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浅葱色を求めて…  作者: 結月澪
殿内
40/281

千夜の考え事

それから一週間の時が経ち、壬生浪士組に入隊したいと

屯所に訪れる者が多くなった。


スパーンッ

「おっはようございまーす。」

”ちぃちゃーん”と聞こえるのは俺だけか?


筆を滑らしていた土方は、その声を聞いて筆を置く。

悪戯されてもいいようにだ


いつもは、『おはよう。総ちゃん。』と千夜の声が聞こえて来るのに、今日は、聞こえてこない。

「沖田さん、しぃーや。」

「は?」

人差し指を口の前に山崎は訴えている。

静かにしろということは沖田にだってわかる。

だけど、何故?


視線を追うと、千夜が紙と筆らしき物をもって何やら考えている様子。


「まだ、刀の時代、

よっちゃんも近藤さんも銃の導入なんて反対するに決まってる。だけど、銃を手にした長州、薩摩に、、、。

ってか、勝海舟。あいつだけは…。そんな奴より、薩摩を……。」味方に出来れば


「さっきからあんな感じで、なんか考えとんねん。」

「未来とか…関係あるのかな?」


ブツブツと言ってる千夜の手の近くには短銃が置かれていた。


「あっ!これ銃?」


沖田の声に、ビクッとした千夜は、視線を皆に向けた。


「沖田さん!」

「ごめん。

あ、ちぃちゃん。コレ、見たことない短銃だね。」

「コルト・パイソン。

1955年に、コルト社が開発した回転式拳銃。」

「……。異国の?」


「そう。」

「??」

沖田の横からヒョコッと顔を出した藤堂。


「ちぃ、俺なんか出来ねぇか?」

「え?」

「なんかさ、ちぃ、今、考えてただろ?

この銃とかさ、また壬生浪士組の為なんだろ?

今調べてるのもさ、」


バレてる。

「ちぃさ、一人で背負い込もうとするから

俺嫌なんだよ。

ちぃが、怪我したり苦しい思いしたりするの。」


一生懸命話してくれる。


彼の声を聞けるだけでも、私は、嬉しいのに、

なんだか、二人の世界に行ってしまっているのか

僕たちは、蚊帳の外だ。


望んでもいいのかな?


「平ちゃんの心臓の音聞いていい?」

「へ?い、いいけど……どうすれば……?」


ピトっと耳を平ちゃんの耳にくっつける。


平ちゃんの腕が宙を彷徨う。

クスッと笑って、腕を自分に巻きつけさせた。


「嫌なら言ってね、平ちゃん。」

「イヤな訳ない……。

ただちょっと緊張してるけど……。」

「誰でもいい訳じゃないんだ。

壬生浪士組の仲間だから、私はこの音を聞くと癒されるし、元気を貰える気がする。だから、聞きたいんだ。」


「ちぃ。」

「もしもーし。」


耐えきれなくなった沖田が割って入る。


「今、平ちゃんの聞いてるの。」

「はい。すいません。」



ドクンドクンと少し早い心音を聞きながら

薬が効いてきたのか、重い瞼を閉じた。

「ちぃ?」

胸の中に抱きしめてた、

ちぃは、寝ちまってて、そっと布団に横たえた。

千夜が寝た途端なんの躊躇もなく、千夜が、書いた紙を手にする二人。


「おい、見ていいのかよ!」

「これ異国の文字や……。」

「何て書いてあるんだ?」


平助もちゃっかり参加。


「待って待って、此処に近藤さんの名前と、勝海舟?」

「勝海舟って誰?」

「そんなん知らんけど、

この本、銃のほとがらがぎょうさん載っとる。

ちぃは何をしようとーー


「勝海舟?聞いた事はあるが、軍艦奉行並だったかになったのが、確かそんな名前だったな。」


「後この絵草紙、ちぃがゆう本やけど、

これ、銃しかのっとらん。ほとがらが色ついてるけど、

こいつ、銃調べてどないする気や?

後、さっきいった近藤さんの名前書いてある紙な、

異国の言葉書いてあるんよ。何書いてあるかわからへんのやけどーー


「それは、銃弾の火薬の調整量。」


「ちぃ!」

「あんなに騒いだら誰でも起きるって。」

「千夜、何考えてる?」

「未来のこと。」


グイッと腕を土方に強く捕まれる。


「壬生浪士組の未来か?」


「そうだよ。よっちゃんはさ、

一万五千対五千だったら、どっちが勝つと思う?」


「一万五千だろ」


「刀なら、普通にそう思うよね、

五千に銃をほぼ全ての人に持たせたら?」


「変わらねぇよ。」


「じゃあ、よっちゃんは死んじゃうよ?」

「は?」


「なーんてね。

実は、もう少ししたらね、日本にある銃じゃなくて新しい銃が入るんだ。

銃って、技術が無くても人が沢山いれば当てれるじゃない?人が死ぬの見たくないし、止めれないかなって思ったんだけど、」


「ちぃ、お前嘘ついてるだろ?銃が入るって何処に入る?」


「そんなの聞いてどうするの?」


「確かめる!」


「無理だよ銃が入るのは長州。つまり敵なんだから。」


言ってしまった言葉は消せやしない。

例え勢いで言ってしまった言葉でも…











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