おまけ おっさん、ペットボトルの空容器で文明を起こす
管理者になっての初仕事は、砂漠で人類を生き延びさせること。
あー、もう文明は完全に滅びている。
金属精製技術すら失われているようだ。
「助手、来いアルマ、エリナ、モニカ」
「はいな」
「久しぶり」
「闇の使徒、参上」
「今回のミッションは人類を生き延びさせることだ」
「そうやね。この環境やと水が第一ちゃう」
「水道水が出せるのよね」
「まあな。でもそれじゃ解決にならない。井戸を各所に掘らないと」
とりあえず集落に行くか。
集落は岩山の洞窟にあった。
たしかにこれなら日差しは防げる。
「止まれ」
見張りらしき男に見つかった。
錆びた剣を持っている。
金属生成の技術はないってことはこの剣は過去の産物だな。
「戦士長とお見受けする」
「いかにも。お前らは旅人か。この集落には余分な食料も水もない」
「分かってるよ。俺は水を出せる」
「スキル持ちか。水のスキルは重要だ。そのスキルを集落のために使うのであれば受け入れよう」
「いや、集落には加わらない。井戸を掘るんだ」
「そんな、上手い話には騙されないぞ」
「井戸を掘る間の食料と水は支給しよう」
「それをやってなんの得があんたにあるんだ」
「神のお告げってやつだ」
「狂信者か。まあ良いだろう」
「よし、ありったけの器を持ってこい」
「おう」
器が並べられた。
「魔力通販、ほら水だ」
「うわっ、水がこんなに沢山」
「腹が破れるほど飲んでみたい」
「くんくん、ちょっと変な匂いがする」
「変な薬が入っているんじゃないだろうな」
戦士長がクレームを言った。
「俺が飲んでやるよ」
俺は水道水を飲み干した。
「麻薬の類かも知れない」
あー、水道水はだめか。
「仕方ないな。魔力通販、天然水」
ペットボトルに入った天然水が出現した。
「水だと分かるが、どうやって開ける」
「ここをこう捻って」
「くんくん、今度は匂いがしないな」
「余分な出費だ」
なぜか、ペットボトルを返却された。
そういうルールらしい。
まあ、昔の日本も、おすそ分けの器は返していたな。
溜まっていくペットボトル。
邪魔臭くてしょうがない。
そんなことより井戸掘りが難航した。
誰もやったことがないものだから。
本を買って参考にやってみてなんとか行けた。
塩ビパイプさまさまだ。
砂漠は砂だから掘り易いのも幸いした。
ポンプも買って取り付ける。
「井戸のひとつができたが、こんなので人類が生き延びられると思うか?」
「むりやね。絶対無理や」
まあそうだろうな。
「ペットボトル、売って下さいな」
子供が空のペットボトルを買いに来た。
「はいよ」
貰ったのは石のお金。
ペットボトル以上に要らない。
だが、次の井戸を掘る時に賃金として払える。
「ペットボトルを全部売れ」
戦士長が買いに来た。
「良いけどよ。なんに使う?」
「井戸からの水を売って歩くんだ」
「交易するのか」
「ああ、足りない物が色々とあるからな」
空のペットボトルも通販で買えるな。
1000本単位だと、凄く安くなる。
いや、文明を起こすのなら、彼らにペットボトルの代用品を作らせないと。
だが、火すら貴重なので焼き物は無理だ。
仕方ない。
ダンジョンを作ろう。
そしてモンスターにペットボトルをドロップさせる。
ダンジョンを作ってその場を後にした。
数年後、見てみると、そこには街ができていた。
うん、文明が少しできたようだ。
きっかけとしては申し分なかったようだ。
ドロップ品に、100円ライターを加える。
野菜の種も。
緑豊かになるかは知らない。
だが蒔かぬ種は生えぬだ。




