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第百六十四話

 嫁ちゃんと俺で30%。

 軍が20%。

 帝国が20%。

 銀行が30%。

 持ち株の比率である。

 実質7割国の持ち物、ほぼ国営企業だよね。

 帝国の【上場だけはさせねえ】という意志が見え隠れする。

 我がカミシロ工業は発足したわけである。

 工場のないファブレス企業になる予定だったが、軍が工場をくれた。

 なにを言ってるかわからねえと思うけど、工場くれた。

 俺はお飾り社長なので知らない間に話が進んでた。

 帝都のすぐ近くの空地に工場建設。そこに新しい鉄道路線まで完成。

 帝国の野郎……本気だ。

 さてさて本体である。

 造形プリンターと組み立て機だと見た目がよろしくないという弱点がある。

 配線むき出しも好きなんだけどね。

 なのでデザイナーと話し合って……ニーナさん得意なの?

 話し合いできる? できる、ほう。

 というわけでニーナさんに頼んだ。

 すると女の子っぽいデザインが来るかなと思ったら、漢の浪漫満載のデザインだった。

 このスポーツカーっぽいライン。やだー! しゅきー!!!

 軍はすかさずシミュレーターを使ったCMを開始。

 次年度の士官学校の倍率、予備校がやってる業者テストでの推測値で60倍だって。

 これには大将閣下もえびす顔だ。

 普段ヤクザの親分みたいな顔してるのに崩れちゃって。

 膨らんでいく借金額を眺めながら俺は黄昏れた。

 ●鉄ちゃうぞと。

 すっかり気分はボン●ラス星人である。

 工員は大量に確保した。

 復興事業として帝国は学生のアルバイトを奨励している。

 家なんかは補助金で立て直せるけど、職場が物理的になくなった人が多い。

 なので一時的な措置だ。

 うちも半分以上が中学生や高校生だ。

 同じ世代だから彼らの気持ちはわかる。

 ゲームを社員割引で買いたいよね!

 え? いらねえ?

 それより士官学校受験の推薦状書け?

 そうっすか……。

 書くよ! 書けばいいんだろ!!!

 カキカキ。

 なんか社長業ぜんぜんやってねえな……。

 考えるのやめとこ。

 というわけで借金&社長問題は解決……してないけど俺の知らないところで動いてるから手出し不能!

 え? なに嫁ちゃん?

 保険? 戦争は払われないよ?

 え? 戦場出るごとに保険会社のオークションが行われるタイプの保険?

 なにそれ?

 本当はタンカーとかにかける保険?

 国がかけ金払うから気にするな?

 はいはい。了解。

 ここに名前と電子印鑑ね。はいはい。

 え? 軍人共済全力でいけ?

 へいへい。

 なんか保険だらけになった。

 保険金殺人するならいまだZE!!!

 というわけで戦場に出ない日々が続いている。

 俺の知らないところで勝利したニュースが流れ、軍の偉い人から「実は悲惨なほど犠牲者が出てね……」と涙ながらに相談される日々。

【ジェスターが欲しいの!】って言われるんだけど在庫が補充されるものではない。

 とりあえずシミュレーター10台納入を約束して解放してもらう。

 初心者モードをつけたのでよわよわなパイロットの評価も高い。

 すでに軍の中じゃジェスターの存在は秘密でもなんでもなくなっていた。

 専務のクレアに投げる。

 こっちでも副官やってくれた!

 クレアがいないと俺の人生詰むわ。

 ところで……なんで俺、営業やってるんだろ?


 こんな感じで学生寮から動けない日々が続く。

 さっさとみんなの惑星解放するか、惑星サンクチュアリに行きたいけど、軍の中の人としては許されない。

 戦況は軍の発表とは違って悪い。

 そりゃ一方的に狩られてた最初の状態よりはマシだけど、それでも軍は仲間の屍の山を築いてる状態だ。

 俺たちジェスターのいないところは地獄だ。

 そんな日々に胸がざわついていたところ、軍からちょっと仕事を頼まれた。

 軍の人事課の偉い人、中佐が少女を連れてやって来た。


「クローンから発生したジェスターだ。君の部隊で預かってくれ」


「あー、はい」


 クローンは元の人間と違う。

 パラメーターも超能力者としてのタイプも違う。

 悪意しかないシステムだ。

 でも運が良ければレアクラスを引き当てることも可能だ。

 どうやら軍はクローンガチャに成功したらしい。


「タチアナ一等兵だ」


「ッス」


 士官学校だったら鉄拳制裁レベルのだらしなく着崩した軍服姿の少女がやる気なさそうな声を出した。

 茶色い髪にそばかすの背の低い少女だ。貧乳だ。素晴らしい。

 性格悪そうな顔が性癖どストレートである。


「彼女はデルタ男爵領のコロニー奪還作戦で現地採用したところ殉職。意思表示がなかったためクローン処置で再生したところジェスターと判明した」


「それは……ご愁傷様で」


 俺が頭を下げるとそっぽ向かれる。

 ……はて? なんか性癖の扉が開きかかったような?


「侯爵家のお坊ちゃんにはわからねえ世界ッスよ」


 それを言われるとつらい。

 なんだかんだでいいとこの坊ちゃんではある。

 ただ侯爵家だけど近郊農家で王様扱いってより農協の組合長扱いなだけだ。

 俺の後に侯爵を継いだサム兄なんて【侯爵様】なんて言われてない。【組合長】とか【社長】だもんね。

 そういや俺も公爵って言われないな。

 自分の領地見たことすらないし。

 一応書類上は公爵のはずなんだけど。

 ま、でもわからないって言われれば、その通りである。


「ま、わからねえッスね。わからないんで、メシのときにでも説明してね。えっとまずは寮の案内から……」


「はっはっは。レオくん、スルースキル高いねえ」


「だって、隊にはコロニー民も開拓惑星民もいますんで。ケビンなんて少尉になるまで市民権剥奪されてましたし」


「……」


 あ、タチアナ黙りやがった。

 悲惨な過去を主張すれば相手が黙ると思ったんだろ。

 甘いな。

 うちは皇族なのに悲惨な生い立ちやら、元ゾークのコロニー出身者に開拓惑星現地採用民、さらに海賊領のお嬢までいるぞ。

 すげなうちの隊!


「じゃ、頼んだよ」


「はーい」


 ちゃんと来たよって書類を軍に出して終了。

 ケビンとニーナさんを呼び出す。


「新入りに女子寮案内してあげて」


「うん! ぼくケビン! よろしくね!」


「ニーナだよ」


 ほんわかニーナさんが良い人選だったと思う。

 するとタチアナは俺を見て、それからケビンを見る。


「あんたの女ッスね?」


「ぶん殴るぞ」


「あのねタチアナちゃん。レオくんは、そこの一線だけは認められないみたいなの~。わたしたちはケビンちゃんに幸せになってほしいから見守ることにしてるの~」


「ニーナちゃん……それ初耳なんだけど……」


 ケビンも知らなかったらしい。

 俺? 知らんわ!!!


「あんた! アタシのことも愛人にするつもりッスね!」


「なに言ってんのお前」


 ああ!

 会話がボケとツッコミになる!

 こいつ……ジェスターだわ!

 アリッサよりも濃いジェスターだわ!!!

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― 新着の感想 ―
アリッサは何気に戦闘に特化したジェスターじゃない?
>会話がボケとツッコミになる!  こいつ……ジェスターだわ!  それが特徴かいw
もう諦めな~レオ君~ TSっ娘も悪くないぞ~(⌒‐⌒)
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