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浅葱色を求めて…  作者: 結月澪
下関戦争
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銃の指南

「土方さん、気をつけてくださいね。」


沖田にとっては他人事である。


「何で俺がちぃの目を気にしないといけないんだ!お前だろ?普通に考えて!」


「………あぁ、僕興味ないし…」

「誘われたら遊女買っただろうが!」


「ひ、土方さん!何で、言うんですか!」

顔を真っ赤にした後、青くなる。ケイキ公も聞いていたからだ。千夜の兄上……。


「ほう、椿がいながら、遊女を買うのか?」


「いえ、あの、その……。」

あたふたした沖田


「ケイキ、あんた妾沢山居るのに人の事言えないだろうが。」


「居るが、それとこれとは話は別だ。」


「何が別ですか?大体、遊郭なんか必要ないでしょ?妾も必要ない。一夫多妻制は廃止すべき!」

「千夜くんそれは!」


「何ですか?近藤さん、つねさんが、幸せだとでもおっしゃるつもりじゃないですよね?

江戸に置き去りで、コッチに世帯もって、子供とつねさんが可哀想です!


謙虚ですよね、近藤さんの帰りを待ってるなんて、妾作ったのに……。私なら待ちませんが。」


「え?ちょ、ちぃちゃん嘘だよね?」


「何で一人の女性を幸せにできないのに、妾なんか作れるのか訳わかんない。子供も見れないなら作るな!

浮気したら切腹が妥当だと思いますけど?

なんなら近藤さん、今から切腹しますか?」


「…それは……」


「なんですか?武士なんでしょ?

女を妻を幸せにできないんですから、妾も幸せじゃないですよね?」


「ちぃ、近藤さんをいじめんじゃねぇ。」


「よっちゃん、手当たり次第に女性を抱くのは同意の上なら何も言いませんが、そのうち痛い目にあうからね!」


「う……」


「桂、幾松に会ってませんよね?

島原行く暇があるなら会いに行きなよ!あんたを支えてくれた女でしょうが!幾松がいなければあんた、死んでたんだよ?わかってる?」


「わ、わかってるよ。」

「総司、あれをなんとかしろ…」


土方が止まらない千夜を止めるように沖田に振った。


「ち、ちぃちゃん…」

「なに?」

「ちぃちゃんの言いたいことは伝わったから……そろそろ……」


目が泳ぐ沖田。


「いえもち君、大奥という女の牢屋は廃止して。」


「牢屋って……。」


「牢屋でしょ?好きな物を与える代わりに

そこから出さない。その為に沢山のお金が使われてるなら必要ない!


もう、徳川の時代は終わるんだよ。

徳川家康の血は、絶えなくとも、もう薄い血だよ!天下をとった徳川家康の様な時代は、もう、徳川家にはこない!


私達に出来ることは、家康が作った間違った事を正すことでしょ?子孫として……


大奥はいらない。女も幸せになる資格がある。

女だって働けるよ?

戦に出るのは男だけでも女は男がいない間、戦ってるんだよ?」


「…椿……」

「…大奥は……」

「もういい。わかった。」


崩れそうになる千夜を家茂公が支えた。


煌びやかな場所。彼女はそこで、己に刃を突き刺した————。


女のイジメ、権力争い。二週間程、大奥で過ごす事になった幼き椿の見たものは、絶望しかなかったのだろう。

少ししたら正式に大奥に入ることが決まっていた。


だったら子を産めなくすればいい。

間違えば、彼女は、死んでいた。


そこまでして、彼女は大奥が嫌で嫌でたまらなかったのだ。


自分の存在価値は、子を産むことでは無いと自ら証明した。


戦う事で、天皇も将軍も動かしたのだ。

そして周りにいる男達も彼女に動かされた。


「沖田、お前は椿が……」

「知ってます。それでも、僕は彼女じゃなきゃ

ダメなんです。」


「………そうか。」


知ってるのか、子が産めない事を……


それでも、椿を選ぶというなら認めるしかない

————二人が恋仲だと…。


昔の事を思い出して冷静さをなくしてしまった。


「いえもち君、ありがとう。もう、大丈夫……」


そっと離れた、いえもち君。


あはっと無理矢理笑う千夜に苦笑いをしてしまう。


「政の話をしよ。」

という彼女の提案に、皆が苦笑いした。


「幕府も味方だし薩長と土佐、会津。

戦になっても負けやしないんじゃないか?」


「高杉、藩が味方になっても、考えが違う者だっているんだよ?

幕府がついても、反対派は居るはず。

天狗党、考えたくないけど水戸藩で賛同してくれるのは、ごく僅かだと思う……」


サッと取り出したのは、前に水戸まで行った時の武器などの情報を書き記したモノををみんなの前に広げて見せた。


「何?これ。武器どんだけ隠し持ってるの?」


数にしてざっと6000丁。


大砲も可動式のモノが75台。


爆弾も大きな木箱に5つはあった。


「これ、一箇所にあっただけだからね天狗党の本拠地に……。さすがに水戸藩は行けなくて…」


「は?千夜一人で調べたの?これ……」


「……いや、以蔵も連れてったけど… 」


「四日屯所を抜け出して行ってきたんです……」


ジトッと見られる千夜。


「少しずつ京に天狗党が入ってきてるって言うし、天狗党に芹沢の知り合いがいればとおもったら居なかったし、名前すら、残ってなかった。」



「牢に入ったから名前が消された?」


そんな事は分からない。


「開国派は少ないし、一万五千対五千が有力かな。


幕府が天皇が力を貸してくれても開国派は多くなるかもしれないけど…

それでも、攘夷派のが多いかもしれない。」



「武器はグラバーに調達して貰ったよ。薩長で メリケンからミニエー銃を輸入した。」


「輸入しても使えなきゃ意味無いでしょ?

なるべく被害は減らしたいんですよ!わかってます?まさか、教える人居ないわけじゃないよね?」


「………」

「………」


「幕府には居るぞ。銃指南できる奴が……」

「腕前は?」


「…………」


ダメじゃん!



千夜が銃を撃って見せることになったのはいい。


「なんで、的が俺なんだ!椿っ!」

「……当てたらダメな人だからだよ。」


的はケイキ


「一橋公が哀れだ……」


「いい?動かないでね?動いても、外さないけど。」


両手に扇子頭にも扇子。結構笑える格好のケイキに、バンッバンッバンッっと迷う事なく発砲する千夜。見事命中したのは、言うまでもない。次に取り出したのは、どっから持ってきたのか、空きカンであった。


「ケイキ、投げ上げて。」


言われるがまま缶を空に投げ上げる


バンッバンッバンッバンッバンッバンッ


「缶の穴の数は?」

「六つだ……」

「……すごい。」


「俺が的になる必要なかっただろ?」

「え?だって、面白そうだったから」

「………そんな理由かよ。」



新選組隊士にも銃指南をしなければならないのに

まさか、幕府も薩長も教えなければならなくなるとは思わなかった……


近藤さんは耳が痛いとすぐにやめてしまう。


「龍馬も高杉も大丈夫だよね?」


「大丈夫だが、おんしの様にはいかんが……」


「なるべく肩か足を狙って!武器取り上げちゃえば勝ちでしょ?命まで取る必要はないよ。」


「腹切る奴も出るぞ。わかってるよな?千夜。」


————それが一番嫌なんだけど。


「わかってるよ……」


幕府が開国、天皇も開国に賛同した。

この事により、全てが早まっていく。



























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