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第二百四十六話

 頭に銃を突きつけられる。


「ベネット、なんのつもりだ?」


「悪いなアマダ中尉、ブツを渡してもらおうか」


「まだ出してねえっての」


 なんかおかしい。

 俺より先に手に入れて脱出すればいいのに。

 そしてなぜか周りの警察官や上司はそれを傍観してる。

 護衛の兵士もニヤニヤしてる。


「……みんなグルってことぉッ?」


 すると警察のお偉いさんが嘲笑しやがった。


「くっくっく、悪いなアマダ。そいつは全銀河を手中に治められるほどのものだ」


「おいおい、せめてよぉ、それがなんなのかくらい教えろよ。気になって死ぬに死ねねえだろよ!」


「ベネット、そいつを拘束しろ。アマダ、教えてやるから大人しくしてろ」


「了解」


 ベネットの野郎に逮捕用の結束帯で後ろ手に縛り上げられた。


「勘弁してくれよ。俺は男に縛られる性癖ねえんだわ」


 じゃあ、【女に縛り上げられる性癖があるのか?】と問われてもわからん。

 試したことない。


「言ってろ。大佐、証拠品の番号入力頼むぜ!」


 バーコード頭のおっさん、あれでも警察では警備なんかの総責任者でメチャクチャ偉い人なんだが……軍では大佐クラスなのか。

 レオの二個上の階級か……案外たいしたことねえな。

 おっさんがモタモタ入力する。


「オラ、アマダ! 認証しやがれ!」


 髪をつかまれガンッと証拠品ボックスのコントロールパネルに顔をぶつけられる。

 しかたなく網膜認証をしてやる。あとでぶっ殺す。

 証拠品を入れた地下駐車場方式で格納されているボックスがエレベーターで上がってくる。

 エレベーターから出てきたボックスをおっさんが開けた。

 中には箱にしか見えない物体があった。


「あったぞ。データテープだ」


 そもそも再生機あるんかいというレベルだ。

 そんな古いデータのなにが犯罪までさせるのか理解できないね。


「そこまでして回収するテープの中のデータはいったい何よ?」


「いいだろう。教えてやる。これはゾークが外宇宙を旅したときのデータだ」


「……お前らじゃ扱えねえだろ。国に返してやれよ」


 ガンッとベネットに拳銃で頭を殴られた。

 目がチカチカする。


「愚か者が。もうデータはとっくに解析されている。公爵会によってな」


 そう言っておっさんが懐からもう一つの箱を出す。


「これがそのデータだ。照合すれば全銀河を支配する超兵器を甦らせられる!!! 我らが新しき公爵会に! 全銀河を手中におさめるのだ!!!」


 おっさんがアホ面さらした瞬間、穴が空いた。

 ベネットの野郎が撃ったのだ。


「もうお前は用済みだ。もう一つのテープを持ってくる間抜けで助かったぜ」


「ですよねー」


 そりゃね、俺が同じ立場でも始末するわ。


「ベネットさんよぉ、これからどうすんだ? 銀河にてめえの居場所なんざねえぞ。警察のお偉いさんへの殺人だ。帝国は草の根かき分けてもお前を捕まえるぞ」


「は! ゾークと話がついてるに決まってんだろ! 俺らを脱出させる船がもう用意されてるぜ! これからゾークの下で俺たちがお前らを管理世界するがやって来るってことさ!!!」


 バカだねえ。

 和平どころか交渉のテーブルにすら着かない、いやコミュニケーションすら取れない連中が約束なんか守るかよ。

 犬と人間の関係より遠いってのに。

 お前らはドブネズミとの約束守るか?

 ……そもそも約束すらしねえわ。

 そろそろ撤収するか。


「だってさ、マザーちゃん」


「はーい! すべて記録して軍に送信しました!」


 すると物音がする。


「アマダてめえ、何しやがった?」


「てめえらなんか信用するわけねえだろ! ぶぁーか!!! 今のやりとり全部報告させてもらったわ! あ、証拠のテープな! 前日にすり替えさせてもらったから!!! バーカバーカ!!!」


 あとはあらかじめすり替えていた逮捕用の結束帯を思いっきり引っ張れば千切れる算段になって……。


「ふんッ! あれ?」


 切れない。


「すり替えたものじゃないみたいですね」


「マザーちゃんのばかあああああああああああああッ!!!」


 俺はベネットに体当たりして逃げ出す。

 頭を下げた瞬間、ベネットが銃を撃った。

 なんとかよけたみたいだけど、頭をかすめたみたいで髪の毛の焦げたにおいがして、遅れて血が流れてくる。

 てめえコラ! パルスハンドガンの傷って治りにくいんだぞ!

