参
千夜が起きた。
土方の頭の中は、それで一杯。
どういう顔で会えばいいか、わからない。
抵抗しなかったのは置いといてもハッキリ言ったら、
犯したのには変わらない 。
起き上がろうとする千夜だが
「ちぃ、何度言ったらわかる?男は、獣ゆうたやろ?」
何も言わず着物を着ている千夜。
「ちぃ、接吻は?」
なんの迷いも無く、山崎の唇に、自分の唇を押し当てる彼女に、二人の男が目を見開いた。
満足そうにする山崎。
俺は、これだけでええ。充分や。
「山崎君!」
「山崎!テメェは!」
「なんや、二人共そんな興奮してちぃ、二人も接吻やて。」
総司にそっと唇を落とし、俺の前にやってきた彼女。
「沖田さん、外すよって。」
「なんで?」
「なんでもや。」
ズルズル引きずられてく総司。
パタンッと、襖の閉まる音だけが虚しく響く
「ちぃ、悪ーー」
謝ろうとした。なのに唇を押し当てられた。
謝るなと、
「ごめん…なさい……」
そういった、ちぃの手は、震えていた。
静かな部屋の中微かに震えた彼女が口を開く。
「……。よっちゃん、島原にどうしても潜入したい」
まだ、そう言う。
ゆっくり話すちぃは、泣き虫な小せえ頃のままで、こいつに俺は……。今更、後悔という言葉が脳裏をよぎる。
「よっちゃん、お願い。」
なんで、お前は、俺を責めない?
どうして、お前に乱暴したのに、島原の許可を取ろうとする?
「話す。なんで島原なのか、どうして今なのか、」
ゆっくり、話しだした千夜
昔、君菊として芸妓をやってた事。禿として入る世界。
客を選べる地位に、どうしてもいたい事
ゆっくり話した。
それで、よっちゃんが安心するなら、それでいい。
それが、嘘で塗り固められた事であったとしても、その嘘で、彼らの運命を変えられるのなら、私は、どんな嘘でも突き通す。
「わかった。島原の潜入、許可を、出す。」
俺の謝罪を込めた決断。
ちぃが、ここまでして行きてぇって言ってるのに、
止める理由が、もう無かった 。
「ありがとう。」
そう言って笑った、ちぃ。
「ちぃ、もう、しねぇ。」
悪かったと言いそうになるのを飲み込んだ。




