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第二話 僕のこれまで

少し(少し?)長くなってしまいましたが、友哉の過去編です。

お読みいただければ幸いです。


追記 保険医を養護教諭に変更しました。

それに伴い、前後も少し変更いたしました。

岡田伊織はクラスでも、学年でも、学校の中でも美人で有名だった。


ただ、世間一般で一軍と呼ばれる派手な方ではなく、どちらかといえばおとなしいグループに所属していた。


成績は優秀だがスポーツは苦手で、騒ぐよりも本を読んでいる事が好きな生徒。


僕、楠木友哉も近い性格をしていて、勝手にシンパシーを感じていた。


高校で知り合い、高2のときに僕から告白して、OKを貰えたときには有頂天だった。


付き合うと言っても子供の延長のような繋がりで、キスどころか手を繋ぐことも照れてできないような。


周りは初体験だなんだと騒いでいたけれど、僕らには僕らのペースがあると思っていたし、事実彼女もそういった事を求めては来なかった。


デートと言っても一緒に本を読んだり勉強をしたり映画を見たり。


僕らはお互い成績が良かったので、大学も同じところになんて将来の話もしていた。


そんな楽しい時間が少しずつ変わってきたのは高3の夏頃。


僕は地元の大学を目指しひたすら追い込みをかけていた。


模試でもA判定を取り、担任の先生からは県外のもう少し上のランクも目指せると言われたが、たった一人の母親を残して地元を離れることが出来ないと辞退した。


本音を言えば彼女と同じ大学に行くことが目標ではあったが。


だけど、彼女の成績は少しずつ落ちていった。


授業中もぼんやりと考え事をしているようで、話しかけても上の空の応えが返ってくることが多かった。


なにか悩んでる事があるのか、話を聞くことしかできないけど、それでもいいなら相談して欲しい。


何度聞いたかわからない。


それでも返ってくる言葉は、


「いや、うん、ありがとう」


その程度だった。


夏休みに入り、偶には息抜きをしろと母さんに言われ、僕は久しぶりに彼女を遊びに誘った。


最近は電話も繋がらないことが多く、暫くしてからゴメン、寝てた。とか、今手が離せなくて。と返信があるだけだった。


友達にも相談したが、女は気まぐれだからとか、そんな時期もあるんじゃね?なんて返されるだけで、むしろ彼女がいる自慢か!?なんて怒られることも。


短い文章だったけど、送るのに随分勇気が必要だった。


付き合った当初は慣れない事もあって手が震えたけれど、さすがに一年も超えるとそういった恥ずかしさは無くなる。


だけど、いざ誘うとなると、なかなかに勇気が必要だ。


『明日、時間があれば久しぶりにどこか遊びに行かない?』


彼女からは夏休みの少し前からは予備校に通うと言われていたので、なかなか誘いづらい。


短い時間でも会いたかったし、もし一日遊べるならどこに行こう、何を話そうと考えていた。


メッセージを送ってから2時間後。


『ごめん、明日も予備校だから無理』


その一文だけが返ってきた。


『そっか、なら仕方ないね

勉強進んでる?』


『まぁ、ほどほどに』


『あんまり無理しないようにね』


『ありがとう、ごめん』


『なんか謝ってばっかりだね

でも、もし予備校終わりにでも少しだけ時間あれば会えないかな?』


『ごめん、その後友達とご飯食べに行く約束してるから』


『わかった、勉強大変だけど、あと半年だから一緒に頑張ろうね』


(ダメ…か…)


先約があるなら仕方がない…のか。


彼女が行ってるのは割りと有名な予備校だし、周りがピリピリしている中で先約を断って彼氏と会うとは言えないんだろう。


(なに、しようかな)


家で勉強でもいいのだが、家にいるとまた母さんになにか言われそうだ。


かといって、友だちを誘うのも時期的に躊躇われる。


(久しぶりに買い物でも行こうかな)


翌日は昼ごろまで家でのんびりと過ごし、食事がてらモールまで足を伸ばした。


(欲しい物も買えたし、時間的にもそろそろ空いた頃かな?)


お昼時は家族連れで賑わっていたので、テーブルを1人で使うのは憚られる。


ピークを超えたフードコートは、それでも半分くらいが埋まっていて、友達同士や小さい子どもを連れた家族連れが座っていた。


ハンバーガーチェーンのセットを頼み、買い揃えるものに漏れがないかを思い出す。


ある程度は済ませたが、参考書を買い忘れた事に気づいた。


(モールはいろんなお店が揃ってるから便利だよな)


夏休みということもあり、すれ違う人たちの年齢層は比較的若い。


ぶつからないように歩いていると、化粧品コーナーからよく知る顔が出てきた。


(……伊織?)


