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浅葱色を求めて…  作者: 結月澪
最後の戦い
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戦争

「日本が勝つなら問題はないだろう。」


千夜が、ギリッと唇を噛みしめる。


————勝つからいい。


そういう問題じゃない。


「戦争をすると言うのですか?あの、遺体を見ても、なお!————っ!」


こんな時に、頭の傷が痛み出す。


「ちぃ。落ち着け。」


戦争を起こしたくない。なんの為に、日本を一つにしたのか、なんの為に、みんなで力を合わせたのか、死んでいった人達に平和を約束しといて…


歴史は、変わってくれないの?



そんな事を考えていたら、部屋が暗くなった。



そして、また、映写機が動き出す。


画像を見ながら千夜は口を動かした。それは、誰かに訴える口調ではなく、ただ、思い出しながら話す。


そんな感じに見えた。



日露戦争、


日清戦争の後清から貰った領土その中に遼東半島りょうとうはんとうという場所があった。


この土地は、当時アジア進出を目論んでいた日本にとって清から譲り受けた戦略的に重要な場所。



しかし、清の広大な土地を狙っているのは、何も日本だけではなかった。


イギリス、ドイツ、ロシア、フランス、アメリカ、イタリアなど・・・。


特にロシアは南下政策(南に南に領地を広げていく戦略)をとっていたから、日本に遼東半島をとられるのを快く思っていなかった。



そこで、ロシアはドイツとフランスを誘って

日本に「遼東半島を清に返せ!」と言ってきた。これを三国干渉さんごくかんしょう

干渉とは、口を挟むという意味。


日本はこの要求通り、泣く泣く遼東半島を清に返すことになった。



日英同盟の内容を知ったロシアは、満州から兵を引き上げると約束した。


でも、すぐには無理で、3回に分けると約束するが、


1回引き上げただけで、

2回目以降は、この約束を無視…


それでも、日本はすぐにロシアと喧嘩するわけにもいかないのでそれなら、満州はロシアの権利を認めるから、韓国の支配は、日本に認めさせて欲しいと提案するが、


結局これも決裂…


南下政策続行の動きを続けるロシアを危険とみなした日本は遂にロシアとの戦争を決意した…



国力では10倍とも言われるロシア


日本側の作戦としては、お金もないし短期決戦、そして早期の段階でロシアに圧勝し講和を結んでしまおうという作戦だった。



日本はアメリカに手を回し、イタリアに助けを求め、なんとか、勝利


勝利といっても、ロシアは負けを認めない。


それもそのはず


日本は戦没88,429人,うち戦死戦傷死は55,655人病死27,192人負傷者153,584人

捕虜1,800人戦死25,331人


対するロシアは

戦傷死6,127人病死11,170人負傷146,032人

捕虜79,000人


圧倒的に数で言えば、ロシアの勝利だったのだから。



しかし、賠償金もない事に、日本の国民は、納得せず、全国で暴徒化していってしまう。



日露戦争に勝利した日本。


しかし、国民は、 その後ロシアとの間で結ばれたポーツマス条約に怒りを募らせていた。


ポーツマス条約にて、日本が得ることができたのは、南樺太の領土割譲のみ。

日清戦争後の下関条約の時のような膨大な賠償金などはなかった。


100万人以上の兵力を費やし、 軍費を何十億と使いって賠償金が無い……


ちなみに、日清戦争では、2億3000万円ほどの戦費で3億1000万ほどの賠償金の他、台湾などの領土を手に入れている。


国民の怒りは頂点に達します。


条約破棄を訴える国民が日比谷公園に集合し、

集めた人物は講和問題同志連合会という対ロシア強硬派の人々。


参加者は約3万人。


駆けつけた警察官350人との小競り合いはありながらも大きな被害はでることなく、講和条約の破棄や内閣批判を訴え終了したかと思われた矢先、


一部の暴徒化した人々が二重橋を行進。


それを止めようとする警察官とも揉めあい、遂に溜まりたまった怒りを発散させるべく、 その人らは警察署や派出所を襲撃。


さらには、日比谷公園付近の官邸や政府よりといわれた新聞社に向け火を放った。


また、ポーツマス条約を斡旋したアメリカにもその怒りは向けられ、米国公使館、教会なども標的とされました。


これが、日比谷焼き討ち事件。


政府は、9月6日、戒厳令を施行し天皇を守るエリート部隊まで出動させてなんとか日比谷焼き討ち事件は鎮圧となりますが、こうした騒動は全国に飛び火していくことになってしまった。



