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浅葱色を求めて…  作者: 結月澪
最後の戦い
244/281

15代将軍徳川慶喜

そして翌日、慶喜が正式に、江戸幕府第15代征夷大将軍になった。


その知らせを千夜も共に聞いたのだが、


「俺が将軍・・・」

「逃げないでねって言ったよね?」


「逃げはしないが、前の職のが気に入っていた。」


「そう。

将軍就任おめでとうございます。

この日本をより良い国に、そして、平和で貧しき者にも手を差し伸べられる国にしてください。」


頭を下げた千夜に、慶喜は声をあげる。


「やめろ。頭など下げなくてもいい。」


クスッ


「ケイキらしいね。」

「宴を開く。」

「兵士達が喜ぶよ。」


突然、慶喜に抱きしめられる。


「死ぬなっ!俺がどんなに探したかわかってるのか!頼むから、死ぬな!」


「ケイキ、あのさ。みんな、なんなの?

私は、死にたくないんだってば。」


「自分の命を優先してくれ。」


「ケイキ、私は、新選組だよ?

誠の旗の元に、私は信じた道を行く。」



「新選組は幕臣だ。俺が命令を出す!だから————」


その言葉を聞き、慶喜の腕からすり抜ける。


「私を曲げれる人間は、もう、この世に居ない。私は、そいつに誓ったんだ。

新選組を継いで正しい道に連れて行くと。


その先が、死であったとしても、私は、————新選組として死にたい。

でも、天皇は、守ってね。」


ニコッと笑う千夜。


そのまま、慶喜の返事を聞かず、部屋を出て行ってしまった。


「烝~~すすむさ~ん?あれ?おかしいな・・・御所の中に居るはずなんだけども・・・」


「うおっ!」


ズデンッ珍しい山崎がこけた。


「大丈夫?」

「イテテ・・・寒いから、凍っとる。」


烝の転んだ場所を見ると、水溜りが凍っていた。


「あー。だから、滑ってコケたんだ。」

「で?なんや?」


「あのね、ケイキに言い忘れちゃって。宴は明日にしてって。」


「・・・俺、急いで来たんやけど?」


急いで来たのに、内容が私用だった事に山崎はジト目で千夜を見る。


「あとね、ミニエーの数を確認して貰いたいのと、数が合わなければ、夜銃を見張るから付き合ってね。」


こっちのが本題なのにも関わらず、サラッと言う千夜に、山崎は目を細め、真剣な眼差しで千夜に返事をした。


「・・・わかった。ちぃ、死ぬときは一緒やからな。」


ふっと千夜が笑う。


「・・・了解しました。」

「そこは、死なない言うんやろ?」


「烝に嘘は通じないからね。ココに私の力があるから。」


山崎の胸をトントンと叩く


「・・思い出したんか?」


「うん。山崎丞は、幕府の任務遂行中に大怪我を負った。もう助からないと医者がサジを投げた時、私が丞に力を使って傷を治した。


泣いてたし、どう使ったのかも覚えてないんだけどね。ただ、死んで欲しくなかった。」


「俺は、生きれてラッキーやった。」

「烝、ちょいちょい横文字使うよね。」

「いいやん。」

「ダメじゃ無いけど。」


「調べてくるわ。宴は、明日な?

ちなみに何で、明日?」



「未来の日本で、12月24日と25日は

宴を開くんだよ家族や仲間でね。

未来に家族も仲間も居なかったからね。やってみたいなって思ってたから。」


頭を撫でる山崎


「わかった。また、知らせに来るわ。」

「お願いします。」


そう言えば、山崎は、その場から去っていった。


「死ぬ気なんて・・・無いよ。全くね・・

明治を生きると約束したから・・・」



千夜の声が誰に聞かれることもなく、消えていった・・・



そして、その日、夕餉を食べた所に山崎から報告が来た。


銃の数は、やはり足りなかった。


58丁・・・


「新選組幹部、近藤さん、山南さん、よっちゃんだけ集めて。」


小声で話す千夜に、男達の声も小声となった。

「将軍は?」

「後から報告する。」

「御意」


そして、近藤さんの部屋に幹部達が集まった。もちろん、山崎もだ。


「大きい声は出さないでね。いい?」


みんな頷いた。


「御所の中に間者がいる。銃を横流ししてる奴が・・・」


「はぁっ! !」

「バカッ!平助、静かにしろっ!」

「いや、だって一緒に戦ってきた奴らだから・・・」


「ちぃが言ってたことは当たったということか・・・

テメェらいいか?

