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浅葱色を求めて…  作者: 結月澪
最後の戦い
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悪夢?幻?

結局、ボロボロの小屋の中で、着替えをする羽目になった。こういう時男って良いよね。

川遊びは褌で、着替えは、外でも出来る。


だからって、男になりたいわけでもないが・・・

そんな事を考えながら着替えを済ませ、濡れた服を風呂敷に包み、外に出た。


「お、着替え終わったか。」

「さて、帰らんとな。」


「そうだね。帰らないと、もっと怒られる。」


籠に乗りまた、ユラユラ揺られながら屯所に帰った。



屯所に着いたのは、夜の事であった。

千夜のナリを見て、案の定、慶喜に叱られた。


「ケイキ、お腹減ったよ~。」


「お前は、今日は、徳川だとあれ程言っただろ!」


「挨拶の時はちゃんとしたってば!」

「なんで、川遊びになるんだよ!」


「懐かしかったから?」


「俺に聞くなっ!」

「ごはんにしようよ~。」


「……」

「……」

「……」


「…お前は、反省と言う言葉を、知らんのかっ!」


みっちり、説教をされ、ごはんにありつけれたのは、四半刻後だった・・・。


ごはんを食べて、屯所の敷地内にある家に帰った。


「千夜、おいで。」


何で急に甘くなったのか?


沖田の差し出された手を取れば 、自分の膝へ千夜を座らせる。


「総ちゃーー「名前で呼んでよ。」


う・・・


「総司?なんで急に名前呼んでって・・・」

「ヤキモチ妬いたから、かな。土方さんに。」

「え?何で?」

「諱で呼んでたって初めて知った。」


「意味は無いよ?」


「土方さんは特別って思ったよ。」

「房良って呼ぶ? 」


「・・・そこ?」


じゃあ、どうしろと?

ぎゅっと抱きしめられ、身体が温かくなる。


「 千夜、君は、この世界の千夜じゃないかも知れない。でも僕は、君を愛してる。


君を苦しめてるのもわかってる。それでも、居なくならないで・・・」


千夜を抱きしめながら、そう言った沖田。


毎日見る夢も、浅葱色の羽織を着た新選組の幻も無くなった訳では無い。たまに、現れる幻・・・


あの手を取ればきっと、平成に行ってしまうのだろう。でも、行きたくない。


そう言っても現れるのだ。彼らは————。


総司に向かい合い、抱きしめる。


「私を離さないで。総司と一緒に居たい

この世界で生きたい。怖いよ。怖い・・・」



初めてかも知れない。彼女が怖いと口にするのは。ぎゅっと、また抱きしめる。


「離さないから、ずっと離してあげない。」


泣きながら、僕にしがみつく彼女。ずっと、怖かったのだろう。ずっと、我慢していたのだろう。


魂でも、何でも、千夜を傷付けるなら、僕が斬ってやる————。


僕が君を守る。平成なんかに連れてかせない。

目を開ければ、赤い世界が広がった・・・


「・・・また、夢・・」


そして浅葱色の羽織を着た新選組が現れる・・・


千夜の手は真っ赤で周りは地獄絵図の様。


「なんで?私にどうしろって言うの?


私は、ココに居たい。どうしたら、あなたたちを解放できるのかわからないっ!」



『千夜・・・』


ポワンッと現れた、小さな千夜・・・。


「・・・死んだんじゃ・・」


目を見開いた。私が刺し殺してしまった筈だ


『私は消えてない。元に戻っただけ。言ったよね?私は、あなただと・・・』



「何で、平成に連れて行こうとするの?

私は、この世界に居たいだけなのに!」



『・・・千夜。』


「何で?私は、ココに居たらダメなの?


みんなの事、嫌いじゃない。大好きだよ。

生きろって言ったじゃん!死ぬなって言ったじゃん!


何で、迎えなんてくるの?


勝手だよ・・・そんなの・・。


迎えに来るなら、平成の世に生きてた時に来て欲しかったよ! !どうして、今なの?」



悲しそうな顔をする男達


「どうして、生きたいと思ったら現れるの?

私は・・・この世界の沖田総司が好きなの!