夏休み前よりも少し印象は変わっているが、間違いなく伊織だ。


だけど髪の色がきれいな黒から少し茶色に染めているようで、買ったと思われる袋を片手に下げている。


声をかけるか少し迷ったけど、偶然でも会えた事が嬉しくて話しかけることにした。


もし時間があればお茶でもしながら話ができるとも思っていたし。


「伊織、久しぶり」


突然声をかけられたことに驚いたのか、吃驚した顔で僕を見る。


よく見たら薄く化粧もしているみたいで、もともと整っていた顔がさらにきれいに見える。


「ゆうや?偶然だね。今日は、買い物?」


少しだけ感じる違和感。


「うん、気晴らしに外に出てみようとね。

そっちは?予備校じゃなかったの?」


伊織は少し慌てながら、


「うん、ちょっと時間があるから買い物でもしようかと思って。

ちょっとしか時間ないからゆっくりはできないんだけど」


なんとなく、嘘だなと思ってしまった。


態度や表情には出ていないけれど、これでも1年以上付き合っているんだ。


何が、どこまで、というのはわからないけれど。


だけど、ここでそれを問いただすこともできない。


それに少しだけ劣等感も感じてしまった。


今の彼女はとてもオシャレで自然と周りの目を引いている。


元々スタイルがよく整った顔立ちで人気はあったけれど、今の彼女はさらに3割増しくらいで輝いている。


比べて僕はダサいとは思わないけれど、おしゃれとは程遠い。


2人で会うときはできるだけオシャレを心がけてはいたつもりだけれど、まさか今日ここで会うとは思っていなかった。


少しだけ居心地の悪さを感じる。


彼女もそれを感じたのか、じゃあ私行くからと去っていく。


僕は心にモヤモヤしたものを抱えたまま、店をあとにした。


その後、何度か誘ってはみたけれど、夏休み期間に2人で会うことはできなかった。


二学期が始まり、久しぶりに見た彼女は、偶然あったときよりもさらにキレイになっていた。


あの時よりももう少し明るくなった髪はよく似合っていて、校則違反ギリギリまで着崩した制服は、ほのかな色気も感じさせた。


だけど僕らの間には、見えない溝のような物ができているのを感じてしまう。


相変わらずぱっとしない僕と、夏休み明けに一気に花開いたような彼女。


友人からは何があったのか聞かれたけれど、答えることができない僕は曖昧にぼかすしかなかった。


これまでは昼食を一緒にとっていたのに、友達と食べるからと断られることが多くなる。


週に一回くらいは周りが気を利かせてくれるのか、一緒に食べることもあったけれど、話しかけるのは僕だけで彼女は頷くだけ。


そういったことが続いて、いつしか昼食に誘うこともなくなってしまった。


(今だけだ、大学に行けば、また元通りになれる)


