第44話 おっさん、刺客を撃退する
災害用品の長期保存できるソーセージは売れに売れた。
干し肉は堅いし美味くないからな。
もう、一押しだ。
宿に泊まっていて、アルマが外の用事を終え入ってきた。
ドアの隙間から、男がこちらをうかがっているのがちらりと見える。
何か既視感だ。
そう思った。
いや、前にもあったはずだ。
たしか、グエルオアシスで露店をやっている時だった。
警告されて、その帰り道に酔っ払いが倒れた。
そうだ、酔っ払いを座らせたあの男だ。
宿でもドアの隙間から見たんだ。
こんな偶然があるはずない。
「殺し屋が来るぞ」
「嫌やな、物騒や」
「アルマさん、呑気にしている暇なんてないわよ。短剣どこだっけ」
「毒薬支給」
「ボウガンと唐辛子スプレーとスタンガンだ。好きなのを使え」
アルマはボウガンを、エリナはスタンガンを、モニカはスプレーを取った。
ドアが蹴破られ、男が飛び込んできた。
アルマがボウガンを放つ。
男は手に持った短剣で矢を弾いた。
どんな反射神経してるんだ。
至近距離で矢を弾くだと。
男を改めて見る。
顔つきは普通の顔だ中肉中背でこれといって特徴が無い。
暗殺者向きの容姿なんだろう。
「闇のブレスを食らえ」
モニカがスプレーを吹き付ける。
男は霧を横に避けてから、モニカに接近。
モニカの腕をざっくり切り裂いた。
「血が出ない。人間じゃないのか」
殺し屋の癖に冷静ではないな。
エリナがスタンガンを男に押し当てようと近寄る。
流石に殺し屋は間抜けでは無かったようだ。
エリナが伸ばしてきた手を掴むとエリナを投げ飛ばした。
俺はメイスで投げ終わった男を叩こうとしたが、避けられた。
「拘束」
俺はドライアイスで男を拘束。
男がドライアイスに捕らわれたので、俺は躊躇なく男の頭をかち割った。
ふう、宿も安全ではないな。
男の死骸をアイテムボックスに入れた。
宿の従業員に相場の二倍の金を押し付けて、そそくさとその場を後にする。
砂漠でテントしかないな。
夜、赤外線ゴーグルに人影が見えた。
やっぱり来るか。
オアシスでは人につけられている様な気がしたので、砂漠に出たが。
見通しの良い砂漠で尾行を成功させるとは、どんな手を使ったんだろう。
小動物の群れが刺客から放たれた。
動物使いが敵に居るのだな。
砂漠で尾行していたのは動物だろう。
俺はネズミ捕り用の粘着シートを出して、設置した。
掛かったのはやっぱりネズミだった。
ネズミ使いか。
だが、ネズミの頭は悪そうだ。
粘着シートを回避できないのだからな。
「よくも、俺の可愛い手下をやってくれたな」
「死んどけよ。槍」
ドライアイスの槍が刺客を貫く。
あっけなく刺客は死んだ。
オアシスに戻るとまた刺客が来る。
だと言って砂漠でも安全とは言い難い。
「困ったな。行く所がない」
「なんや、辛気臭い顔は似合わへん。しゃきっとせな」
「そうよ。場所が無かったら作ればいいのよ」
「要塞建築」
「なるほど、拠点を作るか」
掘っ立て小屋なら簡単に作れる。
だが、求められるのは刺客を跳ね返せる拠点だ。
そう言えば、この近くに枯井戸があるはずだ。
そこを拠点にしよう。
井戸の中に住むのは却下だな。
生き埋めにされちまう。
だが、裏をかくのは良いだろう。
抜け道を作れば地下に住むのはありかもな。
だが、砂を掘るのは大変だ。
地盤が脆いので穴を掘るはしから埋まっていくだろう。
セメントは出せるが工事に何ヶ月も掛かるのは勘弁してほしい。
とりあえず現地調査だ。
枯れ井戸に入ってみると深い所は砂利だった。
石もごろごろある。
こんなの掘れるか。
この案は却下だな。
地下の拠点は諦めよう。
枯れ井戸の近くにテントを張る。
枯れ井戸だと知らなければ旅人に見えるだろう。
木の柱を立てて、人を感知して鳴るチャイムを四方に設置。
これで、刺客がきたら寝入っていても起きるはずだ。
魔力通販があれば買い出しは要らない。
いま一日に2万3千5百円使えるから、4人の食費を抜いてもだいぶ余る。
余った分は魔石に溜めておこう。