日露戦争時、


当時の国家予算が2億5000万円の状態で、18億ものお金を使ってしまい、すでに戦う力などなかった日本。


賠償金など貰わなくとも、兎に角講和条約を成立させ戦争を終わらせるといった政府の判断が間違っていたとはいえないが、国民に反感をかってしまったのだった……



そして、第一次世界大戦


この戦争は主にヨーロッパで行われた戦争。


日本には、あまり関係のない話なのですが、日本はちゃっかり、この戦争に参戦。


当時、日本はイギリスとの間に日英同盟を結んでいた。



日露戦争の直前、ロシアの勢力拡大を恐れていた日本とイギリスは同盟を組んだのだ。


この同盟の内容のひとつに


「どちらか一方が二カ国以上の国を相手に戦争を始めたら、もう一方の国も味方して参戦する」


という約束事があったからだ。


第一次世界大戦では、


イギリスが二カ国以上の国を相手に戦争を始めたわけなので、日本もイギリスに味方し参戦するという、大義名分ができた訳です。



とはいえ、主な戦場はヨーロッパ。


日本からは遠すぎる・・・。


実は日本にとって、ヨーロッパで起きている戦争なんてどうでもいい。


第一次世界大戦に日本が参戦した理由は、


中国の勢力拡大にあった・・・。


日本は、列強国がヨーロッパの戦いに夢中になっている間に、なんと中国に出兵します。

名目は、同盟国イギリスの敵であるドイツの中国基地を攻撃すること。


ドイツのある作戦により中立であったアメリカまで参戦


アメリカ参戦により、戦況は一気に連合国側に有利に傾き、連合軍勝利により第一次世界大戦は終わりを告げた。




日中戦争



中国の満州鉄道で爆発が起きた。


この満州鉄道というのは、日露戦争によりロシアから日本が権利を譲り受けたもの。それが、何者かによって爆破されてしまったのだ。



満州駐在の日本陸軍は、これを中国軍の仕業であると、満州全域を占領してしまう。

これを満州事変という。


しかし、この満州鉄道爆破事件。


実は日本の陸軍が、自作自演でやったものだった。


中国は、これら日本の行動について侵略行為だ!満州国なんて認めない!と国際連盟に訴えます。国際連盟は日本側が悪いとなり


日本はそれを認めず国際連盟を脱退。


溝の深まる中国と日本。満州と中国の国境付近では、にらみ合い状態が続いた。


そんな中、北京郊外の盧溝橋ろこうきょう付近にてついに中国軍からの発砲が・・・。

これをきっかけに日中戦争が始まった。



この日中戦争の最中、

1ヨーロッパで第二次世界大戦が始まった。


そして、数年後


日本がアメリカ海軍が

多数駐留するハワイの真珠湾を攻撃し


太平洋戦争が始まってしまう。



ビューン


物凄い爆音が会場に響き渡る


その音に、驚く会場にいる人達



「……この戦争では、戦闘機が出来上がり

空からの攻撃もできる様になった。」



福岡県の八幡製作所が攻撃目標となり

B29による初の空襲。


愛知県の名古屋は3度の空襲にあう。


兵庫県、3ヶ月で120回以上の空爆。


大阪府、3月以降30回以上の空爆。

終戦前日までも100機ものB29に空襲される。


東京、300機ともいわれるB29が空を覆い2時間に及ぶ空襲で8万人以上の死者がでる。


神奈川、市街地、川崎が空爆にさらされる。



「……そして…」




ドォーーーーーーーンッ


「広島に原子爆弾が、投下された……。」



千夜は悲しそうな顔をして、他の者たちは

信じられ無いと言った表情で


きのこ雲の映像を見る。






















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