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浅葱色を求めて…  作者: 結月澪
副長助勤
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零番組

やっと、外出が許されたのは。三日後だった。


千夜の組は、零番組と、名付けられた。

一番組は突撃、特攻を重要とした組。


零番にした理由は、


一番組の様に突撃も出来、救護、観察

何でも出来なきゃダメという、厳しい組だからだ。特に、救護を重要とする組。

武士になりたい彼らに、救護をしろと言うのは

嫌がられる。理解が無ければ成り立たない。


それでも、どうしても必要だから、千夜は、無理矢理、押し通した 。


零番組は、中村が伍長をつとめ、佐々木、野口、奥沢、安藤、新田と、人数は少ないが

土方が、信頼出来る隊士を割り振ってくれた。


零番組の初めての巡察————。


町の中を歩く、町中の視線は、やはり突き刺さる様に痛く、鋭いものばかりだった。


君菊でいる時には、カツラをしている為気にはならなかったが、この一つで後ろに結い上げた桜色の髪は、本当によく目立つ。


————化け物。


そんな声も聞こえたが、千夜が気にする事などなかった。


零番組の初めての巡察は、特に事件もなく、

後は、町中から屯所に戻るだけとなった頃、


タッタッタッ


ドスッ

「うわっ。」


千夜にぶつかって、転がる男の子。


「大丈夫?」


私を見るなり、ヒッと声を上げた男の子は、目に涙を溜めて、クリクリした目で私を見つめる 。


「立てるか?」


男の子の視線は、浅葱色の羽織と刀に向けられ、覗き込む様に話していたら、


「ウチの息子に、

手を出さんといて下さい!」


飛び出してきた、母親らしき人物が、男の子を庇うように抱きしめた。

自分の母親に、驚いたのか さっきまでの涙が嘘みたいに無くなった、男の子。


千夜は、また男の子に話しかけた 。


「君の母上は、強いな。新選組が怖いのに、

君の為に、飛び出して来てくれた。


————きっと、君も強くなるね。」


母親の足を見れば、よほど、急いだのだろう裸足のままで、擦り切れてしまった傷が、痛々しい。


キョトンとした親子に、ニコッと笑いかけたら、男の子は母親を見てから、千夜に視線を向けた。


「ぼく、強くなる。お兄さんみたいに強くなる。」


中村がお兄さんと聞いて、プッと笑いやがった。

なにも、強いと思われる事はやってないが、小さい子からしたら、刀を持ってるから、強い。というイメージなんだろう。


「うん。ほら、二人して、そんな地べたに座ると汚れる。」


まだ座ったままの二人を立つように促し、千夜は、自分の下駄を脱ぎ捨て、下駄を男の子の母親に差し出した。


「はい。よかったら使って?」


「え、でも…」


「私は、足袋があるから。貴方は素足。だから、使って。」


無理矢理下駄を渡して、ニコニコ笑顔の男の子が

「ありがとう、お兄さん。さよーなら。」


と手を振ってきた。


怖がられたのが嘘みたいの満面の笑顔。

母親もぺこりと頭を下げた。足元を見れば、千夜の下駄をちゃんと履いていた。



「千夜さん、また、副長に怒られますよ!

巡察中なんですからね?わかってます?」


最近、中村が、姑の様になって、怒られるのも慣れて来た。


「全くですよ。不逞浪士に会ったらどうするんですか?」


足を見る佐々木。


とてもなく不自然な絵だよね。下駄履いてない新選組。巡察中なのに————。


「素足じゃ、流石に痛そうじゃん。」

「全く、うちの組長は!」


新田がそんな声を漏らす。


「じゃあ体力強化のために、私をおんぶでもする?」


「サッサと、巡察しましょうね。」


安藤がスルーしやがった。


はぁ。





「ただいま戻り————」


ました。と言おうとしたのに、


「ちぃ!」


いや、何?


「大丈夫だった?」


はぁー


「普通に巡察してきただけじゃん。なんなの?

私は、信用ないんですか?」


「その前に、何で、下駄履いてないん?」


「…………。」


その後、中村が洗いざらい話して、結局、怒られた。


足袋はボロボロで、使い物にならなくなるし、


本当ついてない、、、。










































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