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浅葱色を求めて…  作者: 結月澪
最後の戦い
245/281

隊服の上は、浅葱色

お銚子を手に、皆に酌をして回る千夜。


「龍馬、中岡お酌しにきたよ。」

「お、千夜。」

「兄上が将軍なんて凄いな。」

「私が将軍になった訳じゃないよ。」


「龍馬、中岡。私に力を貸してくれてありがとうね。」


「なんだ?気持ち悪いぜよ。」


「・・・酷いね。言えなかったから、お酒を呑んだ勢いで言ってしまおうと思ったのに。」


「おんしのが酷いぜよ。」


あははっと笑う千夜。


「明日も、将軍の護衛お願いね。」

「ああ。任しとけ。」



西郷と以蔵は江戸だし、新選組にお酌をしに行く。


「近藤さん、山南さん呑んでます?」

「頂いてるよ。」

「千夜くん・・・」

「謝るのは無しです。私は助けて頂きました。

あなた達に・・・切腹でもおかしくなかったんです。————ありがとうございます。」


長州から帰った時に、嘘をついてくれた。

隊士を斬った時、介助と言ってくれた。


酒を注ぎ、笑顔を見せた千夜。


「千夜くん・・・」

「戦いましょう。最後まで。」


「ああ。」

「はい。」


そして、千夜は、土方を見やる。


「よっちゃん。呑んでるの?」

「ああ?一杯だけな。」

「どっちがいい?」


徳利を両手に持ち、右手だけ揺らす千夜。


「お前。」

「残念、それは、選択肢にありません。」


ふっ!っと笑う土方。


「酒だ。」


酒を注ぐ


「本当、良い女になったな。」


「・・・私が?よっちゃん、目どうかしたんじゃない?」


「無自覚ほど怖えもんはねぇな。」


酒を呑み干した土方は、ジトっと千夜を見た。

その後三馬鹿は、既に6杯は呑んでたからお酌はなし。


総ちゃんとはじめ、源さんにお酌をした。


天皇にもお酌をしたら


「椿、お前の舞が見たい。」


そう言われてしまった。


「喜んで。」


芹沢が死ぬ日に舞った剣舞を披露した。


その舞が終わる頃、間者と思われる男達がソワソワとしだし、動き出す————。


千夜は持って舞っていた刀を投げ付けた。

グサッと畳に突き刺さった刀・・・


「宴はお開きです!烝!島田さん!」


現れた二人は、怪しい男達を手早く拘束して行く。


ザワザワする部屋の中


「この中に間者が居る!他にも居るだろう。

部屋を出る事はならない!」


「御所を出入り出来る人間だけ、此処に残れっ!」


観察方が不審な人物だけ洗い出す


「こんなんでわかるの?」

「観察方、舐めないでよ。」

「千夜。顔が怖いよ。」


そんな事を言われても、困る。


出入り口を長州四天王と龍馬、中岡、零番組が塞ぐように立つ。そして、部屋にのこったのは、20人。


新選組からは、間者は出なかった。伊東派が残っているのにも、関わらず————。


「久坂、天皇を部屋に!」

「わかった。」



千夜が一人一人確認し、二人を立たせる。

「ゴメン、あなた達は、違う。」


部屋から出した。その隙をつこうとしたのか、

逃げ様とする男が四人。


シュンッと飛んできたクナイによって、身動きを封じられた。


「18人・・・か。」



「お前の所為で、日本は終わるんだっ!」

「クソアマっ! ! !」


「誰もお前を必要となんてしてねぇ!」


「お前所為でっ!将軍は、死んだんだっ!」


間者からの罵声


「黙れっ!」バシッ


「いいよ。言いたいなら、言ったらいいじゃない?

さぞかし気持ちよかったんだろうね。裏切った幕府から給金を貰えて、ケイキを裏切って・・・」



「疫病神だっ!」


「みんな騙されてるんだっ!」


「黙れっ! !」


慶喜が一人の間者の髷を掴み上げる。



「信用してたんだぞっ! !」


その声は、何処か寂しそうだった・・・。


「何処まで情報を流したっ!言えっ! 言わねば仲間を殺すぞっ!」


「その必要はないよ。そいつは岩倉の取り巻き。島原で会ってた情報があってね、

————鼻の下のホクロ・・・」


バッと鼻を隠した男


「捕縛して牢に打ち込め!こいつらは泳がせる。可笑しな行動をしてみろ! !一族全て根絶やしにしてやるっ!」


目を見開いた間者達。そのまま牢に連れて行かれた。


「さすが、ちぃちゃんの兄上。」


バカにしてるんですか?


