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浅葱色を求めて…  作者: 結月澪
下関戦争
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二日酔い

宴の席に、髪は右に一つにまとめて、短パンとキャミで、やって来た千夜に、唖然とする、男達。


その格好は、紅一点の場であるからか、男達の視線を集める事になった。新選組と、長州の方々のみの、ささやかな宴の場所は、立派な屋敷でとり行われた。


私の右横には、総ちゃんが座り、反対の席には、平ちゃんがいた。


宴が始まり、お酒を勧められるままに呑んだ。

いつも、宴だとお酌ばかりで、ちゃんと呑めた記憶がないから、いいかな。そんな軽い気持ちで、酒を開けていく千夜。


ちょっと、調子に乗りすぎたのか、途中から、フワフワした感覚が、千夜を襲う。

「おい、ちぃ?大丈夫か?」


その声に、視線を向ける千夜は、

「総ちゃん……?」

と、首を傾げ、グイッと、自分の方に引き寄せ、キスをする。舌まで、絡めて……。


周りは、ざわめく中、唇は、離された。ペタッと、目の前の男が、へたり込んだ。


「総ちゃん?どうしたの?」


男に問いかける千夜。だが、それは、沖田ではなかった。


「総司は、こっち!」


千夜の手を引く沖田は、必死である。


「??あれ?総ちゃんが二人?」


どう見たら、そう見えるのか?しかし、千夜には、そう見えて居るらしい。


「………」

「………」


トロンとした千夜の目。


……これは、完全に、酔っ払い……


沖田は、千夜の持ってた酒を取り上げ、口をゴシゴシ拭きだす。


一部始終を見ていた高杉が、藤堂の横に来て、

羨ましそうに尋ねた。


「千夜の接吻………。チビ助、感想は?」


放心状態の藤堂が、口をパクパクと、動かした。


「……あれは、ヤバイ……。」


まだ、放心状態の藤堂は、己の唇に、そっと触れる。


「平助、潔く死になっ!」


沖田の殺気に、ハッとして、


「俺は、何もしてない!」


そう、叫んだ。藤堂は、悪くはない。

たまたま、運良く、近くに居たから、巻き込まれただけの話しだ。


「ちぃ、お前、水のめ?大丈夫か?」


ヘラヘラ笑う千夜に、土方の理性も軽く崩壊


……これはヤバイ……


「お酒のむゅー」


もう、呂律すら回って居ない千夜。手に持つ酒を、沖田は、奪い取る。


「ちぃちゃん、もう呑んじゃダメ!」


沖田が、そう言ったのに、


「えー。よっちゃん酷っ!」


もう、誰が、誰だかわかってない様だ。


「あれ?総ちゃんは?」


目の前に居るのに、沖田を探す千夜。


おもしろくて、千夜の視界に入らない様に、

沖田を羽交い締めにする土方。


「あー!いたー。」


トコトコ歩いて行った先は、吉田の所。


期待に満ちた、千夜の顔に、吉田は、声をかける。


「………。ここくる?」


吉田の膝の上をポンポンすると、ヘラっと笑って膝に座る始末。


土方から逃げられない沖田が、吉田を睨みつける。彼の放つ殺気に、

「千夜、沖田が殺気を放ってるから、戻れ。」

と、赤根が千夜に言うが、


「あれ?桂は、京じゃなかった?」

と、桂と間違えられる赤根。


しばらくすれば、ヨロヨロと、また移動する千夜


「中村、今日は、頑張った!」


そう言うが、それは、近藤である。頭を撫でる始末。土方が、千夜の腕を引き、自分の横に座らせると、


「烝は、お酒呑まないの?」

「………。俺は、山崎なのか?」


複雑な気持ちである。


「ちぃちゃん!恋仲は、ここだってば!」


千夜を腕に閉じ込め抱きしめる沖田。


「……眠…い……」


スーっと、寝てしまった千夜。



「ちぃが酔うと、かなり可愛い…」

「どこがですかっ!」


その後、千夜が眠る中、宴の席はお開きとなった。





そして、翌日。


見慣れない天井が見える?…………あれ?


翌朝、二日酔いの千夜は、起き上がった瞬間、

頭を押さえ込み、再び布団へと逆戻りした。


「……頭、痛い。」


そして、昨日の宴の記憶がない。全く。酔っ払ったのも、二日酔いも、初めての体験。

一生懸命思い出そうとするが、思い出すわけはない。


まぁ、いいか……。っと、隣で、眠る沖田に抱きつき二度寝を決め込んだ。


「……ん……?」


千夜が、寝た後に目を覚ました沖田。自分の胸の中に眠る千夜を見て、顔に掛かった髪を退けてやる。


「僕と、平助を間違えるなんて、京に帰ったら、絶対、お仕置きだからね?」


寝てる千夜を抱きしめ、沖田もまた、二度寝を決め込んだ。


しばらくして、バンッっと、荒っぽく戸を開ける音が部屋に響いた。


「テメェら!いつまで寝てやがる! !」


うるさいのが、起こしに来た。


「ちぃ!一橋公が見えてる!起きろ!」

「……ん?頭痛い~大きい声は………。」

頭に、響くからやめて?


キャミと短パンのままの千夜は、起き上がったが、まだ、寝ぼけ目のまま。


「ほら、さっさと起きて着替えろ!」


ふぁ~っと欠伸をする千夜。沖田は、起きてすぐなのに、テキパキ着替える。


「早くしろ!」


土方に急かされる始末。なんとか、袴姿になって、ケイキの元へと向かった。


陸戦は、少しはしたが、ほとんど、船を守っていたケイキ。


「おはよう。ケイキ。」

「ああ。おはよう。昨日の戦、お前が止めたと報告が来てな、船も危うかった。連合国の強さを知った。あれは、敵にしたくないな。」


「でしょうね。

あとね、止めたわけじゃなくて、猶予をもらっただけたがら。三年。その間に、鎖国をやめ、開国しなければならない。」



「三年か……。

攘夷は、無意味。お前が言った意味はよくわかったが、開国の権限は、天皇しか持っていない。謁見の許可をもらおう。椿、その時は……。」


と、確認する様な慶喜。


「もちろん、一緒に行くよ。」

「賠償金は?」


「もちろん、上乗せした賠償金は、日本は支払いしませんとは言ったよ。」


それを聞いて、思い出した様に、はぁ。っと、土方がため息をついた。


「どうした?土方。」


携帯を取り出し、昨日、山崎が、撮影した動画を見せる。キューパーに、銃を突きつけた千夜の姿だ。


「………。お前は!何をしてるんだ!」


驚いた様に、声を荒げる慶喜。

今日、頭痛いんだってば!


「銃を突きつけた。」

「見ればわかるわ!」

「あっちが刀を突きつけたからだよ?正当防衛です。」


確かにそうだが、挑発したのは、千夜だ。













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