淡い期待だけが今の僕を支えてくれる。


根拠なんてなにもないけれど。


だからなのか、僕は毎日のメッセージだけは欠かさずに送った。


返事は偶にしか返ってこなかったけれど。


朝と夜の他愛もない連絡を送ることだけが、僕の微々たる抵抗だったのかもしれない。




「楠木、今ちょっといいか?」


10月も半ばに差し掛かった頃。


クラスメートから声をかけられた。


彼とは特段仲がいいわけではないけれど、世間話程度はするくらいの間柄なので驚いた。


「あぁ、どうかした?」


参考書を閉じて顔をあげると、彼と見知らぬ女子が立っていた。


「ここじゃあれだから、ついてきてくれ」


真面目な表情の彼は、そう言うと教室を出ていく。


僕も黙ってついていくと、中庭にある自動販売機の前まで移動する。


ここは普段使うメインの自販機とは少し離れていて、主に部活中の生徒が使うことが多い昼間は人気のない場所だ。


「まず気を悪くしたら謝る。

変なことを聞くけど、楠木は隣のクラスの岡田と付き合ってたよな?」


「うん、まぁ付き合ってるよ」


「そう…か。

いや、夏前まではよく見かけたんだが、最近一緒にいるところを見なくなったから」


「まぁこんな時期だしね。

お互い受験に向けて大事な時期だし、周りもピリピリしてるから」


「あぁ、まぁ、そう…だよな」


言い淀むように目をそらされる。


僕の中に不安、焦燥、そういった負の感情が湧き上がる。


「それがどうかした?」


聞いてしまえば引き返せなくなる。


ここで席を外し教室に戻るのが正解なのかもしれない。


だけど僕はその先を聞いてしまった。


「いや、俺が直接見たわけじゃないから言いづらいんだが……」


「もういい、私から言うわ」


「えっと、貴女は?」


「私は紫藤みちる。こっちの山岸透の従姉妹。

それで、1、2年のときに岡田さんと同じ委員会だったの」


初めて会話をしたが、山岸くんの従姉妹だったのか。


山岸くんは同じクラスで知っているが、僕の通う高校は学年で500人近くいるので、卒業するまで関わり合うことがない人が大勢いる。


さらに言えば僕はこんな性格なので、友だちや知り合いというとかなり限られてしまう。


「はじめまして。

それで?紫藤さんは僕に言いたいことがあるの?」


「回りくどいのは嫌いだからはっきり言わせてもらうわね。

実は私、夏休みのに岡田さんを何度か見かけたの。

私の知ってる彼女からはだいぶ変わってたから、はじめは気付かなかったのだけど、私の家の近くのコンビニによく来てるみたいでね。

その時は本人か確信が持てなかったから話しかけることは無かったんだけど、夏休み明けに彼女を見て本人だって確信したの。

それで、その時一緒にいる人が、ちょっと、その、あまりいい噂を聞かない人だから気になって……。

それも夜の遅い時間帯だったから。

透からは岡田さんはあなたと付き合ってるって聞いていたから。

私の思い違いならいいのだけど、同じ委員会で色々とお世話になったから気になって、あなたを呼んでもらったの」


気温が一気に下がった気がした。


少し震えてしまう。


伊織が、誰かと一緒にいた。


しかも、夜中に。


普通に考えれば、予備校の生徒の可能性もある。


「……相手は、誰かわかる?」


「えぇ。多分だけど、D高校の生徒だと思うわ」


D高校、県内でもガラの悪い生徒が多い学校だ。


申し訳ないがあの高校は偏差値がそんなに高くはないので、伊織が行っている予備校に通うとはなかなか思えない。


いや、いるにはいるかもしれないが、かなり少ない確率だろう。


「突然変なことを言ってごめんなさい。

だけど、私は岡田さんには本当にすごくお世話になったから、何か問題が起きてからじゃ遅いと思って。

今は受験前の大事な時期だってわかってるから余計にね」


本音を言えばこんな事を聞きたくはなかった。


だけど他人がいないところで話してくれた心使いには感謝するし、冷やかしではなく本当に心配してくれているんだろう。


「ありがとう、教えてくれて良かった。

僕からも確認してみるね」


これだけ言うのが精一杯だった。


「あんまり思い詰めすぎるなよ。

何かあったら相談にのるぞ?」


「うん、その時は、お願いするよ」


そう言ってくれた山岸君たちと別れ、僕は教室とは反対の方向に行く。


頭の中は伊織のことでいっぱいだった。


そのまま授業を受ける気にもなれず、保健室に向かう。


よほど僕の顔色は悪かったのだろう。


保健室にいた養護教諭は、少しだけ話をすると、寝てなさい、とベッドを使わせてくれた。


こんな状態で眠れるはずもなく、無為に天井を見つめる。


よく似た別人かもしれない、伊織に限ってそんな事、だけどあの変わりようは。


答えなんか出るはずもなく、嫌な想像だけが浮かんでは振り払う。


いつの間にか時間は過ぎていて、放課の時間となっていた。


ふらつく足で教室に行き、荷物をまとめる。


そのまま職員室に向かい、担任に体調不良で午後の授業を欠席したことを告げる。


家に連絡しようかと言われたが、母さんには余計な心配をかけたくなかったし、事情を説明できるはずもない。


自分で帰ることを告げ、学校を出る。


(去年の今頃は2人で並んで帰っていたな)


独りで帰る道はとても長く寂しく感じた。


伊織と会わなくなってからずっと一人で帰っていた帰路なのに、今日はやけに遠く、長く感じる。


それから2週間が経った。


話を聞いてから数日間悩みに悩んだ末、僕はメッセージを送ることにした。


D高の人と仲がいいのか、一度話ができないか。


既読はついたものの、返信が返ってくることはなかった。


そして僕は、日課だった朝晩の連絡すらやめてしまった。


短すぎる秋が終わり、季節は冬へと移り変わった頃。


伊織の誕生日も一緒に過ごすことはできなかった。


『誕生日おめでとう』


そう送ったメッセージには、


『ありがとう』


の一言だけ。


それでもどうにか縋りついていたくて、プレゼントを渡したいから時間作れないかの問には、また時間があるときに連絡するねと返ってきた。


クリスマス前だというのに予定なんてなく、僕は学校と家の往復するだけの毎日を送っていた。


ノートが切れていたことを思い出し、帰りにスーパーに寄る。


「あら?友哉くん?」


僕に声をかけてきたのは、伊織の母親だった。


昔はよく家まで送っていたので、伊織の母親とは面識がある。


偶にだけど夕食をご馳走してもらうこともあった。


「久しぶりね?元気にしてた?最近はどう?」


正直なところ、今会いたい人ではないのだけれど、邪険にするわけにもいかずに話を合わせる。


そういえば……と前置きをされ、


「最近うちの子とはどう?

前みたいに来てくれなくなったからおばさん心配で。

でも元気そうで良かったわ。

それでね?すごく言いづらいんだけど……」


僕はその時どんな顔をしていたんだろう。


「大切な時期だから、あんまり夜遅くまで遊び歩いちゃダメよ?

それと、お付き合いするのは今さら反対しないけど、若いうちに間違いはおこさないでね?

気持ちが分からなくもないから頭ごなしに叱りはしないけど、私たちが遅くまでいないからって、限度を考えて、ね?

