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浅葱色を求めて…  作者: 結月澪
噂話し
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動かない時計

文久三年五月二十五日


壬生浪士組総員三十五名連名で、


幕府に攘夷断行と兵庫開港反対の


上書を提出。



****


私の知ってる過去が、そのまま上塗りされていく。

そして、芹沢の酒の量も増えていった。


どうにもできない。


芹沢は、もう死に向かって確実に歩いていた。


梅毒。ペニシリン系の抗生物質があれば、助けられるのに、この時代、ペニシリンなんかない。

薬を作る技術が、私にはない。


わかるのは、ペニシリンがブドウ球菌の培養実験中に出来た、アオカビが関係してるということだけ。


「作り方、調べとけば良かったな。」


キャリーバック。もしかしたら、入ってるんじゃないか?

そんな、淡い期待。

全く忘れてたけど、私の着てた服や、財布を入れてたカバンは何処にいったのか?とりあえず、隠した場所へと向かった。荷物を見て千夜は、固まった。

自分が置いたものでは無いものが置かれていたから。

キャリーバックに白いワンピース

手に取ると、モノクロ世界で着てたワンピースと全く同じ。


どういう事?


とりあえず、考えてもわかんないから、荷物の確認。と思ったら、この世界に来る前に持ってたカバンと服がキャリーバックの上に綺麗に畳まれ置いてある。


四歳のあの子は、時を渡れるの?と疑問が浮上する。

カバンを恐る恐る開けてみる。

財布、携帯、ティッシュ、ハンカチ。レシートやら紙切れ…使えるものなんか無い。


「携帯、充電なんか無いよね?」


電源ボタンに手をかける。起動音と共に明るくなる画面。


「……ついた?充電…減ってない…?」


何で?だって、もう二カ月、いや。もうすぐ三カ月になるのに、充電が残ってるわけないのに!


時計を見た瞬間、千夜は携帯を地面に落としてしまう。

見間違いだよ。と自分を落ち着かせる。

もう一度、携帯を拾い上げる。


「何?これ…」


見間違いじゃなかった。


日付けは、私が飛ばされた江戸時代の日付け三月五日になって、時計は、0時のまま、止まってる。


動かない時計…


ずっと見てても変わらない時計。


私が飛ばされた日、桜が咲き誇る四月だったはず。


墓参りに桜の花を、隊士達に、供えたはず。

疑問を残したままキャリーバックに手をかける

暗証番号を入力し、バックを開ける。


「鍵、かかってたよね?」


一人で確認。


欲しいと思ってた、銃弾の材料。

薬莢、プライマー、弾頭がバックの中に、


しかも、この時代には絶対ない。私の銃コルト・パイソンにも使える357マグナムのもの。


絶対ない。だって1912年に造られたものなのにって言うか何でそもそも、薬莢、プライマー、弾頭手に入るよ?


日本だと銃刀法違反でつかまるよ?


あーパーツごとならわかんないけど、だから銃弾じゃ無いって事?


こんなジャラジャラと100?200はある?ビニール袋に入ったプライマー付き薬莢。と、箱に入った銅でコーティングされた弾頭。

どかせば、ガンパウダー(ようは火薬)まで入ってる……



ちょっと待て、レシートなんかもらってない私。

捨てる派だ。カバンにあったレシートを見れば、英語。


だったら犯人は、あの子しかいない。時を渡れるって事だよね?でも、いつこれ入れたのさ?


謎が謎を呼ぶ。


まぁ、いいかこれで銃弾作れるし!


いや、いいのか?


さてと…


無視?


薬を探さないと


無視なのね…



思わぬ所で銃弾の材料をゲットした千夜。

あまり細かい事は気にしない。


細かいのか?と突っ込みたくなるが…

目的の薬をガサゴソ探しはじめた。


「無いなー」はぁ。


都合よく薬は出てこない。芹沢は、助けたらダメなのか。


無口で必要な事しか喋らない不器用な男。助けたいのに。

金があっても助けられない。知識があっても助けられない


全て無意味


私はあいつを止めてやるしか出来ないんだな。


止める。か…。





























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