「椿、すまない・・・」


「何が?」


「あいつらが言ったことだ。」


「ああ、きにしないよ。」


岩倉具視は岩倉派を中心に、伊東甲子太郎も加え一年で、300近い組織へと変貌を遂げた。


そして、武器の横流しを始めた所早々に見つかり、今日につながった・・・。



「捕まった者は、そのまま泳がすんですか?」

「ああ。」


やっぱり千夜の兄上だ・・・


「驚かぬのか?」


「慣れました故に・・・」


土方の視線は千夜


「上様、明日の計画は全て、敵に流れております。この戦、我ら新選組にお任せ頂けないでしょうか! ?」



頭を下げた近藤と山南。遅れて土方も頭を下げた。


新選組に・・・


「敵は、300人を超えるのだぞ!」


新選組は、200人足らずの隊士達しか居ない 。


「わかっております。我らは家茂公を護衛する為、江戸から京に来たのです。なれど、守ることはなりませんでした・・・」


クッと悔しそうに表情をこわばらせながらも近藤は、続ける 。


「岩倉を捕らえられなかったのは、京都守護職を仰せつかった新選組の責任でもあります。


仲間の命も奪われました。どうか、我ら新選組に————岩倉具視を討ち取らせて頂きたい!

死んでいった仲間の為にも、新たな世の為にもっっ! !」


頭を思いっきり下げた近藤。ワラワラと新選組の隊士達が近藤に賛同し頭を下げだした。


慶喜は、その状態をみて千夜を見た。そして、千夜も頭を下げる。


「・・・椿・・お前まで・・沖田!椿が死んでも良いのか!」


「・・・僕は、死んでもいい。とは、言いません。彼女は今、零番組組長として頭を下げたんです。ならば、止めることは不可能です。」


「死にに行くというか!山崎っ!」


「いいえ。新選組は、死にません。」


「ケイキ、私は、芹沢千夜として戦わねばならぬのです。どうか、お許し下さい。


天皇をお護りください。お願いします。」


頭を下げた千夜と新選組・・・



彼らを止める言葉をもう、誰も言うものは居なかった————。


彼らの目は、決意に満ちたものだったから・・・


そして25日。早朝からバタバタと慌ただしい千夜


「いいですか?コレ取らないでくださいね。」


「椿、これは何だ?」


「異国のブレスレット。腕輪ですね。お守り」


シルバーの細めのブレスレット 。それには千夜の力が宿っている


「椿、本当に行くのか?」


「ヒロ君、生きて。日本を良い国にして

一緒に梅と桜見よう。ね?」


「ああ。」


隊士達にお守りを持たせる。もちろん幹部達にもだ。


「千夜さん、縁結びはないんじゃないですか?」


呆れた声の零番組


「ごめん、足りなくなっちゃってさ、中は違うから。」


「まだ持ってたんか?縁結びのお守り・・・」


「だって、捨てれないじゃん。はい、烝も・・・」


「俺は厄除けかいっ!」


「だから、捨てれないからっ!」


「千夜。」


「あ、トシマロ・・・あー。もう伊藤さんなんだよね・・・」


吉田は正式に伊藤博文を名乗ることとなったのだ


「千夜は、そのままでいいよ。死ぬなよ。俺は、約束を果たした。」


「日本の夜明けを一緒に見て、一緒に歩むんだ。」


「千夜、死ぬんじゃねぇ。」


「わかった。天皇をお願いします。」


3人にもお守りを渡し、龍馬、中岡にも渡した。


浅葱色の羽織を皆が纏う。屯所までわざわざ取りに観察方を動かした。


新選組としての出陣なら、これは必要不可欠。

御所の中を浅葱色の羽織を着た男達が列をなす・・・



「椿、生きて必ず戻れ!」


「はい。」


笑顔でケイキに返事をした千夜は

屯所を出て行った————。


































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