二人の気持ちもわかるけど、受験が終われば大学生なんだから」


乾いた、笑いが出た。


この人は何を言っているんだろう。


そういうこと?


げんど?


きもちがわかる?


よるおそくまで?


僕は今、何を聞かされたんだろう。


遊ぶも何も、僕たちはもう半年近くまともに会ってさえいない。


家になんか行けるはずもなく、ましてやそういうことができるはずもない。


押し黙った僕に何かを察したのか、何やら言い訳をしていたが、今の僕にそれを理解できるはずもなく。


「……相手は、僕じゃありませんから」


いつの間にかいなくなっていたおばさんに向けて呟いた。


そこから先のことはよく覚えていない。


家に帰り着いた僕はひたすら嘔吐を繰り返した。


その後の食事も喉を通らず、無理やり食べても吐くことを繰り返す。


最終的に倒れてしまった僕を見た母さんが血相変えて救急車を呼び、気づいたら年末になっていた。


3日間の入院を経て、年末にようやく家に帰ることができた。


心配をかけてしまった事を母さんに謝り、事の経緯を説明した。


もちろん伊織の相手のことは伏せたが、なんとなくは察したのだろう。


謝りついでに志望校を変えることを告げると、あっさりと承認された。


「なんとなくそんな気はしてたからね。

それにこの家は来年から貸そうと思ってたしちょうどよかったよ」


え?貸す?


初耳なんですけど?


「真琴くんと美華はわかるよね?

そこの美由紀ちゃんが、来年からあんたの行ってるA高校に通いたいそうよ。

真琴くんは4月から海外勤務になるそうで、家族で渡航するか悩んだそうだけど、A高校に受かるならっていう条件付きで残るそうなの。

美華は美由紀ちゃんが残るなら心配だから一緒に住むみたいだけど、今の家からは遠いからね。

それならうちに住みなって言ったのよ。

何となくアンタは今のとこより別の大学に行きそうだなと思ってたし、この家は私一人じゃ広すぎるから。

それにあの大学なら私とお父さんの出身だからお父さんもきっと喜ぶと思うよ」


ちなみにだけど、美華ねぇさんは母の妹で僕の叔母さんになる。


真琴さんはその旦那で、美由紀ちゃんは3つ下の従姉妹。


それにしても親というのは本当にすごいなと思う。


僕はこれまで割りと自由にさせてもらえていたし、進学についても何も言われなかった。


これまで目標にしていた大学にしても、何も反対はされなかった。


今度目指そうと思っている大学は今の僕の学力で行けるギリギリ上限のところだし、調子が悪ければ普通に落ちることも考えられる。


もちろんそうならないように今さら勉強を怠る気はないけれど。


「まぁ友哉が落ちるかもしれないし、美由紀ちゃんがダメかもしれない。

でもあなた達2人なら多分大丈夫でしょ。

それに今のうちに家事とかを出来るようにしとかないと、社会人になってから困るからね?

ただでさえ慣れてない生活環境で、いきなり家事もなんてできるわけないんだから。

友哉には料理は一通り教え込んだつもりだけど、今のうちに他のこともしっかり覚えときなさい。

心配しなくても私が隣に住むから、半一人暮らしみたいなもんよ?」


それからの行動は驚くほど早かった。


年明けから実家の外壁塗装と瓦の張替えや畳替えを依頼し、その後はさっさと荷物をまとめだす。


「ほら、ぼさっとしてないで、あんたもさっさと荷物まとめなさい!」


と言われてしまった。


自宅に戻れたその日に引っ越しの準備をするとは思っていなかったが、そんな話が通じる人ではない。


なんでも少し前からネトゲにハマっていたのだが、専用の部屋がほしいのと、自分の部屋を住めるように準備するとのことだった。


唖然としていると、


「善は急げっていうでしょ?

それに、人が住むためには色々と準備がいるんだよ。

家具家電も必要になるし、まず掃除からしなきゃね。

大まかなところは母さんがするけど、必要なものは自分で考えて選びなさいよ」


「不動産屋とかはいいの?」


「今から行くアパートは思い入れがあるから変な人は入れたくないの。

だからあそこは不動産屋には任せてない。

住む人も私が面談してる。

友哉も何回か行ったことあるでしょ?

