島原で芸妓になる許可が欲しい。
「ダメだ!」
副長室に響く怒鳴り声
目の前にはちぃが正座していて、鬼の副長をジッと見ていた。この男が千夜に怒鳴るなど前代未聞。だが、土方は千夜の提案を飲み込めない 。
「ちぃ、お前わかってんのか?島原に潜入って、どういう意味か!」
そう言って、掴んでしまった両肩。千夜の顔が歪んでも土方は、離すことが出来ない。
千夜の提案とは、島原への潜入。理由は、芹沢を止めるため。
「男に抱かれるって事?」
自分を見ながら言った千夜。右目の色が変わってしまった彼女を、これ以上傷つけたくない。
「わかってるならーー…この話は終いだ。」
「嫌です。私は今、壬生浪士組の芹沢千夜として此処にいます。島原潜入の許可が、どうしても、欲しい!」
両肩を掴んだままの土方の手の重みが
スッと無くなる。
「好きでもねぇ男に抱かれるんだぞ?お前は、それでもーー」「いきます。」
「右目、見えてねぇんだろ?」
「誤魔化せる。」
「何でだよ!どうしてっ!
お前がそんな事する必要は、ねぇだろ!」
千夜は、笑った。
「壬生浪士組の為に。」そう言って。
決めたからという顔をして、、、。
「止めろ!その顔、するんじゃねぇ!
ーー誰の為だ?何がおこる?ちぃ、言え!」
言ってくれ。頼むから。
まるで子供の様に、千夜に縋り付く土方
だけど千夜は、何も言わない。
名目は、芹沢の為だ。しかし、千夜の目的は他にもあった。一言で片付けるなら、壬生浪士組の為に————。
「何でだよ!何で、何も言わねぇ?」
「よっちゃん。私は、よっちゃんが考えてる様な綺麗な人間なんかじゃない。
目的の為なら、誰に抱かれても平気だし、愛も恋も知らない。知りたいとも思わない。」
ただ、女である事が、嫌で、嫌でたまらない。
腹が立った。何に対してか、わからねぇ。
潔すぎる彼女。自分が決めたら曲がらない曲げられない。
曲がらない、ちぃにか、曲げられない、自分にか 、
わからないまま、ちぃを押し倒した。
「どうしたら、許可出してもらえる?」
押し倒したのに、島原に潜入する許可の話しをする彼女。
何がお前を、そうさせる?
結紐を解けばサラッと綺麗な桜色の髪が、畳に散らばった
「よっちゃん?」
組み敷かれても、変わらない。
「俺は、お前が、好きなんだ————。」
「私も好きだよ。」
笑って言う千夜。
二つの意味の違う”好き”
無理だった。自分を押さえきるのが、
唇を奪い貪りついて、何度も、何度も、
角度を変え口内を犯す。
「……ん……」
首に舌を這わせても、ちぃは抵抗すらしない。
白い陶器のような肌、身体の傷跡すら、俺を止めてはくれなくて、畳の上で組み敷いた細い身体に、ただ、獣の様に喰らい付く。
欲望だけが俺を支配する。
ちぃに目隠しをした。
ただ見られたくなかったあの碧い瞳で、
こんな汚れた俺の姿なんか、やる事は変わらねぇのに
袴に手をかけ、脱がした袴も放り投げ
生まれたままの姿のちぃに、赤い華を咲かせていく。
「……あ……」
抵抗もしない、ちぃの細い手首に結紐を縛りつけ、
抵抗してくれと願う自分がどこかにいる。
ピチャピチャといやらしい音と、ちぃの甘い声が部屋に響く。それでも欲望にはかなわず、一つになった。
無茶苦茶だ。涙を流しながら、ちぃを犯していく。
そして、ちぃの中に欲望をはきだした。
「泣かないで?よっちゃん。」
そう言って、畳の上に倒れたままのちぃ。
寝ちまったのか、動かない。触れていいのかわからない俺は、そっと、浅葱色の羽織りを、ちぃの身体にかけた。




