表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/188

5,髑髏伯爵。

 


≪小金沢山ダンジョン≫第1階層。


 いまや汐里たちは、武器を装備していた。

『ダンジョン内ステータス維持』の特典には、装備品も含まれているらしい。

 ダンジョンに入ったとたん、汐里はロング・ソードを、小陽はランスを、涼花は盾を、朱美は杖を手にしていた。


 ちなみにこの手の装備は、ダンジョン内の宝箱から入手できるそうだ。

 知らなかった。≪樹海ダンジョン≫では、全宝箱をスルーしたからなぁ。いや、最後の拳大ダイヤが入っていた宝箱は別だが。


 そして汐里たちは今、モンスターとエンカウント。

 敵はゴブリンが3体だ。

 いいねぇ、ゴブリン。


〔にしてもイチゴ、オレはずっと不思議だったんだが。どうしてゴブリンは、人間の女に欲情するんだ? 人間はゴブリンに欲情しないのに。種族が違うのに欲情するって、どういうことだ?〕


〔知りませんよ~。タケト様って、たまに変なことにこだわりますよね〕


 汐里、小陽、涼花、朱美が陣を構える。

 汐里と小陽が攻撃担当。涼花が防御、朱美が魔法支援か。


 そして、オレはやることがない。

 4人全員から戦闘に参加しないように言われているので。


 つまり、小陽、涼花、朱美からしてみれば、Gランクの雑魚は足手まとい。

 汐里にしてみれば、せっかく皆でダンジョン攻略に来たのに、オレが無双してしまっては意味がない。


〔まてまて。じゃあ、なんでオレはここにいるんだ?〕


〔≪ドレスデン・ダンジョン≫のラスボスの弟をフルボッコするためでは?〕


〔そうだった〕


〔タケト様。パーティから抜け出て一人で最下層へ行くのでしたら、早めのほうがいいですよ。正直なところ、汐里さんたちのレベルでは、第12階層のフロアボス火牛ファイヤ・カウに蹂躙されて死にますよ〕


〔そうなのか?〕


探査プローブ》で、汐里たちのステータスを見てみよう。


 まず小陽。


 Lv 3       

 HP  120     

 MP  21    

 STR()  51    

 ATK (攻撃力) 63

 VIT(生命力)  58 

 DEF(防御力)  45 

 RES(抵抗力)  8 

 AGI(素早さ)  65 


 続いて涼花。


 Lv 2       

 HP  155     

 MP  36    

 STR()  21    

 ATK (攻撃力) 13

 VIT(生命力)  98 

 DEF(防御力)  75 

 RES(抵抗力)  25 

 AGI(素早さ)  35 


 最後に朱美。


 Lv 2       

 HP  88     

 MP  75    

 STR()  11    

 ATK(攻撃力)  5

 VIT(生命力)  41

 DEF(防御力)  15 

 RES(抵抗力) 32 

 AGI(素早さ)  12 


〔これは確かに低いなぁ。こんなレベルじゃ、第12階層まで行くのも無理だろ〕


〔それがそうでもないんですよ。実は汐里さんだけは、Dランクのステータス数値なんです。実績がないからか、Fランクにされたみたいですけど〕


〔へえ?〕


 というわけで汐里を見てみると。


 Lv  28       

 HP  1542     

 MP  541    

 STR()  435    

 ATK (攻撃力) 541  

 VIT(生命力)  357 

 DEF(防御力)  451 

 RES(抵抗力) 265

 AGI(素早さ)  425 


〔おお、本当だ。この前、冒険者になったばかりなのに。汐里は天才肌なのか?〕


〔違いますよ。≪樹海ダンジョン≫のフロアボスを倒した経験値で、一気にレベルが上がっているんです〕


〔なに? 闇僧侶ダーク・モンクボスバージョンのことか?〕


〔そうです。あと雑魚モンスターの棘球ニードル・ボールを倒した経験値もありますね〕


〔そいつらを殺したのはオレだぞ?〕


〔あのとき──タケト様が汐里さんを助けられたときに、パーティ認定されていたのですよ。よってタケト様が稼いだ経験値は、汐里さんにも分配されていたわけです。≪転送ポイント≫で汐里さんが出るまで、ですがね。そして≪樹海ダンジョン≫ですからね、得られる経験値も莫大です〕


〔それでLv1だった汐里が、一気に28まで上がったのか〕


 などと脳内会話している間に、戦いが始まっていた。


 汐里がロング・ソードを一閃。1体目のゴブリンを倒す。

 2体目が小陽に襲い掛かるので、慌てて汐里が背中から刺す。

 ラストの3体目が飛び掛かってきたので、汐里が返り討ちにする。


 最後に4人ではしゃぐJKパーティ。


〔……思っていた以上に、汐里頼みのパーティだな〕


 確かにラスボス倒しに抜け出すなら、最初の階層でぐずぐずしている今か。


 オレは汐里だけ脇に呼んだ。小陽が何か勘違いした様子で見ているが、無視する。


「お前にだけ明かすが、これから最下層まで行って、ここのラスボスを屠ってくる」


「え、ほんと? うん、おじさんなら余裕だよね。だけど、ちょっと心配かな、おじさんがいないと」


「お前たちが危ない階層に行く前に戻ってくる。それに汐里がいるなら、とりあえず大丈夫だろ。他のみんなには、適当に誤魔化しておいてくれ」


 小陽たちがこっちを見てないのを確認してから、《不可視インビジブル》を発動。

 姿が見えなくなったところで、汐里たちから離れる。


 そこからは全力疾走。AGI(素早さ)∞で一気に駆け抜ける。

 10、20、30、40、42階層──で、いったん止まった。


「次の階層への入り口が2つあるのか──まぁ、どっちでも同じ場所に行きつくんだろ」


 適当に右側の入り口を選び、再び全力疾走。

 50、60、70、80、90、そして≪小金沢山ダンジョン≫最下層の第100階層。


 だが、もぬけの殻だ。

 ラスボスの姿はなし。


〔なんだ? もう他の冒険者に倒されていたのか?〕


〔いえ、そんなはずは──あ、しまったです!〕


〔なんだよ〕


〔こちら外れルートですよ、タケト様。≪小金沢山ダンジョン≫は途中でルートが分岐するんでした。で、間違ったルートを進んでも、ラスボスのいない外れの最下層にしか行けないんですよ〕


〔分岐って、42階層のあそこか。なんでもっと早く思い出さないんだ〕


〔仕方ありませんよ。わたしの受け持ちダンジョンじゃないんですから〕


〔急がないと、汐里たちが12階層に到着してしまうぞ〕


 まったく、これじゃ保護者だな。


 まずは42階層まで戻る。

 そして今度は左の入り口から、43階層へと降りる。


 正しいルートに入ったところで、全力疾走。

 50、60、70、80、90、そして第100階層。


≪小金沢山ダンジョン≫ラスボスの髑髏伯爵が待っていた。


「よく来たな、人間。だが貴様の幸運もここまで──」


「悪い、急いでるからさ」


 勢いそのままのラリアットを、髑髏伯爵にかました。


「ぎゃっ!」


 粉みじんに吹っ飛ぶ髑髏伯爵。


「さらばだ、髑髏伯爵」


〔あらら。ここまでテキトーに殺されるラスボスも、そうはいないでしょうね~〕



気に入って頂けましたら、ブクマと、この下にある[★★★★★]で応援して頂けると嬉しいです。励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 汐里のレベルアップがちょっとねぇ? パーティーと認定されたのも、脱出まで時間があったからと言うのも変じゃ無いかねぇ……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