一階の2つと屋上は私の趣味に使ってるんだから」


確かに言われてみればそうだった。


僕はあまり関わらないようにしているが、母さんは多くの物件や土地を持っている。


半分はじいちゃんたちからの相続だけど、自分で買ったのもいくつかあったはずだ。


「ところでネトゲって何してるの?」


話しついでに聞いてみると、まぁ出てくる出てくる。


超メジャーなタイトルから、聞いたこともないジャンルのゲームまで。


一人で遊ぶものもあれば、チームを組んで戦うこともあるらしい。


このコミュ力を受け継げれば、僕ももう少し友だちが増えたかもしれないな。


まぁ今更言っても仕方ないし、今の僕は母さんの行動力には少しほっとする。


何かをやっていれば、余計なことを考えずに済むからだ。


僕も言われるがままに荷物の準備を始めた。


まぁ引っ越すと行っても車で30分くらいの距離だし、この家がなくなるわけではない。


僕の部屋はそのまま残してくれるらしいし、美華ねぇさんと美由紀ちゃんは空いてる部屋を使うらしい。


僕の荷物は必要なときには取りに来ればいいだけだ。


必要最低限のものをまとめると、色々と思い出の物が出てきた。


それは僕と伊織の記録であり記憶であるもの。


それらを無感情に段ボールに放り込み、固く蓋をして奥の方へとしまう。


今の僕がそれを気持ちのまま処分することは簡単だけれど、それは何故か躊躇われた。


過去の自分を否定するような気がする。


落ち着いたら改めて処分することにしよう。


促されるまま新居に行き、角部屋の鍵をもらう。


思っていたよりもきれいになっているということは、母さんが定期的に掃除に来ていたのだろう。


それか、少し前まで誰かが住んでいたのだろうか。


家電も少し古いけれどそのまま残っていて、これなら買い足すものは少なく済みそうだ。


母さんも自分の趣味部屋の内装を考えているらしく、図面を引きながら配置を考えていた。


必要なものをあらかたピックアップし終わると、内装をある程度決めたらしく紙を抱えて出てきた母さんと出くわした。


「お腹も空いたし、どっかで食べて帰ろうか。

友哉はなにか食べたいものある?」


食欲は(病み上がりだし当然)ないのだけれど、この時間から母さんに食事を準備してもらうのも申し訳ない。


「退院したばかりだし、なにか軽いのがいいかな」


「軽いの、ね。

よし!じゃあ、お蕎麦食べに行きましょう」


そこから車を走らせること20分。


僕たちは繁華街に近い裏通りに来ていた。


「ここは美味しいわよ?

お値段もそれなりだけど、どれも美味しいから好きなもの食べなさい」


そう言うと、自分は常連なのかメニューも見ずにスマホをいじりだす。


僕は月見そばといなり寿司を食べることにした。


今の僕には少し多かったかなとも思ったが、スルッと食べてしまった。


それを見た母さんは嬉しそうに頷いている。


食事を終えて家に帰る途中、食材を買い忘れた事を思い出した母さんとスーパーによる。


僕には特に用事はないし、荷物持ちをするほどの量ではないということで車内で待機していると、数台の原付きバイクが駐車場に入ってくる。


彼らは駐輪場にバイクを止め、他の人の迷惑も考えずにタバコに火をつけ騒ぎ出す。


(迷惑な奴らだ)


4人はチャラチャラした格好で、何が面白いのか大笑いしている。


そのうちの1人がD高の制服を着ていることがわかった。


(関わりたくない…な)


紫藤さんの言葉を思い出してしまう。


もしかしたらあの中の1人がそうなのかもしれない。


駐輪場に近いことから窓を半分ほど開けてみる。


思ったよりも声が聞こえた。


「しっかし新太もワルいよな〜、コレで何人目だよ」


「僻むな僻むな、そのうちお前らにも紹介してやっからよ!」

「頼むぜ新太!んで?今回のはどんな感じなん?」


「あーー、今回のは外れだな。

やっぱなかなかあたりの女なんていねーわ」


「かーーー、クズだねぇ。

ほんと、なんでこんなクズみたいなやつに騙されちゃうんだろうねぇ?」


「いや、まったくだ。

ぎゃはははは」


とてもじゃないけど聞いてられないな。


そっと窓を閉めようとしたとき、


「そういや新太、夏頃に落としたやつはどうなんだ?」


「あぁ、まだいるぞ。

そろそろ来るんじゃねぇの?」


「あーあ、あの子昔の方が可愛かったのになぁ。

今じゃ全然別人になっちまったじゃねぇか」


「まぁあいつは特別従順だったしな。

財布としても女としてもバッチリよ」


「ほんと最悪だよコイツ、いっぺん刺されりゃいいのによー」


「まぁまぁ落ち着けって、飽きたらお前らに卸してやるからよ」


「ホントだろうな?嘘だったら全員にバラすぞ?」


「ホントホント。まぁ女なんて山ほどいるしな」


「つーか今何人よ?」


「あー、6人くらいじゃね?」


「最悪だよコイツ、最悪の浮気ヤローじゃねーか?」


「あん、浮気なんてしてねーよ?

だって誰とも付き合ってねーんだからよ?」


「うーーわ、まじ最悪じゃん!」


「「「ギャハハハハハハ!」」」


なんというか、コイツラはほんとに人なのか?