今から話す事は他言無用だ。内密といった方がいいかもな。銃が横流しになってるなら

こちらの動きも筒抜けだ。


もし、そうであったなら、お前達、自分の身の振り方をよく考えた上で戦に参加しろ。こっから先、離隊しても罰は与えない。生きるか死ぬか、全くわからねぇ。」


土方が話し終わって、皆の顔が強張った。


「自分はどうするか、よく考えといてくれ。ちぃ。銃の方はどうする?」


「とりあえず、

今から見張りに行って現行犯で捕まえます。


でも夜ですから、御所から出ない可能性のが高いです。コソコソ何丁も銃を持ちだしたらとにかく捕縛です。捕縛の時に大声を出されたら困るので、睡眠薬で寝かして欲しい。

体力を温存できるし、何より音が出ないから。」


そして、真夜中。

銃の見張りが始まった


蔵の前と中に息を殺して、見張りをする。


次の日、出陣しなければならない人は部屋に戻し、明け方まで蔵の見張りは続いた・・・


捕まった人は19人


睡眠薬を嗅がせ牢に入れて慶喜に報告した。


「・・・俺の・・家臣だ。」


ショックを隠しきれない慶喜


まだ気を失ってる家臣達に、追求するのは不可能。


「すまない・・・」

「ケイキは悪くないよ。

起きたら、拷問しなきゃいけない。ここは、私が見張るよ。」


「いや、隊士にやらせる。ちぃ、お前も寝てねぇんだ少し休むぞ。」


「・・見張るぐらいできるのに・・」


ブスッと声を出した千夜


「千夜、土方さんの言う事、聞いとこうぜ。

ふぁ~あ。眠い・・・」


「わかったよ。」


渋々部屋に戻った。


布団で眠る沖田の横に潜り込む。

「・・・んっ・・・」


寝返りを打つ沖田・・・

肘をついて、寝顔を見つめるその顔は、穏やかで、


————ゴメンね。



グイッ


「へ?」


引っ張られたかと思ったら、彼は私の上に・・・


組み敷かれた身体



「総ちゃん、起きてたの?」

「あんな見つめられたら目なんか覚めちゃうよ。」


「へへ。ゴメン。まだ寝れるね、一緒に寝よう?」


千夜の言葉に、沖田は黒くなった髪を撫でる。


「千夜・・・?————死ぬときは一緒だ。」


「・・・うん。」



そして夜、クリスマスパーティーなんて、声を大にしては言えないが、キリシタンって言われるのがオチだからね。


やってみたかったんだよね仲間と。


だから張り切って、から揚げとかポテトとかを大量に作った。


しかし、浮かれた表情は、貼り付けた仮面だ。牢では拷問が行われていた。目を背けたくなるほどの拷問に、まだ仲間は居ると明日の幕府軍の計画は全て筒抜けだと、聞き出せた。


「皆、そのまま聞いてくれ。皆、これまでよくついてきてくれた。

一橋慶喜は、15代将軍、徳川慶喜になった。

これからも、よろしく頼むっ!」


「おおーー。」


歓喜の声が部屋に響いた。


「今日は宴だが、酒は一人6杯までで我慢してくれ。では・・・」


「一橋公が将軍・・・」

「凄いね。この部屋の熱気・・・」

「あー。野郎の熱気なんか、むさ苦しいだけだがな。」


千夜が慶喜にお酌をする


「おめでと。」

「ああ。」


「お祝いなんだからブスッとしない。」


そうは言われても裏切り者が出たのは事実


「大丈夫だよ。観察が見張ってる。今は、宴を楽しんで?」


「椿・・・わかった。」

「ささ、呑んで。」


コクコクと酒を注ぐ千夜


くいっとケイキは飲み干した。

「明日なのか?本当に・・・」

「うん。天皇を守ってね。」


笑顔で言う千夜にケイキは不安しか無かった・・・


「左之さん本当に6杯しか呑んでない?」


切腹自慢をしだした原田に疑いの目を向ける


「ありゃ、それ以上呑んだな。」


永倉がため息を吐いた


「左之さん何やってんだよ。ったく・・・」


上半身裸の原田


「俺は6杯しか呑んでねぇよ!なぁ、千夜。」

「知らないよっ!」

「なんだよ~冷えなぁー」


肩に腕を回して来たが


「酒臭い。」


明らかに6杯じゃない・・・


「ちょっと、左之さんっ!離れて下さい!」


「小せえ男だなぁ。いいじゃねぇか、これぐらい。」


「ダメです!」


原田の腕から逃れ、沖田と言い争いを始めてしまったから、また別の場所にお酌をしに行く。


「トシマロ。呑んでる?」

「千夜、お酌してくれるの?」

「もちろん。桂と高杉と久坂も・・・」


「ありがてぇ。」

「ありがと。」

「・・・」


トクトクと酒を注ぐ。


「明日は天皇を守って下さい。」

「明日なのか?」


深く頷いた千夜。


「全力で守るよ。」

「お前も死ぬんじゃねぇぞ!」

「当たり前でしょ?」


ポカッ

「お前いつも危なかっしいんだよ!」


高杉に叩かれた


「俺らを生かしたんだ。ちゃんと死ぬまで見届けてくれよ。」



「クスッおじいちゃんになっても?

私そんな長生きかなぁ」


「生きろよ。ずっと長州のヒメで居てくれ。」

「・・・おばあちゃんになったらヒメは可笑しいよ。」


「ちげぇねぇ。」


長州四天王の笑い声が響いた・・・






















































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