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浅葱色を求めて…  作者: 結月澪
戻って来た幕末
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山崎の記憶

朝餉を食べ終わった頃、山崎が千夜の様子を見に、土方の部屋にきた。


「おはようさん。」


「ああ、おはよう。」


「土方さん、千夜受け取りますよ。」


千夜の手を俺の着物から剥がしながらそう言う山崎。


「ああ、助かる。」


離れて行く体温が高かっただろう。土方は身震いする。


「土方さん、一枚着といた方がいいで?

千夜、熱あるから布団より暖かかったやろ?」


「ああ。急に寒気がした。」


羽織りを取り出し着る土方。


「でも、だいぶ熱下がったな…。」


「一度目、冷ましたぞ?」


「目冷ました?!」


いや、何も驚くとこじゃないと思うんだが…?


「どうした?」


「いや…。睡眠薬結構強いやつを飲ませたんで、

半日は起きれん筈なんやけど…。」


ゴホゴホッ


「ん……烝……よっちゃん?」


「起きたみたいだな。」


「千夜?お前どうなって、、、。」


起き上がって、んーっと延びをする千夜。


「あーよく寝た。何驚いてるの?ゴホゴホッ」


「強い睡眠薬を飲ませたのに、」


何でこんな早く起きるか知りたいって事か


「睡眠薬はね、毎日少しずつ服用すると効き目が薄れるんだよ。

もし、敵に睡眠薬を盛られて、動けないと話しにならないでしょ?」


「まさか、千夜も毎日?」


「毎日飲んでたよ?」


それが何か?とでも言わん限りの言い方。


「飲んでたて、もし分量間違えたら死ぬんやで?」


千夜の胸倉を掴み感情を露わにする山崎。


「この組はもっと大きくなる。

10や20じゃない。200人以上の大きな組になる。

大きな組になれば、自然と敵は多くなる」


200人以上の大きな組。俺には想像できなかった。


「だからって、千夜が飲む必要ーー

「あるよ。私は観察方副長として

貴方達を守る義務があった。」


山崎は、目を大きく開き千夜を見つめる。


ーーお前は、知ってる筈や。

目の前の、桜色の髪の少女を!


その声には、聞き覚えがあった。

頭に流れ込んでくる記憶の欠片



泣き虫で、お転婆で…。


あぁ。そうや。何で忘れてたんやろうか?



コイツは………。

いや。このお方はーー


「おいっ!山崎!」


その声に、ハッとする。

胸倉を掴んだままの千夜から手を離す。


「大丈夫か?山崎。」


何処を見ているか、わからない山崎が気になり声をかけた土方


「だ、大丈夫です。」


その声に、千夜は山崎の腕を掴んだ。


「思い出したの?」


私を…


「ちぃ!」


物凄い勢いで抱きつかれワッと千夜から声が出た。

着崩れた千夜の寝間着に顔を埋める山崎。


ゴホンっと土方が咳払いをするが山崎は離れない。


スパーンッ


「土方さーん、ちぃちゃんは?」


山崎に抱きつかれた千夜を見て固まる総司


「山崎君っ!ちぃちゃんに何してるのさ!」


引き剥がそうとする総司に、千夜に抱きつく山崎


「ちぃは、沖田さんー人のもんやない。」


「は?」


「思い出した、みたい。」


「山崎君っ離れてって!」


「嫌や。」


千夜の寝間着がハラリと肩からずり落ちた。

三人の男が固まる。晒しを巻かれてない胸が見えたから。

さすがに、山崎も直視できないのか、ササッと離れた。

それでも胸が見えてるのに動じない千夜。


総司が、鼻血を吹き出しながらも胸を見る始末。


男だからね…。


はぁ。と、ため息をついて千夜の寝間着を直す土方。

そっと、おデコに手をやるとまだ熱い。


「もう少し寝とけ。」


「はーい。」


仕方なく布団に入った千夜。

土方の匂いがする布団が心地いい。

数分も立たないうちに千夜はまた眠った。


















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