聞いているだけで吐き気がする。


ちょうど母さんが戻ってきたので窓を閉める。


車を発進させると、出口の方から女の子が走ってくるのが見える。


(……やっぱり、か)


半年前の面影もない、岡田伊織その人だった。


自分でも驚くほど冷淡な気持ちになる。


この気持ちを表現するなら嫌悪になるだろうか。


それと同時に、僕が好きになった、大好きだった彼女はどこにも居なくなったと思った。


その日の夜、僕は改めて彼女にメッセージを送った。


おそらく返信はないだろう。


でもそれでいい。


送った言葉はたったの2行。


『別れよう』と『さよなら』




新学期までに心と体を整える。


担任には進路の変更を伝えた。


うちの高校は1月から自由登校が認められているので、卒業までに登校するのは卒業式も含めてあと数日だろう。


思い入れもあるが、今の僕にはありがたい。


あの人の顔を見なくて済むから。


大学入試共通テストも終わり、自己採点では合格ラインを超えていそうだ。


担任とは電話で話し、一般入試の詰めをする。


一般入試も無事に終わり、あとは合格発表を待つばかりとなった2月。


新居の準備真っ最中の僕に電話がかかってきた。


「楠木か?済まんが、至急学校に来てくれ」


相手は担任の先生。


声はかなり緊迫していた。


何かあったのだろう。


だけど、僕が呼ばれる内容に想像がつかない。


試験が思ったよりも悪かった?


解答欄を間違えた?


おそらくどっちも違う。


学校で何かあって、それに僕が関係している。


それが一番ありそうだけど、あいにく僕は問題を起こすような行動は取っていない。


母さんは出かけているようで、メッセージを送り学校に向かう。


学校につくと、職員室前に生徒が集まっている。


その中に山岸くんと紫藤さんの姿も見えた。


山岸くんは僕に気がつくと、そっと職員室に入り、担任の先生を連れてきた。


促されるまま進路指導室に入り、事の経緯を説明してもらう。


聞いた内容に絶句してしまった。


岡田伊織が現在妊娠中であること。


父親が楠木友哉であること。


子供ができたことを伝えたら突然別れを切り出されたこと。


そして


『楠木友哉に父親であることと認知させること』


僕たちが付き合っていたのは担任なら知っていてもおかしくはない。


当時は時間を惜しむように一緒にいたし、よく一緒勉強もしていた。


その姿は度々見られているはずだ。


そして、夏休み明けに伊織の様子が変わったことももちろん知られている。


僕たちが前ほど一緒にいないことは……証明のしようがないが、クラスメートや特に山岸くんならわかるはずだ。


「楠木、俺は楠木がそんな事をするはずがないと思っている。

生徒を贔屓する訳では無いが、お前の3年間の成績と生活態度を見れば信頼に値することは他の先生方も充分理解してくれると思う。

今の岡田は正直なところ錯乱していると言ってもいいほどだ。

警察に引き渡すことも考えたが、それではおそらく問題が長引いてしまう。

せっかく三年間頑張ったのに、この事が原因で大学にいけないことなんてあってはならないと思っている。

もちろん楠木の言い分が全て通るとは言えないが、よければ楠木本人から本当のことを教えてもらえないだろうか」


僕は、今、何に、巻き込まれているんだろう。


ようやく振り切ったと思っていた。


彼女とその相手を恨みもしたが、自分の落ち度も見つめ直すことで無理やり納得させた。


1月から学校に行かないことで、彼女と会うリスクも無くした。


母さんは直接は言ってこないが、引っ越すことも、僕の家を知っている伊織に対する対策だろうと思う。


なのに、、、、なぜ、、、、こいつは、、、、


……僕の人生を台無しにしようとするんだ。


怒りと恐怖で体が震える。


正常に頭が回らない。


「……わかりました。

僕から2つだけお願いがあります」


「もちろんだ。

何でも言ってくれ、できる限り力になる」


「では、最初に彼女の相手は僕ではありません。

そして僕は、入院させられるほどのストレスを彼女に感じています。

なので彼女には直接会いたくはありません」


「わかった、内容にもよるが善処しよう」


「それと2つ目ですが、外にいる山岸くんと紫藤さんの同席の許可をお願いします。

もちろんこれは2人が了承したら、です」


「それもわかった。

ただ、それについては2人に聞いてからになる。

今から聞きに行くが、その前にまず楠木から事情を聞かせてくれないか?