一緒に居たい。

みんなで変えた世界で生きたいんだよ!」



千夜の目が金色に妖しく光った・・・


『千夜っっ!』


「・・・これが夢か知らない。貴方達が幻か魂かもわからない。


私を連れて行きたいなら、私を殺していくんだね。私は戦うよ。


例えそれが、かつての仲間だったとしても

自分が歩む道は私が切り開く! !」


刀を抜き、構えた千夜。



こんな悪夢にいつまでも、縛り付けられたくない。


願わくば、本当の夢であります様に・・・





夜中、沖田は、目をさました。


ふと、横に眠る千夜を見たら、ものすごく、うなされていた・・・ 。


また、怖い夢を見ているのだと、揺すってみるが起きない。


「千夜?千夜っ!」


おかしい・・・


かなり揺すってるのに目を覚まさないのだ。


行灯に火を灯し呼吸してるのも、心臓が動いてるのも確認した。


千夜を再度、体を揺する


「千夜?千夜っ!起きて、起きてよっ!」


どんなに揺すっても、千夜は目を覚まさない・・・


夢の話も知っている


もし、その中に新選組の幻が現れたとしたら・・・?


助けられないじゃないかっ!


チリンッチリンッ



風も吹いてないのに鳴った鈴。


「千夜に貰った鈴・・・」


刀を手にし、千夜の近くに腰を下ろす。


そう言えば、御守りも持ってた筈。懐にいつも持ち歩いている御守りを取り出し、目を閉じる


————千夜を助けたい。


こんな物にすがる事しか出来ない。藁にも縋る気持ちで願い続けた。



そして、沖田が目を開けたら、そこは、部屋では無く、赤い世界。



「・・・何、此処・・」


人が沢山倒れ、赤を流す。地獄絵図の様な場所に沖田は立っていた。


「千夜の夢の中?」


答えてくれる人なんか居ない


「とにかく、千夜を探さないと・・・」


何が起きてるのか分からないが、今は、千夜を探すのが先。コレが夢か幻か何かなんて、どうでもよかった・・・


キィンッキィンッ


スッスッ


新選組の幻と戦う千夜


刀の腕も力も千夜に敵う訳がない。それでも、前に進む為には、戦わねばずっと、何も変わらない。


地に何度転がったか分からない。それでも立ち上がり、かつての仲間に向かっていく。


しかし、刀を弾かれ、地に崩れた千夜。立ち上がろうとしたら、首に突きつけられた刀。


相手を見たら、


「・・・よっちゃん 」


自分に向けていた刀を持つ人物は、土方であった。

冷たい視線に、冷たいく感じる首の刀。


『俺は、言ってねえ。お前に生きろとも、

死ぬなとも・・・』



「言ってないね。だから私はずっと、貴方の体を探してた。一緒に生きようと言ってくれた

命の恩人である、————土方歳三の遺体をね。」


目を見開いた男


「見つけてあげれなくてゴメンね。

でもね、出てこなくて良かったと不謹慎にも思ったよ。貴方が生きてるんじゃないかって。

また、同じことを言いに来てくれるんじゃないか?って昭和になるまで思ってたよ。


そんな事あるはずないのにね。」



『お前を、平成に連れていく。』


振り上げられた刀を、千夜は、見上げた。



ガキンッ


「千夜っ!諦めたらそこで終わりなんだろ!

最後迄足掻き続けるんだろう?」


突然現れた沖田が刀を受け止めた・・・



「総司・・・


私、まだ諦めてないよ?

危うく、総司撃っちゃうとこだったよ」


千夜は、手にした銃をクルクルと回す。


どうやら、沖田が出てこなければ、撃ってたんであろう・・・



「サラッと言わないでよ!僕、夫なんだからね?」


「承知してます。」


「に、しても、平助の額の傷以外は、同じなんだね。」


浅葱色の羽織を着た男達。それは、なんら自分達と変わりない。


藤堂は額に傷があったため沖田は、そう言ったのだ。


「新選組に、二人は無防だね~。」

「僕達も新選組だけどね。」


そう言って二人は、背を合わせて刀を構えた。




























































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