第百七十七話
まだ俺たちは公爵邸にいた。
ちょうどいい大きさの会場があって、帝都からも近い惑星なのでここにしばらく滞在だって。
なので俺たちは婚活やら領地の管理やらをしていた。
女子陣は男子のアホどもよりもあっさりしてた。
そもそもブス決定戦で完全に男子に見切りをつけてた彼女らは、サクサクッと結婚相手を決めた。
慌てた一部の男子どもは目当ての女子に告白をしたが……もう遅い。
まったく相手にされず恋は実らなかったのである。
元からつき合ってたカップルまで別れたもんな……。
俺はこれからも女子に恨みを買わないように生きていこうと思う。
「なんでハーレムキングやってるレオが女子にモテるんだよ!!!」
ブーブー文句を垂れる男子ども。
だから言ってやる。
「だって俺、ブス決定戦に関わってねえし」
ただ単に仲間はずれにされてただけではある。
だが実行に着手してないというのは存外大きい出来事なのだ。
「それに俺、権力者ですし!!!」
ぷークスクス!
「下剋上してやるううううううッ! うわあああああああああんッ!!!」
バカどもが逃げていった。
ぐははははははは! 愉快愉快!!!
さて沖田めぐみの話である。
鶏ガラ女とか言われてアホどもにバカにされてた女子だ。
セクシーじゃね?
……俺の趣味はいいとして、その沖田めぐみは進化していた。
「ふっふっふ!」
健康的な生活と筋トレ、そこにさらにドカ飯が作用したのか……。
沖田はふっくらしていた。
ふっくらと言っても元の状態が状態なので普通レベル。
……いや普通レベルではない。
すんげえスタイルになっていた。
メリッサがモデル体型だとしたら沖田はグラビアアイドルだ。
ケビンには負けるがものすごい……お胸。アンドお尻。
顔も痩せこけてたのに健康的になってる。
本人も自信がついたのか婚活に励んでた。
武家の侯爵家から婿をもらうらしい。
「レオくんには感謝してるんだ。あのとき……ああ言ってもらったから自信がついた」
そして俺の胸にパンチする。
「でもあれセクハラだぞ!」
「その節はたいへんご迷惑を……」
素直に謝罪。
死を前にしたやりたい放題だったわけだ。
でも生き残っちゃったもんね。
「いいって。レオくんと結婚する自信はないけど、これから部下として働くからよろしくね!」
「よろしくお願いします!」
なんだろう?
急に言い出す話でもないような?
別に俺は告白してないし。
少し疑問に思ったので夕飯時に嫁ちゃんと食事しながら話題に出す。
「その話か。妾が沖田にハーレム入りを打診したのじゃ。だが断られた」
「……せめて俺の意思を確認してほしいのですが」
「却下じゃ。沖田のう、妾たちに勝てる気がしないから身を引くだそうじゃ」
本人の決断だからいいし、本人が幸せならいいけど。
別に争う必要は……。
そう思って嫁たちを見る。
嫁ちゃんはもともと美少女だ。
メリッサはきれいになった。
クレアは幸薄そうな美人だ。
レンは誰がなんと言おうが美少女だ。猫耳のよさをわからん帝国人が間違ってる!
以降嫁じゃない枠。
京子ちゃんとかは嫁候補として送り込まれてるが本人の意向はわからない。
ニーナさんはエロい。誰がなんと言おうともエロい!
なおケビンに関しては黙秘する。
そんな日々が続くのだが、エッジの野郎が爆弾を投下した。
「アリッサと結婚します」
「おうふ!」
完全にシナリオは崩壊した。
エッジはアリッサと結婚を決めた。
だけど帝国じゃ未成年なので成人を待つようだ。
そしてこのい話題にアホの男子どもが恐慌を起こした。
「うわあああああああああああああああああッ!!! エッジに先を越されたああああああああああッ!」
いや、お前らだって贅沢言わなきゃ結婚は難しくないわけでな。
やれ年上はヤダの、やれ自分より強そうな嫁は嫌だの。うるさいのよ。
いいじゃん。腹筋バキバキの年上嫁。
一緒に筋トレしてくれるぞ。
とはいえ、まだ10代の夢見がちな男子。
眉毛のそり残しや軽い寝癖程度でも大騒ぎ……やっぱお前らが悪いわ。反省しろ。
さて、バカは放っておくとして大学院生は死ぬほど必死だった。
結婚できればいい。
男女ともに悲壮な覚悟をキメていた。
そもそも彼らは出会いを出会いと感じられぬほどに勉学に勤しんできた剛のものたち。
実家が太ければ普通の大学に行っていたであろう。
かといって学問をあきらめられぬ。
とうに結婚などあきらめていた。
そんな彼らも俺の隊で一山当てて一国一城の主。
嫁ちゃんの言われるままに不満も言わず、不退転の決意で臨んだ。
……簡単に結婚できた!
さすがにゴリゴリの戦闘班じゃないから婿や嫁で向こうの一族に入ったものが多いが、それでも恐ろしく条件のいい結婚先を手にすることができたのだ。
伯爵なのは変わらねえ。家名が変わるだけ。
このくらいの方が人生楽なのであった。
男子たちは、ほぞを噛んでいた。
ああ、ブス決定戦などやらねば。
エロゲみたいな青春が送れただろうに。
いいじゃん、純愛ルート捨ててブリーフモブおじ目指せば。
「いやじゃああああああああああ!」
うるせえ。
さてトレーニングと偽ってビーチで遊ぶのにも飽きてきたころ、一つの知らせが飛び込んだ。
「殿、銀河共和国の痕跡を発見いたしました」
執事さんが資料を持ってきた。
「ガチッすか?」
「ええ、ヴェロニカ様のお言いつけ通りに調査を致しましたところ。未発見の遺跡がありました」
「嫁ちゃん呼んで!!!」
水着姿の嫁ちゃんがやって来た。
海じゃなくて屋内プールで泳いでたそうだ。
「なんじゃその話か。ここは佐藤の土地だからな。ゾークと接触したとすればこの惑星じゃろと思っただけじゃ。まさか共和国のものとは思ってなかったが……」
ただの思いつきだったそうである。
「どうするの?」
「調査するしかあるまい? 婿殿、調査隊を編制してくれ」
「へーい」
ということで遠足が実施されようとしてた。
さすがにもうなにも出ねえだろ。
諸君、おやつは好きに持っていっていいぞ。




