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浅葱色を求めて…  作者: 結月澪
副長助勤
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平和的解決?弐

布団にうつ伏せに寝かされた千夜の治療をする山崎。


「なんで、あんたらそんな近くに来るん?」


千夜の背中の傷は、着物をたくし上げなきゃ傷の手当てが出来ない為、胸ギリギリまで、着物を捲り上げている。


「「「治療手伝う。」」」


名乗り出た、沖田、高杉、吉田の姿。


「お前ら、鼻の下伸ばした奴らに、治療なんできん!」


シッシッと犬の様に、山崎に追い払われる。


「山崎君、ちぃちゃんの事になると、鬼だよね。チェッ。」


一人拗ねた沖田。


「ちぃ、酒傷にかけるでぇ。」


すいません、烝が楽しんでるように見えるのは私だけ?


「無理、無理っ!」


肌に伝わる冷たさと痛み、ぎゅっと奥歯を噛み締めて、ただひたすら耐える。


「————っっっっ! ! !」


背中も腕も酒で消毒されて、布団の上で千夜は、脱力した。その後、白い晒しがくるくる巻かれていく。

やっと、治療が終わった時、


「近藤さん達は、屯所に帰ってもらったぞ。」


聞けば、他の茶屋を探してくれてたらしい。

すいません、近藤さん。




この人達は、頭がいかれてるのか?と、目の前の光景に唖然とする、桂、高杉、吉田の三名。


目の前の光景とは、晒しを巻いた千夜が、着物を普通に男の前で着替えてる。


新選組の隊士達は、普通に話してるし、女子が

肌をさらすなんてはしたない 。


それが普通なのにもかかわらず————。


「なぁ、お前ら、コレはいつもの事なのか?」


「なにが?あー、そっか。

ちぃちゃんが、いきなり脱ぎだしたから、驚いたみたいだね。」


「ちぃは、いつもこうだ。」


「……」


言葉にならない程、驚いたらしい。


「え?脱がなきゃ着物着れないでしょ?」


「恥ずかしいとか無いのか?」


「無いけど?別に裸じゃないし、ね。

え?ダメなの?」


疑問を疑問で返す千夜に、なんか、

注意するのも、馬鹿馬鹿しくなってしまった

長州の皆様。


「で、何で、千夜が、わざわざ飛び出した訳?」


腕の傷を指差して言われる。


「え?だって、おかしいでしょ?

私は話し合いをしたいのに、斬り合ったらさ?」


「だからって、死んでたかもなんだよ?」


「死ななかったじゃん。それに、

よっちゃんと桂の腕なら止められる。そう、思ったから。」


そう言って、笑う千夜。

土方も沖田も山崎もため息である


「ケイキもね、高杉は、いい奴って言ってたんだよ?」


「は?ケイキって?」

「今日、島原で一緒にいた人や。」


「あああぁー、あいつ!一橋公だったんだ!」


知らなかったらしい。


「どんだけ、めでたい、頭しとんねん。」


「あいつ、いい奴だった!」


なんか、とって付けたみたいで、本当に、いい奴だったのか疑わしく思える。


「高杉、お前また知らない奴と呑んだのかよ。」


いつもの事らしい。


「いい奴はいい奴だからしょうがない。」


「じゃあさ、何で長州にこだわるの?色んな人に会いたいならさ、坂本龍馬みたいにさ脱藩するって選択肢があるじゃない?」


「お前はどうなんだ?」


「へ?私? 私は言ったよね?

ちょっと前までは、幕府を裏切っても、

長州につこうと思ってたって。」


「でも変わったんだろ?新選組から離れるという選択肢は————。」

「ごめん、ないよ。 」


キッパリと断言した千夜。


「お前何が出来る?」

なんか私ばっかり質問攻め?

「私の事は、よくない?」


「お前は、俺たちの事は知ってるんだろ?」


「まぁ、歴史の本を読み漁りましたからね。

本に書いてある事なら、わかるよ。」


「俺たちは、何も知らない。」


「わかったよ。話すから、その仏頂ズラやめなよ。」


桂の頬をつねって伸ばしてやった。


「私が出来ることか、ある程度、家事はできる。」


「は?」


「何で、よっちゃん達が驚くわけ?

私、毎日、源さんと朝餉作ってるし、洗濯も手伝ってるんだけど?


しかも、よっちゃんの部屋の掃除も総ちゃんの部屋の掃除もしてるんだけど?」


「「知らなかった…」」


マジか!


ジロッと二人を睨みながら

続ける


「後、医術、銃、刀、爆弾。異国語、後なんだろ?元々観察方だからそれも出来るな

後は舞い、三味線、琴…ぐらいかな?」


「は?最後だけなんで女らしいものばっかり?」


かなり失礼じゃない?


「まぁ色々と、事情があって。あ!高杉は三味線好きなんでしょ?」


「あぁ。」


会話続かないし。


「よっちゃんも得意なもの。」


睨まれたし、


「やっぱ、千夜は欲しいな。」

「私は、物じゃありません。」


なんなの?このグダグダな会話。


「高杉、お前いま悩んでるだろ?」


目が泳ぐ高杉。


「別に、何も悩みなんて。」

「脱藩を考えてるよね?」


桂と吉田が高杉を見る


「何で……」知ってる?


「いや、さっき話してて、思い出したんだよ。

確か、投獄されるって、なんでだろうって考えたらさ、思い出した。稔麿も桂も睨むな。まだ高杉は脱藩してない。

私が生きた平成の時代に、藩や幕府は存在しない。倒幕派も攘夷も佐幕もない。


尊王開国。そんな言葉すら誰も言わない。

銃も刀も持つことすら禁止される。そんな時代。」


平和だけど、私は嫌い。







































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