長くなるかもしれんが、2人には事情を説明して別部屋で待ってもらう。

もちろん2人が了承すればの話だが」


「それで構いません」


「ではまず2人に話をしてくる。

それにしても意外な組み合わせだな。

2人が親戚なのは知っていたが、楠木は仲が良かったのか?」


「いえ、山岸くんは同じクラスなので話をする程度です。

紫藤さんとは去年の秋頃知り合いました」


「そう……か。

では少し待っていてくれ」


それから3分ほどで先生は戻ってきた。


「2人とも了承してくれた。

できれば最初から同席したいとも言っていたが、同じ説明をして待ってもらっている」


「……そうですか。

ありがたいです、こんな僕のために」


「楠木、話を聞く前に言っておくが、こんな、なんて言葉を自分に使うな。

おまえが3年間ずっと頑張ってきたのはそれこそクラスメートや教師全員が知っている。

そして今回のことが間違っているだろうこともわかっている。

俺はお前の担任として、全力でお前の力になると誓う。

だから、俺のことを信じて話してくれ」


そう言って先生は頭を下げた。


なぜここまでしてくれるのだろう。


だけど、僕を信じると言ってくれた先生のために、僕は全てを正直に話した。


「………そういうことか。

いや、途中推測が入っているのはわかっている。

それにしても、楠木、辛かったな。

そして話してくれてありがとう。

もちろん教師として今言った事全てを盲目的に信じる訳にはいかないが、それでもきちんと話してくれて良かった。

だから楠木、もう、泣くな」


いつの間にか僕は泣いていたらしい。


そしていつからか僕の手の上には先生の暖かくて大きな手が被さっていた。


「……すいま……せん、自分でも、どうすればいいのか、わからなくて」


「あぁ、まぁ、その気持はわかる。

いや、同じことを経験していない俺が偉そうにわかるなんて言っても説得力はないが、それでもこれだけは言える。

楠木、お前はよく頑張った、よく折れずに最後まで頑張り通した。

やはりお前は俺が見込んだだけの生徒だ」


そう言って先生は、力強く僕の手のひらを包み込んでくれた。


冷え切った心が少しだけ暖かくなる。


「遅くなってしまったが、あの2人を連れてくる。

お前も顔を洗って、お茶でも飲んでいてくれ」


淹れてもらっていたお茶はすっかり冷めてしまっていた。


顔を洗いお茶をぐっと飲み干す。


2人が入室し、2人に関係の有りそうなところの確認を行う。


紫藤さんが伊織を見かけた頻度や時間、相手を大まかに教えてくれた。


今回話を聞いているのは、僕らの担任の先生と、伊織の担任の先生。


それと学年主任と教頭先生も同席している。


大まかな流れを先生がみんなに伝え、紫藤さんと山岸くんも質問に答えてくれる。


僕は話を聞くことしかできなかった。


話が終わる頃、ようやくというか伊織の母親が学校に到着した。


只管周囲に頭を下げ、スミマセン、スミマセンと繰り返しているようだ。


伊織と母親は校長室に呼ばれ、その後僕らにも同席するよう言われた。


先生は僕との約束を果たしてくれるのか、自分が説明する、僕が現在心身ともに疲れ切っていること、説明後に必要があれば同席させるが、伊織を離席させることを条件としてくれた。


それからおよそ30分。


僕にとってはとてつもなく長い時間だった。


ドアがノックされ、担任の先生と共に校長、教頭が入ってくる。


よほど酷い顔をしていたのか、僕の顔を見るなり校長はギョッとしていた。


教頭から経緯の確認をされ、父親が僕ではないことを認めたことで、僕の容疑は晴れた形となったそうだ。


伊織本人はウソだ、デタラメだと騒いでいるそうだが、母親が思い切り引っぱたき静かになったらしい。


校長、教頭から頭を下げられ、僕も先生と山岸くん、紫藤さんに頭を下げる。


母さんから連絡があり、学校まで迎えに来てくれる事になったので、ほんの少し落ち着いた僕は、山岸くんや紫藤さんと世間話をするくらいには余裕ができた。


駐車場についたと連絡があり、再度3人に感謝を告げ駐車場の母さんのもとに向かう。


先生が先導し、僕らは4人で昇降口へと向かった。


職員室がある二階からは、中庭やグラウンドが見渡せる。


もうこの景色を見ることは無いだろう。


少しだけ感慨に耽っていると、


『ガッシャーーーーーン!!!』


ガラスが割れるかのような音が響き、ナニカが僕たちの方に突進してきた。


脇目もふらずにそのナニカは一直線に走ってくる。


周囲の悲鳴や先生の声が何故か遠くに聞こえて、動くことができなかった僕めがけて、そのナニカは体当たりをしてきた。


スローモーションで流れていく景色。


激しい痛みを感じ、意識も消えていく。


最後に見えたものは、笑顔とも泣き顔とも取れるような岡田伊織の顔だった。




その後僕は一階と二階の階段踊り場まで滑り落ちた。


僕は頭や背中を強く打ち付け重傷で、意識を失ったらしい。


それが原因で卒業式には出席できなかった。


意識が戻ったのが大学入学の4日前だったので。


どこでどういう話になったのかはわからないし、誰も教えてくれないが、この件は事故として処理されたらしい。


なので卒業式も予定通りに行われたようだ。


もちろん伊織も出席していない。


クラスメートの何人かはお見舞いに来てくれたようだが、なにせ意識を失っているので誰が来てくれたのかはわからない。


先生は僕を守りきれなかったことに責任を感じ、辞表を提出したらしいが、母さんや他の先生達の説得により撤回したそうだ。


これは意識が戻ってから母さんに教えてもらった。


この後も色々と検査をしなければならないが、問題なければ入学式には参加できるらしい。


そして僕の心の病として、、、


『PTSD』(心的外傷後ストレス障害)


