第84話 おっさん、魔力税を徴収する
さて、水の呪符の試し撃ちだ。
「起動」
呪符が起動して100個の魔法陣で約10リットルの水が出る。
魔法陣の文字が綺麗さっぱり消える。
紙は再利用できるな。
でもプリンターに使うのはやめとこう。
しわがある紙だとプリンターの故障の素だ。
「上手く行きましたな」
ディーンがほっと一安心と言った風情を見せた。
「呪符の分配は任せた。それと魔力税を徴収する事にする」
「ほら見た事か! ただでさえ重税なのに税を重くするだと! 俺に斬られたいようだな!」
スコットが憤慨する。
せっかちな奴だな。
話には続きがある。
「他の税金は全部チャラにする」
「それはいけません」
ディーンが反対した。
分かっているよ。
金が無ければ何も出来ないって事ぐらいはな。
「魔力さえあれば、商品はどうとでもなるスキルを、俺は持っている。アルマ達に売らせて税収に充てれば良い」
「なるほど、それなら」
「魔力税って奴の他はただなんだな。話が分かるじゃねぇか。ところで魔力税って何だ?」
「毎日、魔力を魔石に納めてもらう」
「そんな事でいいのか」
「ああ、重要だ」
代官邸に戻るとチャドが水の呪符をせっせと作ってた。
作っていると言ってもプリンターが印字しているだけだが。
「こんな仕事で一日金貨1枚もらえるだか」
「ああ、昨日、金貨1枚あげただろう。嘘は言わん」
「水の呪符の出荷準備が整ったで」
アルマが報告に来た。
「ご苦労様、近隣の至る所で干ばつだから、雨が降るまでは絶対に需要があるはずだ」
「はいな、きばりまっせ」
余った水の呪符をアルマ達が売りに出る。
コピー用紙は1枚を1魔力で出せる。
それから作った呪符1枚を銅貨10枚で売る事にしている。
異世界の平民は一人平均で1000魔力は持っている。
呪符を売れば、一日あたり一人金貨1枚を、税金として納める計算になる。
これが毎日続くのだからウハウハなんてもんじゃない。
まあ、実際はプリンターのインクを出す魔力とか、パソコンとプリンターと発電機を増設する分に回さないといけない。
発電機用のガソリンも食う。
だが、拡大路線を辿れば物凄く儲かる。
なんで呪符作成が駄目スキルなんて言われていたのだろう。
印刷技術が発展すれば凄く使えるスキルなのに。
魔力税に使う魔石は馬を売った金でなんとか工面した。
一つあればとりあえずは良い。
「はい、魔力を入れて」
「へい」
「よし、魔力通販」
コピー用紙とガソリンが手に入る。
こんな感じで、俺はせっせと魔力税を受け取っていた。
数日でまた数セットのパソコンとプリンターと発電機が増えた。
水の呪符の販売も好調だ。
水路を引く工事費用も捻出できそうだ。
呪符があれば水路は要らないが、俺がいつまでもいるとは限らない。
水はなんとかなったが枯れた作物はどうにもならない。
アルマには呪符を売った金で食料を仕入れるように言ってある。
だが、干ばつでここら一帯の食料の値段は上がっている。
食料を配給するにしても何とかしないと。
魔力通販は強力だが、食料を出す分に魔力を回すと、呪符が作成できなくなる。
致し方ない、魔力通販で買って小麦粉を支給する事にするか。
「はい、魔力を入れて」
「へい」
「よし、魔力通販。今日は魔力税の還付金がある。ほら小麦粉だ」
「ありがたい」
「次の人」
小麦粉の還付金を始めてから、魔力税を納めに来る人が増えた。
現金なものだな。
「あんたの事を少しは信用してもいい」
護衛についているスコットがそう言った。
「それはどうも」
早く、魔力税用の魔石も揃えないとな。
俺が一人ずつ相対していると時間がいくらあっても足りない。
ディーンは一人でよく仕事が回るなと観察していたら、村長を上手く使っている。
俺は家臣を雇う事にした。
仕事の段取りはディーンに丸投げだ。
チャドはパソコンを使いこなすようになっていた。
彼の下にも人をつけないとな。
呪符作成はこの領地の大事な柱だ。




