第31話 おっさん、ギルドと商談する
冒険者ギルドのエティの窓口の列に加わる。
「エティ、今日も眠そうだな」
俺の番が来たので話し掛ける。
「もう、ムニさんたら。何の御用です?」
「偉い人に取り次いで貰いたい。頼むよ」
「無理を言わないで下さい」
「儲け話なんだけど、上手くいったらボーナス出るかも」
「しょうがないですね。上の者に聞いてきます」
そう言うとエティは席を立って奥の部屋に消えた。
しばらくして、帰って来たエティは男性を連れている。
「初めまして、ムニです」
「サブギルドマスターのホメスだ。何か話があるそうだが、私も忙しい。Sランクを賭けての頼みだろうね」
「ああ、しょうもないと思ったら、降格してくれても良い」
「では、応接室で話を聞こう」
俺は説明を始めた。
「まず、魔石から魔石に魔力を移す魔道具は簡単に作れる。ダンジョンで出た魔石には魔力が残っているはず。それを集めて結合魔石に移して溜める。溜めた魔力を販売する以上だな」
俺の説明が終わった。
この方法、色々な人に応用が利きそうだけど、そう上手くはいかない。
魔力の上乗せを使ってスキルを使うと、スキルを普通に使うのに比べて二倍疲れるのだそうだ。
レベルを上げれば幾分改善されるらしい。
俺はレベル1の時に上乗せで凄い回数スキルを使ったけど、全然疲れなかった。
スキルによって疲れる幅があると思っておく事にする。
「ギルドは元々ダンジョンの魔石を独占している。集める手間は要らない。ふむ、高レベルの冒険者には売れるだろうな。ギルドの損は無い。中々魅力的な提案だ」
ホメスは何回か頷き、言った。
「では、採用で決まりか?」
「そうだな、この商売は伸びるだろう」
上手くいかなくとも、俺が魔力を全て買えば問題ない。
交渉は成功で終わった。
ムニ商会で雇っている人間の所に行って店舗の手配と貸し家の手配を頼んだ。
それと、ボールペンを扱う事を告げ、ボールペンの注意事項を説明した。
スラムで炊き出しをして魔力を集める。
スラムの平均レベルは10ぐらいだ。
魔力1000で200人ほど集まるから、魔力は20万が大体限界だ。
ボールペン2万本を購入する。
これだけあれば当分なんとかなるだろう。
それと、鉛筆、ケシゴム、万年筆、サインペンを数本ずつと、新しい商材のサンプルを買った。
◆◆◆
次の日、羽ペンの商会に行った。
「こんちは」
「いらっしゃいませ。あなたのおかげで羽ペンの市場は大混乱ですよ。まあうちの商会は売りぬけましたけど」
店番の男性はこの間の男性だった。
「今日は新しいのを持ってきた」
「何ですか? 見せてください」
「万年筆だ。ボールペンと違ってインクの補充が出来る」
俺は持ってきた万年筆を男性に渡した。
「それはまた便利ですな」
「それとサインペンだ。使い方はボールペンと変わらん。水に強いのが特徴だ」
「ほう、ほう」
「あと鉛筆だ。削って芯を出して書く。このケシゴムで消せる」
「これはまた便利ですな」
「サンプル置いていくから、うちの商会に注文してくれ」
「それはそうとボールペンなどこれらはどうやって作っているのですか?」
「生産系ドロップ品だ。それに魔力と材料を与えると作れる」
嘘をばら撒いておく。
こうすれば泥棒はくるかもしれないが、いきなり攫いにはこないだろう。
「なるほど。ドロップ品には一つしかない貴重な物もありますから納得です」
「ボールペンの売れ行きはどうだ?」
「引っ切り無しに注文が入って半年先まで予約済みです。生産量上がりませんか?」
「そちらは何とかなるよう手は打ったよ」
◆◆◆
商会を後にして、貸し家に行く。
アルマの指示の元、大急ぎで家具が搬入される。
夕方にはなんとか住めるようになった。
慣れない自室で次は依頼でもやろうかと考えた時にノックの音がする。
入ってきたのはエリナだった。
「そんなにじろじろ見ないで」
頬を赤くして言うエリナ。
「いや、どことは言わないけど少し大きくなったな」
成長期なのだろうな。
初めて会った時に比べてカップのサイズが一つ上がった気がする。
良きかな良きかな。
今まで栄養も足りてなかったのだろう。
「まだ、アルマには負けてるもん」
ぽかぽかと俺の頭を叩いて言うエリナ。
「良いんだ。俺は嬉しいよ。じゃあ、もう良いかな」
そのまあ、なんだ。察してくれると非常に嬉しい。
次は何を売ろうか漠然と考える。
不良在庫になっている人工宝石を売りたいな。
宝石を売っている商会となんとか伝手が出来ないだろうか。
まあ、そのうちなんとかなるだろう。
次は依頼でもやろうかな。




