死を求めて…四
その日の夜
京都を震源とした地震が発生した。
ニュースで流れた情報が、偶然耳に届いた。映しだされたのは、小さな寺。土砂崩れで倒壊した様子がテレビに映る。
風呂上がり、ついたままだったテレビの映像に目を奪われる。
「……私、此処知ってる。」
泥だらけのソコは、鳥居が覗くだけであとは、土砂に覆われ、被害の悲惨さを、アナウンサーが伝えていた。
何故、その場所を知っているのか、わからないが、京には、ずっと戻っては居なかった。
新選組が、敗走を始めた、あの年から…
自分の記憶が確かであるなら
「ーー何かが、起きる?」
ニュースを見ながら呟いた千夜。だが、すぐに。
「まさかね。
そんな、都合よく、いかないよね。」
と、テレビを消し、ベットに寝転んだ。
千夜が生きようと決めた日、 ———全てが動き出した。
『待っててね。千夜…』
小さな少女が、彼女の運命を変えようとしていた事なんて知らずに、夢の中に旅立った。
次の日、仕事をキッパリ辞めた。
帰れる保証なんか無い。帰れる宛もない。
彼女は、ずっと逃げてきた。
だから、無駄になってもいい。
彼らの歴史をちゃんと目に刻もうと、新選組を追いかけ、
墓を回る決意をした。
新選組、所縁の地に足を運んだ彼女。
隊士の墓参り、幹部たちの墓参り、たくさんの花。
そうちゃんの墓には千羽鶴があった。
未だ、愛され続ける彼ら。目頭が熱くなり涙が溢れでた。
彼女は、墓参り中ずっと泣きどおしであった。
怖くてずっと逃げてた墓参り。
みんなの死を、受け入れたくなかった。認めたくなかった。
150年以上の時が立ってやっとくることができた墓参り。新八さんの残した新選組の供養塔に手を合わせた。数多くの隊士の名前。
貴方のおかげで、
平成の世に、名もなき隊士が忘れられることもなく武士として世に伝わったよ。
賊軍であったのに、この供養塔を建てるのは簡単な事ではない。仲間を想って居なければ出来る事では無い。
平成の世でもあなた達は、——愛されてる。
誠の旗の元、賊軍だろうと誠の武士になれたんだよ。
皆の墓に桜を供える。
皆で花見よくしたから、来年の花見は…。ってよく話したね。手を合わせ涙する。
150年経って、やっと来れた墓参り。
「ゴメンなさい。逃げててゴメンなさい。
あなた達の事大好き。
だから、過去に戻れるなら、戻して?
勝手な奴だよね?
だけど、私は、あなた達に新しい時代を必ず見せたい。
平和な時を共に過ごしたい。みんな一緒に。
絶対に、
無駄死になんかさせたりしないから、お願いします。」
どうか、あなた達が居る世界に行かせて下さい。
意味もないお願いをする。
無駄でもいい。願わずにはいられない。
貴方達の為に役に立てるなら、私はそれ以上何も望まない…… 。
もし、あの時代に戻れるならば
————私の命を懸けてでも、歴史を変える。




