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第百五十五話

 さーて基地に足止めである。

 とは言え学生寮に帰っても、もともと俺の隊は俺以外の階級は士官学校生で、二等兵扱いだ。

 卒業すると軍曹、大学校に入学すると曹長扱いになる。

 俺も士官学校生という二等兵と大尉を軍の都合のいい方で扱われている。

 給料は大尉でもらってるけど、食事当番が回ってくるのは二等兵扱いである。

 問題なのは二等兵は皇族の警護任務もできない。

 会場から離れた場所で警察に交じって交通整理をするくらいだろうか。

 なので士官学校の連中が少尉になれば、公式行事で嫁ちゃんの護衛もできるようになる。

 つまり現在は学生寮で待機という状態が続いている。

 ゾークとの戦いも【ガキを戦わせるな!】という世論の影響で自粛中。

 ……侍従長との戦いでナパームの炎に突っ込んでいったのがまずかった。

 現在も俺たちには仕事がない。

 基地の司令官は俺たちをどう扱っていいかわからない。

 トマスの隊も同じだ。

 そりゃねー、訓練施設の司令官にこの事態の対処しろっていうのは無茶ぶりの極みである。

 訓練の日程調整とかバックヤード管理してるだけの人だからね。

 無理だって。

 というわけで今日は施設内の掃除にいそしむ。

 昨日は洗濯班だった。

 率先して仕事を見つけないと組織内ニートになるのでこちらも必死である。

 ドローンが掃除し残した部分を業務用掃除機で清掃。

 モップをかけて終了。

 それをすべての棟で行う。

 同じ班の男子どもとね。

 みんな働かないと手が震えてくる謎の病にかかってる。

 ああ……トマスの部隊みたいに仕事なくても平然としてられる鉄の意思が欲しい……。

 って、ただ単に彼らエリートなだけか。

 俺たちがワーカホリックなだけかもしれない。


「隊長ぉ、便所掃除とシャワー室の清掃終わったぞ」


 便所掃除部隊が仕事の完了を報告してくれる。


「トイレとお風呂の清掃終わったよ~」


 女子もやって来た。


「こっちもフロア掃除終わった~」


 俺たちが言うと今日の業務は終わり。

 受験勉強してるわけにもいかないので希望者は訓練。

 なお誰も訓練参加を拒否するものはいない。

 だってー、訓練施設で遊んでるだけだし。


「せーのっ!」


 ケビンたちがバレーボールしているのが見えた。

 俺はまずはランニング。

 体が温まったらコンクリートブロック持ってきて拳立て伏せ。

 ブロックで高くして深く体を沈める。

 満足するまでやったら指立て伏せ。

 この辺の基本の重要性がようやく理解できてきたところだ。

 終わったらクールダウン入れつつ、今度はスクワット。

 終わったら鉄棒のところに行って懸垂。

 脳筋から脱却しようと思ってるのに、ひたすら脳筋レベルが上がっていく不思議。

 終わったら男子のサッカーに交じる。

 本当にただ遊んでるだけだな。

 実は室内ジムあるんだけど、トマス兄さんの部隊がずっと使ってる。

 皇族の近衛隊だしな。

 一応、俺たちは違う皇族の親衛隊だ。

 喧嘩にはならないだろうけどさー、向こうが気を使う状況も嫌だよね。

 トマス義兄さんは気にしないだろうけど。

 というわけで俺たちは遠慮して外のグラウンドを使ってるわけだ。

 トマス義兄さんたちの部隊が来ても、この広いグラウンドなら分け合える……。と思う。

 さんざん動いて終了、シャワー浴びてメシ食って……。


「組織内ニートだ……」


 夕飯のカレーを食べながら俺はつぶやいた。

 働かないと!


「軍なんてそんなもんでしょ。戦争なんて移動と待機時間が9割なんだから」


 メリッサがバッサリ言いきった。


「でもさー、大尉の給料もらって洗濯に掃除はさー」


 正直言って、軍の給料だけで家族食わせて帝都の大学の授業料くらいは出せる金額だ。

 それがこれじゃ世間に申し訳ない気がする。


「いいんじゃないのー。今まで命かけてきたんだから。なあ、レンもそう思うよな?」


「そうですね。旦那様も少しは休まないと」


「それにさー評判いいよ、うちら。基地内の兵士も俺たちに差し入れくれるし」


 メリッサがコンテナを指さした。

 お菓子ボックスである。

 せっせと労働に励む俺たちに兵士が差し入れをくれるのだ。

 喧嘩の原因にならないように差し入れは全員の共有財産として扱ってる。

 なんかここの兵士さんたち、親目線になってるような?


「そういや聞いた? 森に赤外線センサー設置したってさ。すぐに発見されるよ」


 メリッサは安心してた。表情もゆるい。


「それならよかった」


 すぐに見つかるだろう。

 うん、よかったよかった。カレーうまい。

 レンがつぶやいた……。


「フラグじゃないといいですね……」


 やめれ。

 飯を食うと仕事はない。

 みんなは妖精さんとゲームやってる。

 俺は報告書提出してからゲームに混じろうと……。


【ジリリりリリリリ】


「なんじゃああああああああああッ!」


 いきなりの警報に身構える。

 全員すぐに戦闘態勢になる。

 メリッサなんてすでに刀を持っていたくらいだ。

 だけどすぐに館内放送が入る。


【警報装置の誤動作、繰り返す、警報装置の誤動作……】


「なんだー!」


「もうやめてくれよなー」


「はっはっは!」


 みんな気が立ってたようだ。

 すぐにみんな緩んだ顔になる。

 だけど次の瞬間それは怒った。

 ボンッと音がした。

 それとほぼ同時にガシャンとガラスの割れる音がした。


「あん?」


「ガス爆発か?」


 窓から外を見ると本館の棟に兵士が集まるのが見えた。

 すぐに館内放送が入る。


【火災発生、火災発生、基地の兵士は各人持ち場に……それ以外は待機……】


「本館ってトマス殿下の部隊がいるとこじゃ」


「ちょっと俺見てくる!」


 一番守りが堅いところだから大丈夫だと思うけどね。

 俺が外に出るとみんなもついてきた。

 火災だよね?

 本当に火災だよね?

 火災のはずなのにみんなパーソナルシールドと斧と盾を持ってる。

 俺も剣、メリッサは刀、レンに至っては散弾銃を持っていた。

 なお今回は宇宙仕様の戦闘服を着用する時間はなかったのでナパーム戦法は使えない。

 ……って火災だって!!!

 燃やしてどうすんだよ!!!

 そんないつものアホアホ思考をしてて気づかなかった。

 いつも一緒にいるはずのクレアと生活時間が噛み合ってないことに。

 なんにも考えないで雑用に甘んじてた裏でクレアがあんなに努力してたことに。

 ……死亡フラグじゃないよ。

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― 新着の感想 ―
トマスくんくんの部隊って搾りかすしか残ってなさそうだけど平気なんかね 実践経験ある人いるのか?なんちゃってエリートしかいない疑惑
次回・クレア別に死さない!(でもレオは死にかける) デュエルスタンバイ!
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