 次の瞬間、誰かが投げ込んだ閃光手榴弾が爆発し、光で目が見えなくなる。


「目が! 目がああああああああああッ!」


 そのまま保管庫の壁に顔から激突する。

 鼻が潰れた音がした。

 でも顔をぶつけた瞬間、力が入ったみたいだ。

 結束帯が千切れた!

 俺は淵が七色に光る黒い水玉だらけの視界で猛ダッシュして入り口にたどり着く。


「あ、アマダ! 大丈夫か!?」


 そこには別の刑事たちが控えていた。

 あらかじめマザーAIが選出した、公爵会に縁のなさそうでいて、しかも俺を知ってる連中だ。

 今回のはコイツらと仕掛けた罠だったのだ。

 だってさー、給湯室に来るの遅かったじゃん、同僚どもさ。

 だから最初から疑ってたってわけよ。


「し、死ぬ。今回はマジで死ぬかと思った……」


「隊長! アマダ無事です!!!」


 仲間はたたき上げの刑事ばかり、機動隊の鬼隊長や暴力団や海賊の対策の連中だ。

 どいつもこいつもどっちが犯罪者かわからない顔してる。

 筋肉+脂肪=攻撃力みたいなおっさんどもだ。

 それとさらに軍の連中だ。

 こいつらも皇帝陛下が信用してる対海賊部隊の連中だ。

 こっちも悪役面ばかりだ。


「アマダ! てめえぶっ殺してやる!!!」


 ベネットが叫んだ。

 俺はもう限界だった。

 半同棲してた彼女が53歳前歴ありのおっさんで、同僚は裏切者で、仲間の閃光手榴弾で目がチカチカするし、ぶつけた顔は痛いし、鼻は血で詰まってるし、おまけに頭がスースーしやがる。

 言うな! ハゲ作ったなって俺でも思ってる!!!

 俺は……キレた。

 軍のおっさんの腰に差してた銃を抜き取り天井にぶっ放す。


「いいぜ。やろうぜベネット!」


 ベネットが銃を撃ってきた。

 ベネットの野郎も目をやられてた。

 狙いがつけられねえみたいだった。

 俺は悠然と歩く。

 パルスハンドガンが腕や足をえぐるが悠然と歩く。

 そして目の前に立つ。

 ゆっくり銃で足を狙う。

 ここまで近づきゃ外さねえ。

 ベネットがナイフを抜いた。


「残念だったな。お前はここで終わりだ」


 俺はナイフをよけなかった。

 胸を斬つつけられたが、そのまま引き金を引いた。

 何発も。

 ベネットは足を撃ち抜かれ床に沈む。


「へっ、俺の勝ちだ。ばかやろう」


「ぜ、全員捕まえろ!!!」


「おー!!!」


 仲間がなだれ込んだ。


「おいアマダ! 生きてるか!?」


 仲間の一人が俺を揺さぶる。

 あー、死にそう。


「あのさ、結婚指輪のキャンセルってどうすればいい?」


「今さら無理だろぉ! おいしっかりしろ!」


 さーて、お決まりの入院である。

 と言っても普段から軍用レベルのナノマシンを投与されてない俺は、二週間ほど入院が必要になった。

 軍用は体が慣れてないからダメだってさ。

 意識が戻ると【このたびの忠義! 正義を求める姿感動した! ほめてつかわす!】と皇帝陛下直々にお褒めの言葉をもらった。

 後で長ったらしい名前の勲章くれるんだってさ。

 それと【褒美じゃ!】と報奨金が出た。

 確認したら冗談みたいな大金が振り込まれた。

 しかも公爵会のなんとかって帝国直営の星をもらうことになった。

 俺も伯爵だってよ。

 ……持て余したから俺に押しつけただろ?

 怒らないから正直に言ってみ?

 あとパルスハンドガンがかすめたところはハゲてた。

 しかたなく横は刈り上げて……久しぶりにツーブロック、いやソフトモヒカン星人である。

 それ以外の変化は……あれからマザーAIが俺の端末に遊びに来るようになったくらいか。

 箱のデータに関しては結局わからないままだ。

 機密らしい。

 それはいい。そういうことはよくある。

 だが結婚相手の約束どうなった!!!

 今度レオに会ったら一発殴ってから問い詰めようと思う。

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― 新着の感想 ―
これからゾークの下で俺たちがお前らを管理世界するがやって来る はっ?なんて????
妖精さんから株分けされたであろう超高性能AI≒元人間……実質嫁なのでは ゾークマザーのメンタルモデルをまず肉体に戻す実験は成功した、次は妖精さんから分派したAIに魂が有ればソレを使っての肉体移動実験が…
頭に妖精さん(マザー)居て、病院の常連で ちょっとしたヒーローやってて かけられる言葉が「生きてる!救急!」 カワゴンの生態系に組み込まれたな
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