケト様を変態呼ばわりした、あのストリアですよ? 【五魔王族】の1柱で、≪マンハッタン・ダンジョン≫ラスボスの〕


〔許す〕


〔え! タケト様が──許す? 天変地異の前触れですかぁぁぁぁ!〕


〔いつまでも憎しみに駆られていてはダメだ。つーか、世捨て人になるんだから面倒だろ、マンハッタンまで行くのとか。『だるいことはしないで生きていけばいいじゃない人間だもの』byたけと〕


〔……マジですか、タケト様、マジなんですかぁぁぁ?〕


〔マジだ〕


〔ま、それもいいかもしれないですね~〕


 どうせ引きこもるなら居心地が良いほうがいい。たいていの家具は《アイテム創造》できるが、ではネット環境とかはどうだろう。


〔ダンジョンは外部と通信できないんだよな。だがダンジョン製造のスマホなら可能なのか?〕


〔可能ですよ。ですのでタケト様もダンジョン製造スマホとか、さらにいえばダンジョン製造スマートテレビをゲットしたら、かなり快適な引きこもり生活ができるかと〕


〔《アイテム創造》でいけるか?〕


〔無理ですね~。ダンジョン製造品は冒険者には創造できないのが、ダンジョンルールです〕


 またダンジョンルールか。どこの誰が決めたのか知らないが──。瞬間移動スキルのときは気合で突破できたが、結局、とんでもない頭痛に苦しむことになったしな。


〔じゃぁ、ダンジョン製品はどこで手に入るんだ?〕


〔それが案内係には明かされていないんですよね~。腹立ちません? ラスボスしか知りえない情報なんですよ〕


〔ならテキトーなラスボスを拉致って、問い詰めるか〕


 その後もぬるいビールを飲んで時間を潰していたら、冒険者が店内に駆けこんできた。Aランクといったところか。

 真っすぐおれのほうに来た。


「あんたか、傀儡死パペット・モンスターを倒したという冒険者は?」


「まぁね」


「頼む手を貸してくれ!」


 ジョッキ越しに、間抜けな冒険者を見返す。


「断る。おれは今、ダラダラしているんだ。見てわかれ」


「そう言わず頼むよ! 敵はA級ダンジョンのラスボスなんだ! 俺たちじゃ手に負えない!」


「ラスボス? それを先に言え」


 拉致って拷問コースだな。




気に入って頂けましたら、ブクマと、この下にある[★★★★★]で応援して頂けると嬉しいです。励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 世紀末かー モヒカン頭のモブみたいなボスが何処かにいるに違いない
[一言] ついに訪れてしまったアポカリプス。 状況を考えるに、ダンジョンモンスターたちがダンジョンの外に転移しているだけなわけで、 通常の冒険者はダンジョンでしかステータスが働かないせいで、地上にいる…
[良い点] 拉致ってGO!もん [一言] キレがよくって、切れ味落ちなくて。 う〜ん痛快。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