と診断された。


女性が向かってくることに強いストレスを感じ、酷いときには動けなくなってしまう。


また、触られることに極度の嫌悪感を示し、頭痛や吐き気を催してしまう。


もちろん程度の差はあるが、突然治ることもあれば、長く続く人もいると説明された。


大学入学時はわけも分からずパニックを起こしたこともあったが、4年になった今ではこの病気と向き合いながら日々を過ごしている。


お陰で彼女どころか女友達の一人もできなかったけれど、その分教授や先輩に目をかけてもらい充実した学生生活だった。


ありがたいことに複数の内定を貰い、今日は久しぶりに旅行から帰ってきた母さんとサシで飲んでいる。


不思議なことに母さんに対しては症状が全く出ない。


同期生からはマザコンと誂われるが、それも仕方ないことかもしれない。


何したって勝てないからね。


「それで、これからどうするの?」


相変わらず本題に入るのが早すぎる人だ。


もう少しコミュニケーションというか、世間話などできないものか。


「……地元の会社にしようと思ってるよ。

病気のこともあるし」


今の僕は複数の道がある。


地元の企業に就職すること。


東京の大手広告代理店に就職すること。


現在の大学で院まで進むこと。


院の方は、先輩から勧められた。


もっと専門的な知識をつけて、それから社会に出てもいいんじゃないか、と。


要するに、もう少し僕の抱えている病気が良くなるまで今の環境でいいんじゃないかという優しさが含まれている。


だけど僕は地元企業に進もうと思っていた。


ある一点を除けばここは住みやすいし、母さんも、少ないながら友だちもいる。


ただ、いつ、どこで彼女と会うかわからないし、もし会ったとすれば、僕は過去最大のパニックを引き起こすだろう。


それが歩いているときやどこかにいるときならまだしも、移動手段は車が基本という田舎では、万が一運転中にパニックを引き起こす危険性もある。


だからといって運転しないわけにもいかず、楽天的に大丈夫だろうと言えるほど僕の神経は緩くはない。


「いや、なんで悩んでるのかわからないけど、答えなんて一つじゃない?」


「一つ?」


「そ、東京に行ってきなさい」


「……は?」


「東京にいって、暫らく世間に揉まれてきなさい。

東京はいいところよ?

何もないけど何でもできる。

基本他人には無関心だし、友哉の性格的にも合ってると思うわ。

取り敢えずそこで3年くらい頑張ってみて、ダメだと思えば帰ってくればいいじゃない。

あんた1人養うくらい簡単だし、こっちならどんな仕事でも紹介してあげられる。

だけど、まずは自分ひとりの足で立ってみなさい。

そこで足掻いて足掻いて、どうしても倒れそうってなったら迷わず帰ってくればいいのよ。

だけど挑戦する前から逃げ腰になるのは、私はキライだな。

取り敢えずやってみればいいのよ。

思いの外うまくいくことだっていっぱいあるわ。

大丈夫、あんたは私と父さんの子供だもの。

きっとうまくできるわよ」


「そっか、そんなもんかな?」


「それに、友哉が東京にいれば、大義名分付きで私も遊びに行けるじゃない?」


「え??まだ遊び足りないの??」


「なーにいってんの、推しなんて毎年増えていくのよ?とてもじゃないけど時間が足りないわ!

それに友哉がいるなら1週間くらいそっちに居ても平気よね?

あんた女っ気ないし、私がいれば嬉しいでしょ?」


あーー、こりゃ完全にこっちが本命だな。


さっきのいい言葉で少しうるっときた僕に謝って欲しい。


それはもう誠心誠意しっかりと。


その後も話し合いは続いたけれど、最終的に僕は上京することを選んだ。


彼女に会わなくて済むことも決め手の一つではあるが、未だ飛び込んだことのない世界に飛び込んでみたいと言うのが決め手だった。


担当してくれた医師からも賛成してもらい、症状を纏めた紹介状も書いてもらった。


家を決めるときなど、やたらと付いてきたがる母さんをなだめ、新居も決まり、僕は新たな世界に挑む。

誤字報告ありがとうございます。

本当に助かっております。


誤字、脱字、表現の問題等ありましたら、ご連絡をお願い致します。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 困ってる時に、助けてくれるのが本当の友なら、彼は生涯の友を得たりですな。 一方で、将来・・・の可能性有ったのは早めに本性知れて二重にお得(皮肉)。 [気になる点] 高3の大事な時期、しかも…
[良い点] 先生が頼りになる、というか公平。 [一言] 彼女はなんとなく騙されたとか脅迫されたとかの臭いはするが、それにしてもやっていることが残酷。 ましてや物理的に重傷を負わせてるしな。 クズ連中…
[良い点] ストーリーを楽しんでいるよ。 [一言] 伊織とあのクズ男がどうなったのか、見てみたいものだ。
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