第58話 おっさん、会員制クラブを始動させる
ワンイェンクラブの集まりを開催した。
現在アンデッドダンジョンのボスしか、1円玉を出さない設定なので、会員権は全く流通していない。
どうしたかというと、俺がボスを討伐したと触れ込んで、金持ちに販売した。
「この寿司という食べ物は、見た目が美しくとても美味しいですな」
「そうだろ。故郷の名物として有名なんだ」
「それにこの初回限定の腕時計。お洒落で軽くて着け心地が抜群だ」
「次の会合でも魅力的な商品を販売するから期待しててくれ」
会合は盛況だ。
口コミとしては十分。
これから忙しいぞ。
やらないといけないのは、ダンジョンを攻略して支配下に置く事。
それと転移網を構築する事だ。
会員のみが使える転移陣これを各都市に設置する。
これをしないと会合を開けないからな。
この国も広いので、会合に出席するために何日も移動時間を取られるなんて、馬鹿らしくて出来ない。
手始めにトラップ・ダンジョンだ。
このダンジョン何を考えたのか致死性のトラップばかりだ。
俺はこれを支配下に置いて改造を始めた。
4人で相談しながら進める。
「うちが考えるに、トラップだけというのが、あかんとちゃいますの」
「そうね。私もそう思う」
「同感」
「モンスターを安易に配置するとダンジョンの特色が失われる。それじゃ面白くない」
「ほな、どないしますの」
「テーマパーク化だな。まず落とし穴に落ちても死なない。無事着地して入口に戻される」
「落とし穴はそれでいいとして。毒は?」
「麻痺毒に変更して麻痺したらモンスターが入口まで戻す」
「槍疑問」
「突き出す槍みたいなのはスタンプに変更だ。スタンプを押されると、スタンプが消されないうちは、モンスターが入口まで戻そうとする」
「それだと、モンスターを討伐して、入口まで戻されないわよ」
「それでもいい。要はペナルティって事だ。モンスターは主にゴーレムを使う」
「うちはそれでええと思うわ」
「そうね。ゴーレムの命令がややこしそうだけど、なんとかなるんじゃない」
「弱点作成」
「ゴーレムの弱点をわざと作るのか。そうだな、それも面白そうだ」
改造は終わった。
試験はギルドの調査員にやってもらう事にした。
ギルドにトラップ・ダンジョンが変わった事を知らせた。
ダンジョンコアで入って来たギルドの調査員を監視するが、調査員は慎重に進みトラップに全く掛からない。
元が即死トラップばっかりだったからな。
命が掛かっていると、試しに引っ掛かるなんて事はしないか。
だが、壁に通路分岐のスイッチがあるところで麻痺ガスを食らった。
ゴーレムが現れ調査員を入口に運んで行く。
調査員は諦めたのか、安全性が分かったのか帰っていった。
次の日、調査員は二人組で現れた。
分岐のトラップで麻痺ガスに掛かるが、もう一人の調査員がゴーレムを撃退。
解毒剤を飲ませて事なきを得た。
人海戦術だと対処は容易くなるな。
もっとも6人以上でかたまると、ゴーレムの大群が現れる仕掛けになっているが。
分岐のトラップを抜けて油断していたのか、調査員は落とし穴のトラップにかかり落とされた。
クッションで受け止められ、すごすごと入口に繋がっている通路を引き返した。
「おっ、今度は宝箱を見つけたな」
入っていたのは100均のキャラクターグッズ。
「品物がしょぼいんとちゃいますの」
「死なないんだから、安いのでいいだろう。当たりの景品も入れてある」
「ならええわ」
「ゴーレムの耐久力がありすぎね」
「ゴーレムは攻撃しないように設定してあるからな。硬いぐらいは許容してもらわないと」
「謎解き、要望」
「なるほど、謎解きのトラップか。不正解だと落とし穴におとされる奴ね」
ギルドの調査員はキャラクターグッズを山ほど獲得して帰っていった。
数日後、ダンジョンは解放された。
盛況になったのは言うまでもない。
客層が駆け出しばかりになったのは誤算だったが。
まだ、ボス部屋に到達して一円玉をゲットした奴はいない。
仕方ないので宝箱にもランダムで一円玉が出るようにした。
会員権だと知ったら驚くだろうな。
会員権の相場は金貨18枚に上がっていた。
まあ、当たりの品物としてはありだろう。




