第31話 おっさん、小隊を率いる
戦争というか紛争が始まった。
アタンの予想では敵の兵力は1000人。
補給を入れれば1500人。
こちらは100人。
とてもじゃないが勝ち目はない。
幸いなのは流砂地帯が天然の要塞と化している事だ。
我が軍と敵は流砂を挟んで睨み合う。
「ムニ、命令よ。小隊を率いて相手を挑発してやって」
アズリもだいぶ族長が板についてきたようだ。
「仰せのままに」
預けられたのは6人。
兵の数を割けないのは分かる。
ただでさえ少ない兵の数をこれ以上、減らしてもな。
そこで俺は水増しする事にした。
「助手、来いアルマ、エリナ、モニカ」
「お呼びですやろか」
「もう、最近、呼ばれないから、カレーが食べたくて食べたくて」
「闇よりの使者、推参」
良かった三人同時に呼べる。
これで戦力が1.5倍だ。
兵士6人の所に行く事にする。
「この小隊を率いるムニだ。知らない奴は居ないと思うが自己紹介しておく。俺はレベルが76あるから、普通の人よりタフで死に難い。だが、突撃するような無謀な策は取らない。お前らを生きて返すと約束しよう」
景気の良い事を言っておく。
でないと敵に寝返るかも知れないからな。
「俺の隣にいる3人の美人は俺の妻で、右からアルマ、エリナ、モニカだ」
「よろしゅう」
「よろしくね」
「歓迎」
「端から自己紹介してくれるか」
「俺はラバル、弓に嫌われている男だ」
ラバルは中肉中背のどこにでもいる若者に見える。
「ロバスだ。足が速いのが自慢だ」
ひょろひょろとした背の高い若者で、足は速いが力はなさそうだ。
「ライムと言う。頼むから俺のそばにモレクを近づけさせるな」
がたいが良く力がありそうだ。
「アダドだ。大食いなら誰にも負けない」
ぽっちゃりしている。
ぽっちゃりの大食いはそれほどでもないってのが大食い選手権での常識だが。
それにしても、役に立たない技能だな。
「リアスです。お嬢様方、仕事が終わったらひと時の語らいでも如何ですか」
リアスは優男だ。
「妻に手を出したら殺す」
「冗談ですよ。ああ、おっかない」
「バドンだ。俺の事を絶対にチビだと言うなよ。考えるのも禁止だ。そういう奴はけつから手を突っ込んで胃袋を鷲掴みにしてやる」
確かにチビだ。
おっとバドンの目に殺気が。
まあ、これぐらいの人は日本にもいる。
「これから流砂を渡って敵側に出る。何か質問は?」
「それって狙い撃ちされるよね。少しも美しくないんだけど」
リアスが手を挙げて、そう言った。
「今から秘密兵器を配る。夜間でもくっきり見える魔道具だ」
俺は赤外線ゴーグルを配った。
「これをつけて夜の流砂地帯を抜ける」
「非常に美しいやり方だ」
「壊すなよ。貴重な物なんだからな」
一つ約2万円だ。
これを10個確保する為に一日分のみんなの魔力をほぼ使った。
サバゲ―で夜戦する為にチェックしておいたので魔力通販で買えた。
趣味万歳。
「流砂を渡り終えたらまずは偵察だ。偵察を終えたらヒットアンドアウェイだ。では諸君、日が暮れるまで寝ておけよ」
「「「「「「おう」」」」」」
日が暮れた。
いよいよ、作戦の開始だ。
先頭はアルマだ。
アルマには流砂の地図が入っている。
夜の砂漠は赤外線ゴーグルで見ると、砂がまだ暑いので光って見える。
アルマ達には燐光を漏らさぬように厚着して貰っている。
体温がないので、厚着もへっちゃらだ。
それだけだと、見失うので背中に使い捨てカイロを貼り付けた。
それが目印だ。
「うぁ」
見るとラバルが流砂に足を取られている。
ロープを投げてやる。
赤外線ゴーグルが無かったらお陀仏だった。
そんなこんなでどうにか敵側に渡る事が出来た。
さて、ここからだ。
見張りが行ったり来たりしていたので、背後から忍び寄り首の骨を折ってやった。
無事、敵を挟み撃ちする事が出来る場所に行けた。
背後からかき回してやるとするか。
とりあえず偵察だな。
まずは敵の補給部隊からなんとかしたい。




