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第三百三十六話

 タチアナのありがたいお言葉を賜わりたいと言われる。

 本人に意思確認。


「なんかスピーチしてくんろ」


「絶対イヤ!!!」


【フーッ!】っと威嚇された。

 やっぱり猫みたいだなこいつ。


「だってさサリアくん。あきらめろ」


「ふえーん! こっちだって無理言いたくないんですよ! でも、でも国民がー!!!」


 サリアもいろいろ限界だった。

 あちこちに好き勝手言われたようだ。

 大王も皇帝も偉そうにしてればいいってものじゃなさそうだ。


「まあまあサリア様、お茶を飲んで落ち着いてください。タチアナちゃんは砂糖多めね」


 こっちは猫耳。

 メイドさんのドレス姿のレンがお茶を入れてくれた。

 ミルクティーである。

 糖分摂取して切りかえろってことだろうな。


「あざっす」


 中身が猫のタチアナはレンの言うことはちゃんと聞く。

 おそらく無意識でレンが強いのがわかるのだろう。

 レンは危険生物駆除用の戦闘種だ。

 素の戦闘力は人間の遙か上を行く。

 単純な腕力なら俺もカトリ先生すら足元にも及ばない。

 ただ本人はそれを見せるのを嫌がってる。

 恥ずかしいんだって。

 たいへん乙女である。

 素晴らしい。


「さ、旦那様も」


「はーい」


 ティータイム。

 食堂のやかんに入った麦茶も好きだが、レンが入れてくれたお茶は格別である。

 メイドさんにお茶を入れてもらうという人生の最高到達点を踏破してしまった。

 しかも婚約者の一人である。(日程は嫁ちゃんが検討中)

 素晴らしい。


「その顔……絶対ろくでもないこと考えてますね!」


 サリアが吠える。


「チガウヨ。うちのレンかわいいだろって思ってただけ」


「ま、旦那様ったら」


「だーかーらー、タチアナちゃん貸してくださいよ~。うちの宗教的に重要なんですよ~。プローンみたいに無茶言いませんから~!」


「本人嫌がってるんだからあきらめろ」


「じゃビデオメッセージとかお願いしますよ~」


 完全にヘソを曲げたタチアナがつぶやく。


「そもそもさー、アタシさ、あんたらの美人の定義に当てはまってないじゃん。胸と尻が大きくて背が高い女の人でしょ。アタシ真逆じゃん」


「タチアナさん……それはそれ。これはこれ。信仰の対象なんで美醜は関係ありません」


 サリアがキリッとする。


「それがムカつくんだっての!!!」


 タチアナがテーブルをばんばん叩く。


「お茶がこぼれる。テーブル叩くな~」


「ぐぬぬぬぬ!」


 優しく言うとタチアナが悔しがった。

 俺たち士官学校組はマナーとかにうるさいのだ。

 タチアナはさんざんコロニー式を矯正されてるせいか、今では逆らってはいけない注意を察することができるようになった。

 嫌がらせなんかじゃない。

 近々、メンバー加入が遅かったタチアナとワンオーワンが保留になってた惑星をもらうことになる予定である。

 そのとき平民よりマナーが下だったらなめられる。

 貴族にも領民にもだ。

 俺の部下だから軍人ウケはいいだろうけど、やはり上品におすましできるようじゃないとまずい。

 俺たちも結構考えてるのである。

 俺たちだって軍人式レベルなのでオンラインでマナー講習を受けてるくらいだ。

 注意する手前、自分ができないじゃすまされないのだ。

 貴族社会難しい。


「それでもアタシ嫌だ! 聖女なんてガラじゃない!」


「むしろなんでそんな嫌がるん? 笑って手を振ればいいだけだぞ」


 思わずに口にした一言ではあるが、どうやらクリティカルヒットしたようだ。

 タチアナは黙ってしまった。

 タチアナはしばらく考え、押し殺すように言った。


「だって……だもん」


「うん?」


「だってアタシ、かわいくないもん……」


 なるほど。

 そういうネタではなくガチで顔にコンプレックスあったのか。

 うーむ、こういうときは人脈を利用するか。

 はいはい、俺は連絡リストから知り合いを探す。

 髭の生えたお姉様、アダム・ギブソンさんである。

 式典でメイクやってくれたお姉様だ。

 コールしたらすぐに出てくれた。

 今日はダンディーなスーツ姿だ。


「あら~大公様。お久しぶりでございます。お噂はかねがね……今日はどのようなご用事で?」


 中身は相変わらずの髭の生えたお姉様である。


「いやちょっと込み入った話なんですけど……」


 説明してタチアナを映し出した。


「あら~メイク映えするお顔。お肌つるつる~」


 やはりだ。

 タチアナは磨けば光る系だったか。


「レン……メイク頼んでいいい?」


 レンは満面の笑みで親指をあげた。


「アダムさんにご指導いただきます♪」


「あら~。初めての弟子だわ~」


「よろしくお願いいたします! お師匠様!」


 タチアナがパニックを起こしてる間にメイクしちゃえ。

 悪ノリではあるが、これを契機に自信を持ってくれたらうれしい。


「俺は相方のワンオーワンも呼んでくるわ。【仲間はずれはイヤであります!】ってヘソ曲げられたらイヤだし」


「はーい旦那様。アダムさん、次は健康優良系ショートカット美少女が来ますよ」


「あら~♪ お姉さん楽しみだわ~」


 で、面倒になったので館内放送でワンオーワンを呼び出したところ女子が殺到した。

 メリッサまでいるくらいだ。

 女子の興味はそれは凄まじいものだった。

 だって単発とはいえ皇帝陛下のメイク係だもんね。

 俺たち男子は無言で艦内の広い会場を予約して女子たちを誘導。

 みんなでメイク講習会になったわけである。

 なおケビンまでいたことは俺の中に留めておく。

 それと始まる前に俺は神社に行く。


「行く?」


 うんって座敷童ちゃんが言ったのでメイク講習会に連れて行く。

 なんだか一人多かったような気がするって言われたけど面白いので黙秘する。

 なおタチアナの仕上がりであるが……。


「……誰?」


 鏡の前でタチアナが首をかしげてる。


「目を大きく見せてなるべく清楚に見えるようにしたわ。ヘアスタイルは……美容院行きなさいね!」


 タチアナはアイドルって言うよりモデルみたいな見た目になっていた。

 髪はいつもの適当ヘアだ。

 たしか兵士の中にゾークに物理的に店つぶされた帝都の元美容師がいたな。頼んでみよう。

 レンは胸を張ってる。

 満足したらしい。

 いい子いい子。


「えへへへへへ~旦那様♪」


 ホント、うちのレンはなんでもできるな~。

 レンをなでてるとき、俺は見てしまった……。

 ほくそ笑むサリアの姿を。

 ま、いいか。

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― 新着の感想 ―
ケビン…ちゃん…。 いいぞ、そのまま頼む。
普段は平凡な容姿の少女、お化粧して別人に変身! とある惑星の聖女やってます! う〜ん、これななろう系主人公w
小柄で清楚…これは庇護欲駆り立てられてさらに信仰が天元突破じゃの(;・∀・)
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