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ネスside


プール式製塩方を説明おえたが、ケージはやや浮かない顔をして聞いてきた。


「ネス様、他の地域特に南部沿岸でも製塩を行っていますよね?そちらと競合しないのですか?」


「ああ、販売面を心配しているのか。そこは大丈夫だろう。」


「何故です?」


「南方の製塩能力が落ちるからだ。」


元々商人の元に居たからある程度流通については知っているようだな。だから余計意味がわからないという顔をしているのか。


「実は帝国の南側にもダンジョンをつくってある。こちらも展開型ダンジョンになる。」


「また別のダンジョンですか?で、そのダンジョンがどうしたのですか?」


「ちょっと特殊な物になってしまったがな。

実験的に島にダンジョンをつくって海に対応しそうにないゴブリンをダンジョンマスターに据えてみたのだが、ゴブリンキャプテンという種に進化してな。船を与えたら海賊を始めたんだ。」


「ゴブリンの海賊ですか?」


意味がわからないって顔をするな、俺も生まれた時はどうしようか迷ったんだからな。

まあ、元々コントロールするつもりもなかったし、そのうち攻略されることを前提にしていたからある程度エリア拡大に貢献してくれれば十分なのだがな。

それも自動的に取得ポイントの1/4はエリア化に使われるから現状では放置している。


「そうだ、海賊だ。といってもこの世界では、海洋系大型モンスターのせいで余り航海術が発達していないから、基本的に襲うのは沿岸の村になるが。」


「あ、なるほど、ゴブリンの海賊団に塩を作っている村が襲われるので塩の生産が減るということですか?」


「その通りだ。帝国の中で塩が不足するのは時間の問題だろう。今は、ゴブリン達の勢力は小さいが、これから猛威ふるい出すだろう。その時、別のところから塩が手にはいるなら、どうだ?」


「確かに、他の地域の生産が落ちればチャンスはありますが、そう上手くいきますか?」


「まあ、なんとかなるだろう。

さっきも言ったが、この世界の航海術は未熟だ。

精々沿岸航行が限界、神出鬼没のゴブリン達を海上で撃破するのも困難、どうにかしたかったら本拠地の島のダンジョンをどうにかしなくてはならないが、ダンジョンのある島の発見するまで時間もかかる。その間に市場に食い揉めば十分稼げるようになるさ。」


「既存品は、販売ルートが確立していますから新規参入は難しいでですが、欠けた場所に潜り込めばなんとかなりそうですね。

一度潜りこめさえすれば、よほどの事がない限り排除されることもありませんし、永続的に資金を得ることが出来そうです。」


「細かな確認は自分で行ってくれ。」


「はい、わかりました。」


「後、伝えておくことは、ああ、そうだ。

お前に渡したマジックアイテムの指輪についてもう一度確認して置かないとな。」


「この指輪ですね。」


ケージは右手の中指につけた指輪を俺に見せた。


「そう、その指輪だ。効果は覚えているな?」


「え~と、ダンジョンマスター特有の気配を消して、人属の気配に変えるものと言う認識でよかったですか?」


「ああ、その通りだ。注意点に関しては?」


「ダンジョン外に出ていられるのは最大3日、チャージは、ダンジョンエリアないで、その3倍かかるということでしたね。」


「そうだ、ただし、ダンジョンエリアについてはどこのダンジョンでも構わない。お前のダンジョンエリアでも、俺のダンジョンエリアでもだ。」


「行動範囲を伸ばしたかったらダンジョンエリアを広げろと言うことですか?」


「まあ、その通りだ。」


「でも、どうやってですか?ポイント消費するしかないのですか?」


「他にも手段がある。こいつを使ってくれ。」


そう言って俺は魔縄を取り出すのだった。

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