第70話 おっさん、砦に討ち入る
盗賊の根城は廃棄された砦だった。
こりゃあちと骨かもな。
岩山の頂上に砦は立っている。
道は1本だ。
秘密の抜け穴などなければ、袋の鼠だな。
もっとも俺が侵入できればだけど。
しゃあない正攻法でいくか。
道をえっちらほっちらと登り始めた。
盗賊は当然だが、砦の上から矢を撃ってくる。
まあ、俺は魔力壁があるから平気なんだが。
アシスタントのアルマ達はハリネズミになっている。
ロボットみたいな物で死なないと分かっていても、可哀そうだ。
やられっぱなしも癪に障る。
「アルマ、エリナ、モニカ、大丈夫か」
「平気や。痛みがないちゅうのはこういう時に便利やな」
「ほんと、この体も良い事があるわね。矢が刺さっていると動きづらいのが、厄介だけど」
「余裕」
「モニカは全然、矢が刺さってないな」
「闇の視線を避けると当たらない」
さいですか。
「反撃するぞ」
鉄アレイとロープで作ったボーラを投げる。
矢が一層と激しくなった。
お前らいい加減にしとけよ。
アルマ達にロケット花火を渡す。
ロケット花火が発射され砦の上で乾いた爆発音を響かせた。
ガソリンを投げ込んでやろう。
俺はガラス瓶にガソリンを詰め込み、力一杯投げた。
そして発射されるロケット花火。
駄目だ。
ロケット花火じゃ命中率が悪い。
だが、俺達に盗賊の攻撃は効かない。
俺はアルマ達にロケット花火を束で渡した。
下手な鉄砲数うちゃ当たるだ。
何百ものロケット花火が打ち上げられる。
火だるまになった盗賊が何人か落ちて来る。
射手はびびって矢を撃ってこなくなった。
今のうちに門に取りつこう。
ふう、やっと門まで辿り着いたぞ。
正門はパスして通用門を攻略に掛かる。
木の扉に鉄パイプが何本も補強されている。
ふん、ダイヤモンドカッターを使えばちょちょいのちょいだ。
鉄パイプに電動工具を押し当てると、火花が散り、焦げ臭い匂いが充満して切断される。
「よし、開いたぞ。野郎ども突撃だ。野郎じゃなかったな。お嬢さん方、突撃しますわよ」
「はいな」
「行くわよ」
「応」
近接戦闘が始まった。
アルマ達は不死身なので、相手の攻撃など気にせず剣で敵を切り刻んでる。
俺は魔力壁に守られながらメイスで盗賊を叩きまくった。
弱い奴らばっかりだな。
大規模になって脅威になれば、軍が出てきて対処するから、中規模の盗賊団なんてこんなものか
「お前らどこの手の者だ?」
「ムニ商会の者だ。隊商が襲われたので復讐にきた」
嘘をついてやった。
「馬鹿な。商人が復讐に来たってのか」
「そりゃ居るだろ。お前ら、殺した商人を全部覚えているのか?」
「がはははっ、覚えてないぞ」
「死んどけよ」
「ぐがっ」
「こいつらアンデッドに違いない。火だ火を掛けるんだ。それと略奪した品の聖水をありったけだ」
アルマ達に油が掛けられ燃やされる。
俺は燃やされるとちと不味いのでご遠慮した。
聖水だと思われる瓶が投げられる。
瓶をメイスで叩き割る。
いくらか体に掛かったが問題ない。
「なんでだよ! 何で死なない? 頼むから死んでくれよ」
罵倒が疑問になり、哀願に変わる。
冒険者の身なりをしている奴何人かを残して、盗賊を皆殺しにした。
「お前ら、クラン・ラベレンらしいな。人身売買の事を話せ」
「知らん。俺達みたいな下っ端が知るものか」
「クランの命令で盗賊をやってたんじゃないのかよ」
「上納金がきついんだ。真っ当な稼ぎじゃ、やっていけない」
「お前みたいな奴は多いのか?」
「ああ、そうだ。許してくれよ。クランを抜けると粛清されるし、どうしようも無かったんだ」
「残念だが、生かしておけない。恨むなら、アルマ達にちょっかいをかけたリオットを恨むんだな」
「そんな」
全員、ぶっ殺した。
クラン・ラベレンは腐っているな。
末端はそうじゃないと願っていたが違うようだ。
なら、ぶっ殺すか。




