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浅葱色を求めて…  作者: 結月澪
副長助勤
114/281

新選組襲撃——参


中庭で戦う彼女に走り寄った幹部達。


「ちぃ!」


バコッ


敵を容赦なく殴りながら、その声に振り返る千夜。


「あー。よっちゃん。」


「左之!新八!平助!こいつら全員捕縛だ!」


ゴツンッ


「 お前はまた、一人で勝手な行動しやがって!」


「————っ!痛いよ!」


「千夜、大丈夫か?酷い男もいるんだなぁー。」


ヨシヨシ。と、千夜の頭を撫でる高杉


「君さ、長州なんでしょ?逃げないの?」


「は?千夜は、俺を捕まえないから。」


まだ、千夜の頭を撫でてる高杉。


「僕らが、捕まえるんだよ。ちぃちゃんに、馴れ馴れしく触らないで!」


千夜を引っ張って、自分の胸の中に閉じ込める沖田。何故か、背後から抱きしめられ、


「高杉、咳は?」


沖田の腕の中なのに、普通に会話する千夜。


「あー。だいぶ、良くなったみたいだ。」


「そっか。」

「ちぃちゃん!」ダメだって!

と、沖田は、高杉から千夜を遠ざけようとする。


「なんだ?こいつ恋仲?」

「いや。」違うけど……?


と、首を振る千夜。

ハッキリ言われて、沖田はシュンっと項垂れた。


「お前、魔性の女か?」


……魔性の女?


「魔性の女って何?」


チュッ

「じゃあな、千夜またな。」


頭をポンポンされて、高杉は走っていった。


「あー! !あいつ、ちぃに、接吻して逃げやがった!」


「ちぃちゃん、口ばっちぃ!」

ゴシゴシゴシゴシ


着物の袖で、千夜の唇を拭く沖田。

「痛いよ!総ちゃん!」


「ちぃっ!」


怒られたし


————…魔性ってなんなんだろうか?


考えてもわからない千夜だった。


その後、捕縛した男達をケイキに引き渡した。


「今回は、手柄は譲ってあげるね?」


「なにが手柄だ。面倒以外の何者でもない。」


全責任は、慶喜にあるのだ。手柄なんてモンはないに決まっている。


「あ、そうだ長州藩の高杉の仲間がね、いえもち君と話したいんだって。」


「ちぃ!お前はまた!」


「よせ、土方。伝えといてやるが、あいつ、お前に会いたがってたぞ。

まだ、お前を側室に。って言っていた。」


新選組の面々が千夜に視線を向ける。


「えー!ヤダ。」


将軍なのに一言で切り捨てられた将軍は、なんだか、可哀想に思う。


「だろうな。俺の正室でもいいがな。」


目を見開いた幹部に気にする事なく、慶喜は、そう言ったが、


「バカなんじゃない?」


たった一言で、叩き切られた。


「そんな照れなくても、」

どこいらへんが照れてたの?


「高杉といったか。あいつ、いい奴だったぞ。」


「そっか。」


身分を隠してしまえば、人は、どんな相手も普通に接すれるのに、蓋を開けてしまうと、藩や身分に縛り付けられる。


せっかく友と思ったのに、殺し合うなんて悲しすぎる。


「ケイキ、————平和な世にしたいな。」


「ああ。」


高杉をいい奴だと言った。


長州だとわかっても、家臣の前で、それはすごく勇気がいる事。少しずつ変わって欲しい。


ケイキ、お前は、


江戸幕府

第十五代征夷大将軍


徳川慶喜


最後の将軍なんだから。


















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