おまけ おっさん、水道の切っ掛けを作る
今回は水道を発展させろとのお達しだ。
井戸を掘る技術はあるとのこと。
現地の技術でやるのなら石で作った水路の水道だな。
石を彫ってU字溝みたいなのを作るのは大変だ。
そんな長く付き合うわけにもいかない。
セメントだな。
ローマンコンクリートは、火山灰、石灰、火山岩、海水で出来ている。
この世界でも可能だ。
ダンジョンでセメントとレシピを出す。
とりあえずはこれで良いか。
「助手、来いアルマ、エリナ、モニカ」
「はいな」
「来たわよ」
「闇からの使者到着」
「良く来てくれた。今回のお題は水道だ」
「うちら、専門家ではないんやけど」
「ええ、水道は分からない」
「魔の力で切り開く」
「モニカの言うのが手っ取り早いだろうな。計測とかスキルに頼る。計測スキルだ。ダンジョンのドロップ品とする。後ないか?」
「そこにセメントの袋があるちゅうことはコンクリートを使うんやろ」
「そうだな」
「乾燥スキルがあるとええんちゃう」
「それより変形スキルが便利よ」
エリナのいうアイデアも採用だな。
「腐らせる者を抹殺」
「殺菌ね。カルキとか。おっ、災害時の水の殺菌剤があるな」
これらのドロップ品を出すダンジョンを作ったが誰も来ない。
だよな。
井戸水でやっているのに水道の便利さは伝わらない。
まずはコンクリートからだ。
俺は街でコンクリート屋を始めた。
「魔法の粉でどんな形の岩も作るんだってな」
「おう、見てろよ」
コンクリートを作る所を見せた。
「へぇ便利だな」
「お客さんだけにこっそり教えるよ。ダンジョンができただろう。あそこのドロップ品で魔法の粉のセメントが出る」
「本当か」
「秘密だから誰にも教えるなよ」
客ができたコンクリート製品を持って帰って行った。
「秘密って言われると喋りたくなるんやね」
「そうだな。とりあえずコンクリートはこれで良い」
こうなったら、外道な手段を取るか。
俺達は井戸にニガリをぶち込んだ。
健康には影響はないが、苦いとなんか毒じゃないのかと思うだろう。
それを煽るために井戸は地中の毒に汚染されたとの噂を流した。
「もう水路を。水道を作るしかないんじゃないか」
そういうことを酒場で盛んに言ってみた。
「水路を作るのか。確かにそれしかないかもな」
ほとんどの奴が納得する。
良いように誘導されていくな。
ダンジョンで得たスキルを使って水道工事が始まった。
竹みたいに中が空洞な木を使うらしい。
お手軽だからな。
とにかく水道は完成した。
だが水の量が足りない。
竹みたいな木が一本じゃな。
俺はコンクリートで作るんだと噂をばら撒いだ。
少しずつコンクリートに置き換えられて、各家に分岐させるのは木管を使うらしい。
川の水で腹を壊す奴が続出。
殺菌剤の使い方を教えた。
井戸の水は苦くなくなったが、汲み上げる必要がないので、水道は重宝されている。
飲み水は井戸水で、風呂とか洗濯は、水道でとやっている家が多い。
そのうち、時代が進めば水道技術も進むだろう。
中には井戸が枯れるような街もあるはずだ。
その時にこの街の技術者が招へいされれば、水道は発展していくに違いない。
ダンジョンの奥の階層に、塩ビのハイプとか現代日本の製品を用意した。
誰か持ち帰れば研究して、そっくりな物を作るだろう。
使い方を教えたら蛇口は高値が付いた。
捻ると水が出るのが良いらしい。
たしかに出しっぱなしでは不便だ。
塩ビのパイプは井戸に使っているらしい。
だがその便利さに驚いている。
それが作れるぐらいまで発展するのは何時のことかな。
200年ぐらいかな。
管理者としては一瞬だな。
現地の発展を促すという意味では今回はそれなりに上手く行ったような気がする。
採点する人はいない。
へまをしているとお役御免になるのかな。
この仕事は気に入っているから、飽きるまでは続けるつもりだ。




