第三百四十六話
大会当日は会場に長蛇の列ができた。
バトルドームの闘技場が会場。
一番お安く使える。
プローンの惑星はあるけど開発が間に合わない。
どうやらラターニアには環境アセットメントという概念はないらしい。
帝都惑星よりもダメージが大きい。
プローンによる元からの環境破壊とミサイルによる腐植層の破壊で農業すらできないだろう。
動物も食っちまって絶滅したしなあ……。
一からテラフォーミングすることになるだろう。
時間的に大会に間に合うはずもない。
なのでバトルドームが会場である。
大会開こうとすると会場がない。
行政に頼ると不利な条件のまされる。
出場者全員の個人情報出せとか。
スポーツあるあるである。
……一年のときエディの残念会で士官学校勝ち抜きトーナメントしようとしたら嫌がらせしてきた体育館……絶対許さねえぞ。
なんか当時の担当者、俺の知らないところで左遷されたらしいけど。
俺はなんもやってないよ。
事後に報告が上がってきただけ。
なので営利のとこで。
バトルドームはスポンサーである。
なおチケット販売はわざとラターニアの航空チケット代理店にやってもらった。
これがどういう意味か?
大会当日の光景である。
「偽造チケットですね。通報します」
無愛想なラターニア人のお姉さんが通報するとラターニアの警備会社がヤンキーを捕まえた。
俺はそれをモニターで眺めてた。
「き、聞いてねえぞ ラターニア人がチケット売ってるなんて聞いてねえぞおおおおおおお!!!」
偽造チケットの使用は詐欺罪で軍か紛争地の鉱山送りなんだって。
場所がどこかなんて関係ない。
ラターニアの会社へ詐欺をやったらアウト。
素敵……。
ラターニアは各地でバリバリ戦争やってるので先は暗いだろう。
はっはっは!
なおうちのディスカウントストアと関連会社はラターニアに会社を作った。
言いがかりをつけられて丸ごと盗られるかもだけど、いいのいいの。
初期の国家情報や空気感っていうお金に代えがたいものを得たから。
なのでディスカウントストアに詐欺や脅迫したらそっちも合法的に死ぬ。
これも計略だよね~。
「お、おい! 俺は海賊ギルドの……」
「ではラターニア商工会から海賊ギルドに対して正式に抗議します」
「い、いや待て! そんなことされたら殺し屋が来ちまうだろ!」
「それは私の判断すべきことではありません」
泣きわめきながらバカは連行されていく。
受付のお姉さん……イケメンすぎりゅ……。
仲間の犠牲によって海賊どもは偽造チケットの使用をやめた。
海賊どものこの行動。
これ嫌がらせじゃないのよ。
ワンチャンただで試合見られるかも程度の認識。
本当に嫌がらせするなら中で暴れる。
ポチッと別のチャンネルに変えたら映ってた。
こんな感じである。
「おらてめええええええええええ!!! ぶち殺すぞおおおおお!!!」
海賊が会場で殴り合いをする。
殴り合いがいつしかエスカレート。
椅子を持ってスタッフに難癖をつけて暴れる。
こっちが本命ね。
これは海賊どもの嫌がらせである。
これに対処するのは鬼神国と帝国の一般兵。
合同訓練代わりである。
「やめなさい。場内での迷惑行為は退去だ。大人しく退去しないなら捕まえる」
帝国の兵士が警告した。
「ああん? やってみろやあああああああああああッ!!!」
海賊が怒鳴る。
髪の毛つかんで引きずり回したい。
こいつらは自分からは手を出さない。
相手が体を触ったら大騒ぎすることになってるのだろう。
でもねそれが通るのは海賊領だけなんだな。
警備隊の責任者から通信が入る。
「大公閣下。海賊に遭遇しました」
「はーい捕まえてください。パーソナルシールドはちゃんと使用してくださいね」
「はッ!」
鬼神国のガチムチ兄貴たちが飛びかかり、戦闘服を着た帝国の兵士も暴徒を制圧する。
被害者面なんてさせない。
さっさと捕まえてボコボコにしてから外に放り出す。
【合同訓練だし事故は気にしなくていいよ。海賊殺しちゃっても俺と嫁ちゃんとサリアがフォローするから】ってちゃんと言ってある。
いいのいいの。
海賊に対する隣人愛なんて存在しない。
帝国は外務はロストテクノロジーとして失われてるけど、海賊相手なら相手がただのクズか更生可能か、はたまた悪政に立ち向かう地元住民か、なんてのは容易に判断できる。(公爵会のバカどものせいで最近まで機能してなかった)
あいつらはただのクズ。
で、ここでようやくイベント開始。
サリアと嫁ちゃんで挨拶。
ラターニアの代表なんかもスピーチさせて第一試合。
帝国最強の剣客カトリ先生である。
カトリ先生はマイクを持つと言った。
「飛び入り参加大歓迎。かかってこいよ。まとめて相手してやる」
はい、予定がいきなり壊れた!
やると思った!!!
こんなん予想してましたわ!!!
まずはブチ切れた海賊どもがコロシアムに入る。
もう木刀じゃなくて普通に刃のついた剣どころかビームソード持って来やがった。
「て、てんめえええええええええええ!!!」
あーあ、問答無用で襲いかかれば粒子くらいの勝率が……ごめん、やっぱねえや。
いつもの謎木刀でホームラン!
かっきーん!
なにもさせない。
海賊どもは真っ直ぐ飛んで客席前の壁に突き刺さった。
放物線すら描いてやらない。
この日、海賊とラターニアは知ってしまった。
帝国は知略の国なんかじゃない。
ゴリゴリの武闘派。
しかも脳筋ゴリラの群れだということに。
そしてレオ・カミシロは知略集団をまとめる軍師などではない。
まだ会話できるゴリラだったという事実に。
海賊の無様な姿をトッピングに変顔しながらバナナ食べてたらサリアから通信が入る。
「ねえ、その顔やめませんか?」
「ウホ、バナナオイシイ!」
「ねー! ちょっと!!! いいんですか止めなくて!?」
サリアきゅん……うちらは海賊に恥をかかせるためにここにいるんだヨ。
じゃなかったらカトリ先生出さないもん。
レンがVIP室へお茶を持ってきてくれた。
「旦那様、お茶でございます」
「はっはっは! 海賊がゴミのようだ!」
「旦那様、さすがです。では私も控え室に向かいます」
「怪我しないでね~」
「もちろん」
はっはっは!
実はみんなイラついていたのだ。
プローン戦を横からかさらっていったラターニア。
ひたすらウザイだけの海賊。
それはレンも同じだったのである。




